銀行融資や公的機関からの融資と比較して短時間での資金調達が期待できるビジネスローンは、中小企業や個人事業主を中心に多くの企業にとって役立つ資金調達方法です。しかしビジネスローンを利用する場合にも審査に通過せねばならず、審査を受けるためには必要書類の提出を行わなくてはなりません。本稿では、「ビジネスローン審査に必要な書類」について解説させていただきます。スムーズに審査を受け資金調達に成功していただくためにも、この記事を最後までお読みいただければ幸いです。

ビジネスローン審査時に必要になる可能性のある書類

公的金融機関である日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主に対しての融資に積極的であり、銀行融資は高額融資も期待できる選択肢の1つです。ただしどちらも審査を受けるためには多くの書類提出が必要であり、審査を受けるまでに多くの手間と時間を必要としてしまう可能性があります。
しかしビジネスローンであれば、銀行や日本政策金融公庫などと比較して審査に必要な書類は少なくて済む期待が高まります。必要書類の少なさは素早い資金調達を実現できる理由ともなりますが、審査で必要になる可能性のある書類を前もって知っておくことで、さらに書類の準備などもスムーズに行えるようになるはずです。

法人・個人事業主に共通する必要書類

まずは、法人と個人事業主のどちらもが提出を求められる可能性がある必要書類をご紹介します。書類によっては発行してから一定の期間内であることが条件になっている場合もありますので、条件を確認してからの取得をおすすめいたします。

代表者様の本人確認書類

本人確認書類は、ビジネスローンに限らず融資を受ける際には必須となる書類です。資金調達を希望する人物が申込みを行った企業と関わりがあるかを確認するためにも利用されますので、基本的には「代表者」の本人確認書類である必要があります。「運転免許証」が最も手軽かと思われますが、パスポートやマイナンバーカード、健康保険証でも代用可能です。ただし写真付きであることが条件となるケースもあるため、可能な限り写真付きの書類を選んでいただくことで安心感が高まります。

納税証明書

納税証明書により税金の納税状態を確認することで、経営状況の判断材料の1つとすることができます。銀行系のビジネスローンの場合は、税金の滞納が審査落ちに直結する可能性は低くはないものの、預金業務を行わないノンバンクのビジネスローンであれば利用は不可能ではありませんのでご安心ください。またビジネスローンで調達した資金を納税目的に利用していただくことも可能ですので、税金の支払いに苦労されている企業にも、ノンバンクのビジネスローンはおすすめです。

許認可証(対象となる業種のみ)

建設業や電気工事業、食料品製造業などは業務を行うために行政機関などから許可を受けている必要があります。そしてビジネスローンで融資を受ける際には、取得対象となる業種は許認可証の提出が求められるかも知れません。ただし銀行や信用保証協会の審査と比較して、ビジネスローンの審査で許認可証が必要になる確率は高くはありません。

印鑑証明書

印鑑証明書は契約書などに押した印鑑が実印であることを証明するための書類であり、審査結果を左右するものではありません。ですが印鑑証明が提出できない場合は、契約を完了できない場合があるため、ビジネスローンによって資金調達を行うためには必要になる可能性の高い書類です。
法人の印鑑証明書と個人の印鑑証明書では、取得可能な場所が異なります。法人印については法務局、個人の印鑑は市役所や区役所でのお手続きにより取得していただくことができます。

事業計画書

ある程度まとまった額の融資が受けられるビジネスローンでは、今後の返済計画や資金使途なども記載した事業計画書の提出が審査時に必要になる場合があります。銀行融資や日本政策金融公庫を利用する際に必要な事業計画書ほどではなく、簡単な書類で済むケースもありますが、詳細については申込先にご確認ください。

法人がビジネスローン審査時に必要になる書類

法人がビジネスローンを利用する際には、個人事業主との共通な必要書類と併せて「商業登記簿謄本」や「決算書」の提出が求められる可能性があります。

商業登記簿謄本

「履歴事項全部証明書」と呼ばれることもあり、法務局に登録されている法人の様々な情報が記載されている書類です。法人の代表者や業務内容、住所などが記載されていることから、申込時の情報に間違いがないかを確認するために活用されます。商業登記簿謄本と申込内容に違いがある場合、審査が長引くだけでは済まない危険があります。申込時に記載した項目の正しさに不安がある場合には、その可能性を前もって申込先に伝えておくか、商業登記簿謄本などを参考にしながら記入することをおすすめいたします。

