倒産危機におちいった時には、どのように資金調達をすべきでしょうか。たとえ黒字経営であったとしても、当面の経営に必要な現金が足りなければ倒産危機におちいってしまいます。さらに赤字経営の場合には、根本的な対策が必要になるでしょう。
この記事では、倒産危機にある時の資金調達として適した方法と、やってはいけない方法を解説します。同時に、資金調達と並行しておこなうべき対応についても併せてご紹介します。余裕のある経営にむけて参考にしてください。

倒産危機にある時、やってはいけない資金調達方法

倒産危機におちいった場合、経営者としては、なにがなんでも資金調達をしたいと考えてしまいます。しかし経営の苦しい時に誤った資金調達をすると、いずれさらに酷い倒産危機におちいりかねません。ここでは、可能な限り避けた方が良い資金調達方法について説明します。

闇金や知人から資金調達する

なりふり構わず闇金や知人から資金調達してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。

闇金などによる融資は金利が高く、ただでさえ倒産危機にある企業にとって、その後の返済が困難なものになるでしょう。さらに高金利な業者からの融資は、銀行や公庫などからの信用を落としてしまいます。そのため、いずれ銀行などから融資を受けようとした際に、審査に通りにくくなる可能性があります。

倒産危機におちいっている状況で知人から借り入れすることも、トラブルの元になりかねません。可能な限りトラブルを起こさない方法で資金調達しましょう。

税金を滞納する

税金の支払いが企業の運転資金を圧迫することもあります。企業が支払う税金の一例は以下の通りです。

・ 法人税
・ 法人住民税
・ 事業税
・ 消費税
・ 従業員から預かっている所得税や住民税

資金繰りが厳しくなってきた時、取引先からの信用を失わないために、税金の支払いよりも取引先への支払いを優先することもあるでしょう。とくに大きな金額を納める時や、多くの支払いが重なる時には、一時的に税金を滞納することで、取引先への支払いに必要な資金調達をするかもしれません。

しかし税金を滞納していると、いずれ資産や通帳を差し押さえられる可能性が出てきます。資金を動かせなくなってしまっては事業を続けられません。一度にすべての税金を払えない場合には、分割払いなどの相談をすると良いでしょう。

倒産危機の時に利用したい資金調達方法

倒産危機におちいっている時、どのような方法で資金調達が出来るのでしょうか。具体的な方法を見ていきましょう。

融資を受ける

倒産危機におちいっている場合、民間の金融機関は融資に消極的になります。しかし政府系の金融機関であれば、事業再建のために必要な融資を受けることが可能です。

日本政策金融公庫では、小規模事業者向け、中小企業向けの融資をおこなっています。事業再建に特化した融資もありますので活用してみてください。
小規模事業者向けの再建融資は具体的に以下の通りです。

・ 企業の再建に関わる機関のもとで事業の再建をはかる企業が対象
・ 企業再建に必要な設備資金、運転資金として使用可能
・ 融資限度額は7,200万円。そのうち4,800万円は運転資金

中小企業向けの再建融資は具体的に以下の通りです。

・ 早急に事業再建の必要があり、支援体制が構築されていて、融資後も継続的に再建可能な企業が対象
・ 企業再建に必要な設備資金、長期的な運転資金として使用可能
・ 融資限度額は7億2千万円

このような融資を利用して資金調達することにより、倒産危機からの脱却を図れるでしょう。

ファクタリングを利用する

融資を受けるには、事業の計画を立てたり、審査を通過するための準備をしたりと時間がかかります。しかし倒産危機にある場合には、そのような準備をする猶予がないことも多いでしょう。

迅速な資金調達には、ファクタリングという方法があります。ファクタリングとは、まだ現金化されていない売掛債権をファクタリング企業に買ってもらうことで資金調達する方法です。比較的スピーディーに資金調達できるため、倒産危機におちいっている時の強い味方となります。

手形などの売掛債権は通常、取引先から現金を入金されるまでに数か月の時間を必要とします。その間に現金が足りなくなり、支払いが滞って倒産危機におちいることも、よくあることです。急いで現金が欲しい場合や、思ったように融資が受けられなかった場合には、ファクタリングの利用を検討してください。

