法人融資は企業にとって事業の拡大や設備投資、運転資金の確保など、経営を安定させるうえで欠かせない資金調達の手段です。銀行や金融機関から資金を借りることで、新しい事業への投資や事業の成長を実現できる可能性が広がります。しかし、法人融資を利用するためには金融機関の審査を通過する必要があり、その審査基準がどのような仕組みになっているのか気になる人も多いでしょう。

法人融資の審査基準は個人向けローンとは異なり、企業の財務状況や事業計画、収益性などが総合的に評価されます。そのため、どのような基準で審査が行われるのか、また申し込みの際にどのような書類が必要になるのかを事前に理解しておくことが大切です。

この記事では、法人融資の審査基準の基本的な考え方や、審査の流れ、必要な書類などについて分かりやすく解説していきます。これから法人融資を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

法人融資の審査基準とは

法人融資の審査基準は、法人として銀行や金融機関からローンを受けたい人にとって知っておきたい基礎知識です。法人融資は「審査が甘いのではないか」と言われるケースもありますが、実際には銀行が財務状況や信用、事業の収益性などを総合的に確認して判断します。そのため、条件によっては審査に通らない可能性もあり、簡単にお金を借りられる仕組みではありません。

実際に、個人向けローンとは審査の基準や考え方が異なっています。個人融資では信用情報や収入が主な判断材料になりますが、法人融資では決算内容や事業の安定性、資金用途、担保や保証人の有無なども重要なポイントです。

ただし、銀行の審査基準や格付けの仕組みは明確に公開されているわけではありません。そのため、法人融資の審査基準については、金融機関の制度や過去の事例、各サービスの説明などをもとに推測する形になります。基本的な仕組みや判断基準を理解しておくことで、申し込み後の審査結果にも大きく影響するため、事前に確認しておくことが大切です。

法人融資と個人融資の審査基準の違い

まずは、法人融資と個人融資の審査基準にどんな違いがあるのかを見ていきましょう。融資を受ける際には、この二つの融資で共通した審査基準が存在します。ただし、銀行などの金融機関では、法人ローンの方がより慎重に審査される傾向があります。これは融資金額が大きくなることが多く、貸し倒れのリスクを抑えるために信用や財務状況、事業の将来性などを総合的に判断する必要があるからです。

その一方で、一度審査に通ると個人融資よりも多くの資金を借りられる可能性があります。設備投資や事業拡大など大きなお金が必要になるケースが多いため、法人ローンではまとまった資金調達が実現しやすい点が特徴です。ただし金額が大きい融資になるため、審査が厳格になるのは自然なことと言えるでしょう。

一般的に法人が銀行などの金融機関から融資を受ける際の主な基準は、以下の3つです。

・事業・財務状況の健全性
・経営計画書の返済計画
・銀行やノンバンクからの借入状況

法人が融資を受ける際には、様々な点で個人融資とは異なります。法人化して間もない企業や個人事業主から法人へ移行したケースでは、過去の業績や信用履歴も確認されることが多く、代表者個人の信用情報がチェックされることもあります。特に過去にカードローンやクレジットカード、消費者金融の利用履歴、ブラック情報などが信用情報機関に登録されている場合は、審査に影響する可能性があります。

事業・財務状況の健全性は、個人融資の時よりも厳格に審査されます。銀行は決算書や収益、売上の推移などの財務データをもとに、事業の安定性や収益性を確認します。赤字が続いている場合や債務超過の状態に近い場合は、融資条件が厳しくなるケースもあります。「どんな事業を行っているのか」「現在の財務状況はどうなのか」といった点は、銀行側が特に重視するポイントです。

経営計画書の返済計画も、どれだけ融資を受けられるかに大きく関わってきます。資金計画や返済の根拠が明確であれば、審査結果にも良い影響を与える可能性があります。また、この返済計画が順調に実行されれば、次回以降はより大きな融資を受けることも可能です。銀行にとって返済の見込みが低い法人に融資するメリットはありません。そのため、審査を通すためには現実的な返済計画を立てることが大切です。

銀行やノンバンクからの借入があるかどうかも、銀行は慎重にチェックしています。すでに複数の金融機関から借入金がある場合は返済負担が増えるため、審査条件が厳しくなることがあります。こうした数値データをもとに判断する方法は「定量評価」と呼ばれ、決算や借入金額、収益などが重要な判断材料になります。

さらに、「定性評価」という観点も加味されます。これは数字だけでは判断できない部分を評価するもので、銀行担当者が企業の将来性や経営方針などを総合的に確認します。

・経営者(代表者)の人柄
・企業の経営方針
・市場の成長性

このような要素が評価対象になります。主観的な要素も多く、定性評価は予測が難しいと言われています。非常に重要だとされているのが銀行担当者とのコミュニケーションです。事業内容や将来のビジョン、資金用途などを具体的に説明し、企業の成長性をアピールすることが審査通過につながるケースも少なくありません。

