銀行から融資を受けようとした時、どのような審査を受けることになるのでしょうか。
銀行ごとに細かな違いはありますが、審査のポイントとなる部分に大きな違いはありません。この記事では、銀行融資の審査に必要な書類と、その審査でチェックされるポイントについて詳しく解説します。銀行側が重要視しているポイントをおさえ、希望通りの融資が受けられるように準備をしましょう。
目次
銀行で融資の審査を受ける時に必要な書類とは?
銀行から融資を受けるには、審査によって融資が可能であると認められなければなりません。銀行融資の審査に必要な書類は、以下のようなものがあります。
・ 決算書
・ 資金繰り表
・ 事業計画書
では、銀行はこれらの書類をもとに、どのような審査をおこなっているのでしょうか。
それぞれの書類において、銀行がチェックしているポイントや融資の審査に通りやすくなるポイントを見ていきましょう。
銀行融資の審査に通りやすい決算書のポイントとは?
融資の審査において、銀行がチェックするポイントは企業の経営状況です。
経営状況は決算書を確認することで把握できます。そのため、銀行融資の審査において決算書はとくに重要です。決算書についてチェックされるポイントと気を付けるべきポイントを解説していきます。
融資審査における決算書のポイント①貸借対照表
決算書の中でもとくに見られるポイントとなるのが、貸借対照表です。貸借対照表を見ることで、資産や負債、純資産について知ることができ、企業の財務状況がわかります。
まず銀行がチェックするポイントは預貯金の額です。
問題のない資金繰りができているか、返済能力があるかを判断するには、ある程度手持ちの現金がなくてはなりません。一般的には、月商の2、3か月分以上の預金残高があると問題なく経営が回っているとされます。そのため、もしも預金残高が少ない場合には、経営状況が良くないと判断されてしまう可能性があります。預金残高が少ないことの正当な理由や、改善に向けた方法などを銀行側へ説明できるようにしておくことがポイントです。
銀行は売掛金についても注視しています。
長い期間回収できていない売掛金は、今後も回収できないだろうと判断され、融資の審査に不利です。たとえば、年単位で回収できていない売掛金があると、融資不可となる銀行もあります。回収できないことによって、連鎖的に経営が悪化する可能性もあるからです。
万が一回収の遅れている売掛金がある場合にはすぐに対応しましょう。具体的には、分割での支払いを受けるなど、回収する努力を見せることがポイントです。
融資審査における決算書のポイント②損益計算書
損益計算書は、企業の利益を知ることができる書類です。銀行はここから売り上げの伸びや利益を見ています。
売り上げが伸びているかどうかは、企業の成長を見る大事なポイントです。もしも売り上げが落ち込んでいる場合には、将来性がないと判断されかねません。その落ち込みが一時的なものであるならば、改善する見込みがあることを説明しましょう。銀行は、融資した資金が返済されないことを嫌います。返済期間中も成長していく見込みがあることを示すのがポイントです。
同様に、利益も重要なポイントです。いくら売り上げが増えていたとしても、売り上げから必要経費を引いた営業利益が赤字では経営がなりたちません。融資の審査を通るためには、利益を黒字にしておくことが大前提です。ただし設備投資など正当な理由があって赤字になっている場合には、企業の成長のために仕方がないことだと判断される可能性もあります。詳しい理由を銀行に説明できるようにしておくことがポイントです。
融資審査における決算書のポイント③勘定科目内訳明細書
銀行では、勘定科目内訳明細書を参考にしながら貸借対照表の分析をします。そのため、勘定科目内訳明細書の不備は、融資審査においてマイナスポイントになりかねません。
融資審査の際、不明点について銀行側から質問されることがあります。税理士に任せきりにしていると答えられない場面も出てくるため、経営者としても内容を把握しておくと良いでしょう。また、質問にハキハキ答えられることで銀行への印象も良くなり、融資審査に有利となります。
銀行融資の審査に通りやすい資金繰り表のポイント
決算書からは過去の経営状況を知ることができます。一方、将来的な経営状況を判断するには、資金繰り表が必要です。
融資審査の際に資金繰り表の提出を求めない銀行もありますが、融資への熱意は提出した方が伝えられます。資金繰り表を提出する際のアピールポイントは次の通りです。