決算書

法人の経営状況を審査するための書類として、決算書の提出を求められることは珍しくありません。具体的な項目としては、「貸借対照表・法人税確定申告書・損益計算書」が対象となるため、準備や提出を行う前には必要項目の確認が必要です。決算書を提出する場合には、1期分ではなく2〜3期分が必要になるケースが大半です。

個人事業主がビジネスローン利用時に必要になる書類

個人事業主は経営状況などの判断が難しく、融資の審査に通過しにくいと言われる理由ともなります。しかし法人と共通する必要書類にプラスして「確定申告書」や「通帳コピー」を提出していただくことで、経営状況の判断材料にすることができます。

確定申告書

確定申告書は審査において個人事業主の所得を証明できる書類であり、多くのビジネスローンで2期分から3期分の提出が必要になります。事業開始からの期間が短いなどの理由により確定申告を行っていない場合には、事情を説明し別の収入証明書を提出することで対応できる可能性もあります。何らかの理由により確定申告書が提出できない場合には、申込先にご相談ください。

金融機関の通帳コピー

事業で利用している金融機関の通帳を審査で確認することで、個人事業主の財務状況を調査することができるため、一部のビジネスローンでは通帳のコピーが必要書類に含まれることがあります。また申込先によっては金融機関で発行ができる「残高証明書」が審査で必要になる場合もあり、通帳コピーと同様の役割を果たします。

審査に必要な書類の準備・提出時の注意点

ビジネスローンの審査に必要な書類の準備や提出をしていただく際には、これからご紹介させていただくポイントにご注意ください。注意点と言っても特に難しい点はなく、ポイントを理解していただくことでスムーズに手続きが進められ、トラブルが起きるリスクを下げることができるようになります。

申込先によって必要書類は異なる

本稿では「ビジネスローンの審査に必要になる書類」について解説させていただきましたが、あくまで必要になる可能性のある書類であり、全てが対象となるわけではありません。どの書類提出が必要となるかは、申込先や融資を希望する企業の状況によって異なります。残念ながら前持って用意をしておいた書類が、必ず利用できるとは限らないのです。
できるだけ負担を減らしていただくためにも、書類の準備をしていただくのは申込先への確認後や、指示が行われた後にしていただくことをおすすめします。

オンライン提出のビジネスローンは必要書類が少なめ

なるべく少ない必要書類でビジネスローンを利用したいとお考えであれば、書類のオンライン提出が可能なビジネスローンが頼りになります。FAXでの提出が可能な場合も同様ですが、書類のアップロードやファイル添付によって書類提出が行える場合、あまり必要書類が多いのはアップロードやFAXによる提出には不向きです。そのためオンラインなどで提出が可能なファクタリング会社では、少ない必要書類で利用できる期待が大きくなります。

準備に時間のかかる書類を優先する

書類の準備を行う際には、郵送や出向いての手続きが必要な書類を優先して取得していただくことを推奨させていただきます。取得に時間がかかる書類を後回しにしてしまうと、審査開始が遅れてしまう可能性が高まります。特にビジネスローンの利用を急いでいる状況では、書類の取得順にも気を配っていただくことをおすすめいたします。

書類提出の不備は審査時間や結果に大きく影響を与える

提出した必要書類に記載ミスなどがあった場合、ビジネスローン側からの確認が行われたりするだけでなく、審査結果に悪影響を及ぼすリスクもないとは言えません。審査通過の可能性を高める目的や金利を低く設定されたいという思いがあったとしても、事実とは違う内容の記載は高い確率でバレますのでご注意ください。
ビジネスローンは、中小企業や個人事業主も利用しやすい金融商品でもありますので、正しい情報で書類作成などを行っていただくことが大切です。

「〈法人・個人事業主〉ビジネスローン審査に必要な書類は?」まとめ

・ビジネスローンの利用には本人確認書類や経営状況を確認できる書類の提出が必要
・申込先や状況によって必要書類は異なる可能性があるため、確認後の準備を推奨
・書類提出の遅れや不備は融資を受けるまでの時間や金利に影響を与える場合があり、スムーズで不備のない書類提出が重要

ビジネスローンに限ったことではありませんが、融資の審査を受ける際には本人確認書類などの提出が必要になります。申込先や法人または個人事業主など状況により必要となる書類は異なり、取得後の期間が限定されている場合もあるため、申込先への確認後の書類取得を推奨させていただきます。必要書類の提出はビジネスローンの審査通過や金利にも影響する要素となりますので、スムーズながらも慎重に確認をした上での書類提出を心かげください。