法人融資の審査の流れ

次は法人が融資を受ける際に、銀行などの金融機関がどのような手順で審査を行うのかを紹介します。法人ローンの申し込みをすると、銀行は提出された資料や財務状況、信用情報などを確認しながら審査を進めていきます。金融機関によって多少の違いはありますが、一般的な法人融資の審査は以下の流れで進むケースが多いです。

・会計士・税理士に融資担当を仲介してもらう
・必要な書類を提出する
・銀行側が格付けを行う
・融資金額や契約条件が決まる

この4つが大まかな流れとなります。まず法人側が金融機関へ申し込みを行い、その後、銀行は提出された決算書や事業計画などの資料をもとに審査を行います。審査基準に直接関係するのは「銀行側の格付け」ですが、それ以外の流れも融資を受けるうえで重要な手続きです。

なお、審査にかかる期間は金融機関や融資商品によって異なります。銀行融資の場合は数週間程度かかるケースが一般的ですが、ノンバンクなどの金融サービスでは最短で即日対応が可能な商品もあります。資金が急に必要になった場合には、こうしたサービスの活用を検討するのも一つの方法です。

会計士・税理士に融資担当を仲介してもらう

法人融資を検討する際には、税理士や会計士から銀行を紹介してもらうケースが一般的です。多くの企業では顧問の会計事務所や税理士事務所を通じて金融機関と取引しているため、担当者を仲介してもらうことで融資の申し込みや相談がスムーズに進みます。銀行側も、財務状況を把握している専門家が関わっていることで企業の信用を確認しやすくなるため、審査の手続きが進めやすくなるというメリットがあります。

法人として融資を通したいのであれば、こうした専門家の仲介を活用することで銀行とのやり取りが円滑になります。決算書や財務資料の説明も税理士や会計士がサポートしてくれるため、融資条件の確認や資金計画の提示も行いやすくなります。そのため、例外的なケースを除けば、多くの法人がこうした仲介を受けて銀行融資の審査に進むのが一般的です。

必要な書類を提出する

法人融資の場合は審査基準が厳しく、事業内容や財務状況を確認するために様々な書類や資料を提出する必要があります。銀行は提出された資料をもとに企業の収益や収益性、借入金の状況などを総合的に判断するため、書類の準備は非常に重要です。必要な書類は金融機関によって多少異なりますが、一般的には以下のような書類の提出が求められます。

・登記簿謄本
・印鑑証明書
・納税証明書
・決算書(損益計算書、貸借対照表)
・確定申告書
・資金繰り表
・事業計画書
・試算表
・借入状況一覧
・手持工事明細表

手持工事明細表は建設業など特定の業種で必要になる資料であり、それ以外の事業を行っている法人には不要なケースもあります。銀行はこれらの資料をもとに、企業の業績や収益の推移、資金計画の妥当性などを確認し、融資の可否を判断します。また、設備投資や運転資金など資金の用途についても説明できるようにしておくことが大切です。

まず審査基準をクリアするためにも、これらの書類を正確に揃えて提出する必要があります。担当者に良い印象を与えるためにも、書類提出に不備がないよう事前に確認しておきましょう。直近の決算だけでなく、2~3年分の決算書や収益データを求められることも多いため、あらかじめ準備しておくと審査がスムーズに進みます。

銀行側が格付けする

書類をすべてそろえて担当者に提出すると、銀行側は企業の信用や財務状況をもとに「格付け」を行います。格付けとは、企業の収益性や経営状態、借入金の状況などを総合的に評価し、融資のリスクを判断する仕組みです。一般的には、以下の6つの区分に分類されると言われています。

・正常先
・要注意先
・要管理先
・破綻懸念先
・実質破綻先
・破綻先

金融機関によっては「要管理先」がなく、5段階の格付けを採用しているケースもあります。銀行は提出された決算書や財務データ、収益の推移、借入状況などを確認し、企業の信用力を慎重にチェックしたうえで格付けを決定します。

これらの格付けの結果によって、融資の可否や融資額の概算、金利、担保や保証人の条件などが決まることになります。格付けの評価は「正常先」が最も良く、「破綻先」が最も低い評価です。提出した書類と先述した「事業・財務状況の健全性」「経営計画書の返済計画」「銀行・ノンバンクからの借入状況」といった審査基準を照らし合わせながら、総合的な判断が行われます。