資金繰り表のポイント①希望する融資額を根拠とともに説明する
資金繰り表を使って収入と支出を正確に管理することで、現金の残高がどれだけか、また資金不足がどれだけかを判断できます。融資を受ける際には、必要とする融資額をしっかりと割り出しておくことがポイントです。借りられるだけ目一杯借りたいという姿勢では、計画性が感じられません。
今までの経営状況と今後の入出金予測から不足額を正確に割り出し、必要な融資額を数字で裏付けられることは、融資の審査において評価ポイントとなります。経営者がしっかりと事業と向き合い、経営状況を把握し、将来の予測ができている姿勢を見せられるからです。具体的な数字を示すことは、銀行から見ても信頼できる根拠となります。手を抜かずに資金繰り表を作成しましょう。
資金繰り表のポイント②融資された資金の使い道を説明する
銀行側は融資された資金の使い道も気にしています。たとえば融資された資金の使い道が赤字の補填であった場合、自転車操業におちいっていると判断されてしまいます。返済能力がない企業には融資できません。そのため、どのような理由で資金が必要なのかは、大事な審査ポイントになるのです。
逆に設備投資資金や運転資金としての借り入れであれば、審査に悪影響を与えません。賞与の支払い資金や季節柄必要な資金など、いつ、何のために必要な融資であるか明確にすることで、銀行からの信用も高まります。
設備投資は経営の発展や企業の成長に欠かせません。将来的に利益を出し、確実に返済してくれるような融資には、銀行も前向きに評価してくれます。
資金繰り表のポイント③返済について説明する
返済計画についても、融資審査における重要なポイントです。返済を続けられるだけの利益を出し続けられるかどうか、資金繰り表をもちいて説明しましょう。
ただし資金繰り表はあくまで予測値になります。その売り上げ予測や利益予測になった具体的な根拠がなくてはなりません。
たとえば、これまでの売り上げ履歴や支払い履歴など、具体的な数値を示すことがポイントです。過去の資金繰り表がある場合には、比較しながら説明できると良いでしょう。銀行は計画の正確性を見ています。あやふやで根拠のない説明ではなく、これまで積み上げてきた数字を利用して説明してください。
銀行融資の審査に通りやすい事業計画書のポイント
資金繰り表と同様に、今後の経営状況を示す書類として事業計画書もあります。
事業計画書も銀行から確実に提出を求められるものではありませんが、決算書の内容が良くない場合には、将来性をアピールするための大事な資料となります。
銀行が融資審査の際にチェックしている事業計画書のポイントは次の通りです。
事業計画書のポイント①精度が高く実行可能であるか
企業の将来性を見るものですから、信用できるものでなくてはなりません。
数値や計画に矛盾があったり統合性がとれていなかったりすると、銀行からの評価は低くなります。とくに、これまでおこなってきた事業と比べて規模が大きすぎたり、内容に大きな違いがあったりすると、実現不可能であると判断されてしまいます。大きなことを言うのは簡単ですが、裏付けがなければなりません。背伸びをせず身の丈に合った事業計画書を提出することが、融資審査を通過するポイントです。
事業計画書のポイント②理解しやすく熱意があるか
いくら身の丈に合った事業計画書を作成しても、それを銀行側が理解できなければ審査で不利になってしまいます。そのため、同じ業界の人ではなくても理解できるような事業計画書を作ることがポイントです。とくに専門用語の取り扱いには気を付けましょう。なるべく一般的、客観的な視点で確認してみてください。
また、銀行は将来的に事業が継続され、しっかり返済されることを望んでいます。事業計画書を提出する時には、事業に対する熱意や、将来的な発展のために努力する姿勢も見せましょう。「この企業は融資するに値する」と銀行側に思ってもらうことも重要なポイントです。
銀行融資における審査のポイントについてのまとめ
銀行から融資を受けるためには、審査を受けなければいけません。融資の審査で必ずチェックされる決算書をはじめ、経営の将来性を表す資金繰り表や事業計画書には、それぞれ審査されるポイントがあります。どの資料においても、経営が上手くいっているか、正確であるかは大事なポイントになります。銀行側がチェックするポイントをしっかりおさえて、融