ただしファクタリングには手数料がかかるため、手に入る金額は売掛金の額面よりも少ない金額になります。

売掛金について交渉する

ファクタリングと同じような資金調達方法として、売掛金を早めに現金化することも検討しましょう。具体的には、取引先と相談のうえで売掛金を期日より早く支払ってもらったり、受取手形を割引いたりする方法です。

取引先が交渉に応じてくれるかどうかは取引先次第ですが、どうしても資金が足りない時には交渉する価値があります。日頃から企業間で良い付き合いをしておくことも大切です。

一方、受取手形を割引くとは、受取手形を対象としたファクタリングのようなものです。こちらも手数料がかかるため、額面通りの金額を手にすることはできません。

補助金や助成金を利用する

政府や自治体のおこなっている補助金などにも注意を払っておきましょう。とくに補助金は4月から5月に募集をおこなうことが多くなっています。タイミングや条件によって使える補助金や助成金が存在しない場合もありますが、使えるものは積極的に使ってください。

ただし、補助金や助成金は申請書類の準備に手間がかかったり、入金までに多くの時間がかかったりします。急ぎの場合には別の手段も検討しましょう。

クラウドファンディングを利用する

現在は倒産危機におちいっていたとしても、事業の将来性や目新しさがあり、世間から評価されるものであるならば、クラウドファンディングを利用して資金調達する方法もあります。

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人々から少しずつ資金調達する方法です。
事業に対するニーズがあれば、賛同者から資金調達できます。寄付であるため返済などの必要がなく、企業側からすると非常に有益な資金調達方法と言えます。

しかし事業の内容に魅力が無ければ、目標金額まで資金調達することはできません。さらにアイデアをインターネット上に公開することで、他社にそのアイデアを盗まれるリスクもあります。一長一短がありますので、必要に応じて検討してみてください。

倒産危機にある時、資金調達と並行してやるべきこと

倒産危機にある時、たとえ資金調達をしても一時しのぎにしかならない場合があります。根本的な解決を目指すのであれば、資金調達と並行して倒産危機におちいらないような改革が必要です。

倒産危機におちいった原因を把握する

一番大事なことは、倒産危機におちいった原因を把握することです。売上や利益率などから経営状況を確認し、分析する必要があります。

自分でおこなうことが難しい場合には、会計ソフトやデータ分析ツールの導入も検討してみてください。AIなどを適切に使い、財務情報の分析や需要予測、在庫管理などをおこないましょう。

削減できる経費等がないか確認する

資金調達を考えると同時に、無駄な支出を抑えることも大切です。固定費や役員の経費など、普段は意識しない経費について見直しをしてみると、削減できるものがあるかもしれません。

たとえば人件費については、業務を機械化することで削減できる部分が多くあります。倒産危機におちいっている時に新システムを導入するのは大変ですが、長い目で見ると有益なこともあります。

買掛金を調整する

支払いをするための現金が足りていない時には、倒産危機はより現実的なものとなります。支払いが難しい場合は資金調達するだけでなく、支払いを遅らせることも有効です。取引先と交渉のうえで、都度払いだったものを買掛金にしたり、買掛金の支払い期日を延長してもらったりと、支払いそのものを調節できないか試してみましょう。

資金繰り表を活用する

倒産危機におちいっている時、当面の資金がどのようになっているか把握しておくことは大切です。数か月先までの資金繰りであれば、現在の預貯金残高と売掛金、買掛金を照らし合わせることで確認できます。当面の運転資金として足りない分の金額が正確にわかれば、資金調達するべき金額もわかります。資金繰り表をもとに、倒産危機脱却に向けた資金調達をしてください。

専門家に相談する

倒産危機状態にまでなってしまうと、個人的に解決するのは難しく感じるでしょう。そのような時には、外部の専門家へ相談することで経営が改善する可能性があります。

税理士や公的機関への相談も可能ですが、銀行やファクタリング会社などでもキャッシュフローについての相談を受け付けていることがあります。資金調達において、お金のプロに相談することは非常に有益です。

倒産危機である時に資金調達する方法のまとめ

倒産危機におちいっている時の資金調達は急務です。融資やファクタリング、補助金などさまざまな手段から適切な方法を選び、倒産危機を脱却しましょう。ただし、資金調達するだけでは一時しのぎにしかなりません。根本的な問題点を見直し、経営状況の改善に努めるようにしてください。