一般的には「正常先」や「要注意先」であれば融資が可能と判断されるケースが多く、それ以下の区分になると融資が難しくなる可能性があります。特に「要注意先」に格付けされると、金利が高く設定されたり、融資額が制限されたりすることもあります。そのため、法人融資を有利な条件で受けるためには、できるだけ信用力の高い「正常先」に格付けされることが重要になります。

さらに詳しく見ると、「正常先」の中でも細かい格付けが設定されている場合があります。名称は金融機関によって異なりますが、基本的には企業の収益性や事業の安定性、過去の取引履歴などをもとにリスクの大きさを判断する仕組みです。リスクが低い企業ほど金利も低く設定され、銀行も積極的に融資を検討する傾向があります。

融資金額が決まる

最終段階は「融資金額が決まる」ことです。銀行は企業の格付けや財務状況、収益性、資金用途などを総合的に判断し、どれくらいの借入金が可能かを決定します。また、融資金額だけでなく、金利や返済期間、担保や保証人の有無といった契約条件もこの段階で提示されます。場合によっては無担保で融資を受けられるケースもありますが、信用状況によっては担保の提供を求められることもあります。

ここでは、一般的な融資金額の目安を紹介します。まず創業融資の場合です。創業融資の相場は800万円前後と言われており、事業計画の内容や将来の収益がどれだけ見込めるかによって金額が変わります。創業時は現金の確保や運転資金が必要になるため、事業の成長性や資金計画の妥当性が重要な判断材料になります。

運転資金の融資を受ける場合は、法人の売上規模によって金額が変わります。一般的な目安は「月商の3か月分」とされており、例えば月商が100万円であれば約300万円程度が融資額の基準になります。この資金は、仕入れや経費、従業員の給与など日々の支払いに充てるためのお金として活用されます。

設備投資のための融資の場合は、導入する設備の内容によって金額が大きく異なります。銀行は設備導入によってどれだけ収益が向上する可能性があるかを確認し、その投資の妥当性を判断します。一般的な基準としては「導入によって見込める利益の3分の1」や「簡易キャッシュフローの10倍以内」といった考え方が用いられることが多いです。

なお、融資を受ける際には金利だけでなく手数料やその他のコストも発生するため、返済計画を立てる際には総額の支払い負担や返済期日を含めて慎重に検討することが大切です。

法人融資の審査に通りやすくするポイント

法人融資の審査に通るためには、事前準備が非常に重要です。銀行や金融機関は企業の財務状況や事業の安定性を慎重に確認するため、審査を受ける前に自社の状況を整理しておく必要があります。特に重要なのは、決算書の内容や収益性、借入金の状況などです。

まず意識したいのは、財務状況をできるだけ健全に保つことです。赤字決算が続いている場合でも、売上の回復や収益改善の見込みが示せれば、融資を受けられる可能性があります。銀行は単に過去の業績だけを見るのではなく、今後の成長性や事業の継続性も含めて判断します。そのため、事業計画書を作成し、どのように利益を伸ばしていくのかを具体的に説明することが重要です。

また、銀行との取引実績も審査では重視される傾向があります。日頃から口座の利用や資金の入出金を通じて取引関係を築いておくと、企業の信用力を示す材料になります。こうした積み重ねが、融資審査の際の評価につながるケースも少なくありません。

法人融資の審査に落ちる主な理由

法人融資の審査に落ちてしまう原因はいくつかあります。代表的な理由として挙げられるのが、財務状況の悪化や借入金の多さです。すでに多くの金融機関から借入をしている場合、返済負担が大きくなるため銀行は慎重な判断を行います。

また、税金の滞納や社会保険料の未納などがある場合も審査に影響する可能性があります。こうした支払いの遅れは、企業の資金管理に問題があると判断されることがあるためです。そのため、税金や社会保険料の支払い状況は事前に確認し、問題があれば早めに改善しておくことが大切です。

さらに、事業計画の内容が不十分な場合も審査に通りにくくなります。銀行は融資した資金がどのように使われ、どのように返済されるのかを重視します。資金用途や収益の見込みが明確でない場合、融資のリスクが高いと判断される可能性があります。

法人融資を申し込む前に確認しておきたいポイント

法人融資を申し込む前には、いくつか確認しておきたいポイントがあります。まず重要なのは、現在の借入金の状況や資金繰りを把握することです。すでに借入が多い場合は、返済計画を整理し、無理のない資金計画を立てる必要があります。

次に確認したいのが、提出する書類の内容です。決算書や事業計画書、資金繰り表などは審査の重要な判断材料になるため、内容に不備がないかを事前にチェックしておきましょう。資料が整理されている企業ほど、銀行からの評価が高くなる傾向があります。

法人融資は企業の成長にとって重要な資金調達の手段です。自社の状況を正しく把握し、必要な準備を整えたうえで融資を検討することで、資金確保の可能性を高めることができます。

銀行以外の法人融資の審査基準

法人融資は一般的に銀行から資金を借りるケースが多いですが、銀行以外にも法人向けの金融サービスは存在します。銀行の審査が厳しい場合や、資金を早く確保したい場合には、他の金融機関を活用する方法もあります。代表的な例として挙げられるのが、日本政策金融公庫です。

日本政策金融公庫は、日本政府が100%出資している金融機関であり、中小企業や個人事業主、新規開業を目指す事業者などを対象に融資制度を提供しています。銀行融資と比較すると、創業企業や事業実績が少ない企業でも利用できる可能性がある点が特徴です。

日本政策金融公庫の融資には、次のような特徴があります。

・審査が比較的通りやすい
・実績作りにも最適
・金利が1%~2%程度と低い

銀行融資と比べると審査条件が比較的柔軟で、新規事業や開業直後の企業でも資金調達できる可能性があります。これは日本政策金融公庫が中小企業の支援を目的とした制度であるためです。また、日本政策金融公庫からの融資を受けて完済すると、金融機関からの信用が高まり、将来の銀行融資にもつながるケースがあります。

さらに、銀行以外にもノンバンクのビジネスローンやオンライン融資サービス、消費者金融系の法人ローンなど様々な資金調達手段があります。これらのサービスは審査スピードが早く、最短即日で資金を借りられる商品もあります。ただし、銀行融資より金利や手数料が高い場合もあるため、利用する際はコストや返済条件を比較して検討することが重要です。

それぞれの融資にはメリットだけでなくデメリットも存在します。自社の資金計画や事業状況に合った金融サービスを選ぶことが、安定した資金調達につながります。
銀行以外の法人融資としては、ノンバンクのビジネスローンや消費者金融系の法人向けローンなど様々なサービスがあります。これらのローンは銀行と比較して審査が柔軟な傾向があり、オンライン申し込みに対応している商品も多く、最短即日で資金調達が可能なケースもあります。

ただし銀行融資と比べると金利や手数料が高い場合があるため、利用する際には条件をよく確認することが重要です。また、クレジットカードやカードローンなどの借入状況も審査に影響することがあるため、現在の借入金や支払い状況を整理した上で申し込みを検討することが大切です。

なお、個人事業主から法人化したばかりの企業でも、ビジネスローンを利用できるケースがあります。ただし審査では代表者の信用情報や過去の借入状況などが確認されるため、必ずしも審査が甘いわけではありません。金融機関によっては担保や保証人が不要なローンもあり、無担保・保証人なしで利用できる商品も存在します。

法人向け融資サービスの比較

サービス 金利 融資額 審査スピード 担保
アクトウィル 7.5%〜15.0% 300万円〜1億円 最短即日 原則不要
銀行融資 1〜3%程度 数百万円〜数億円 数週間 必要な場合あり
日本政策金融公庫 1〜3%程度 数百万円〜数千万円 2〜3週間 不要な場合あり

アクトウィルは法人向けのビジネスローンを提供している金融会社で、最短即日の審査に対応している点が特徴です。銀行融資と比較すると金利はやや高めですが、まとまった資金を迅速に調達したい企業に利用されるケースがあります。

法人融資の審査基準のまとめ

法人融資の審査基準は、資金調達を行う上で必ず理解しておきたい重要なポイントです。法人が銀行や金融機関からお金を借りる際には、企業の財務状況や事業の収益性、返済能力などを総合的に評価したうえで審査が行われます。審査基準には「定量評価」と「定性評価」の2つがあり、定量評価については決算書や資金計画などの資料を整えることで、ある程度事前準備をすることが可能です。

融資を申し込む前には、自社の財務状況や借入状況を確認し、審査基準を満たしているかどうかをチェックしておくことが大切です。例えば赤字決算が続いていたり、税金や借入金の滞納があったりすると、審査に影響する可能性があります。その場合でも、業績の改善や安定した収益の継続が見込めれば、融資を受けられるケースもあります。

法人の資金調達方法は銀行融資だけではありません。日本政策金融公庫の融資やノンバンクのビジネスローンなど、さまざまな金融サービスが存在します。審査基準や金利、融資スピードなどは金融機関によって異なるため、自社の財務状況や資金計画に合わせて最適なローンを検討することが重要です。

今回紹介した法人融資の審査基準を理解しておくことで、資金確保までの手続きをスムーズに進めやすくなります。銀行によって審査の細かな条件は異なりますが、基本的な仕組みや判断基準は多くの金融機関で共通しています。自社の資金計画や事業の成長に合わせて最適な融資方法を検討し、安定した経営を実現していくことが大切です。