法人融資は企業にとって事業の拡大や経営の健全化を進める上でも欠かせません。法人融資の審査基準は個人融資と比べて、どんな違いがあるのかが気になる人も多いでしょう。法人融資の審査基準にはどんな基準が設けられているのか、どんな書類が必要なのかも知っておく必要があります。今回は法人融資の審査基準について知っておいた方がいいことを紹介していきましょう。
目次
法人融資の審査基準とは
法人融資の審査基準は法人として融資を受けたい人は知っておきたい情報です。法人融資はなかなか審査が通らないという声も少なくありません。実際に、個人の融資とは審査の基準も異なっています。その審査基準の詳細が明かされているわけではありませんが、法人融資の審査基準に関しては様々な情報から推測することができます
法人融資と個人融資の審査基準の違い
まずは、法人融資と個人融資の審査基準にどんな違いがあるのかを見ていきましょう。融資を受ける際には、この二つの融資で共通した審査基準が存在します。個人融資よりも法人融資の方が審査が厳しいとされているのは、より厳格に判断する必要があるからです。
その一方で、一度審査が通ってしまうと個人融資よりも多くの資金の融資を受けることができるという特徴があります。金額の多い融資になるという事で、個人融資よりも審査が厳しくなってしまうのは仕方ない事です。
一般的に法人が銀行などの金融機関から融資を受ける際の基準は以下の3つです。
・事業・財務状況の健全性
・経営計画書の返済計画
・銀行・ノンバンクからの借り入れ
法人が融資を受ける際には、様々な点で個人融資とは異なります。融資の金額が大きくなることで、審査がより厳格化し、個人で融資を申し込むよりもハードルが上がってしまう事は知っておいた方がいいでしょう。
事業・財務状況の健全性は個人融資の時よりも、より厳格に審査されます。返済のリスクを減らすために、厳しく審査されることになります。「どんな事業を行うのか」や「現在の財務状況はどうなのか」というのが、銀行側が重きを置くポイントです。
経営計画書の返済計画は、どれだけ融資を受けられるかに直接関わってきます。また、この返済計画が順調に完遂されれば、次回以降、より大きな融資を受けることも可能です。銀行側にとっては返済計画がずさんな法人に、融資するメリットはありません。こうした法人に銀行側は大きな金額の融資は認めることがないのです。そのため、審査を通すためには、返済計画をしっかりと立てる必要があるという事です。
銀行・ノンバンクからの借り入れがあるかも、銀行側は厳しく見ています。多重の融資を受けていると、返済不能となるリスクが増えるからです。個人としても、法人としても借り入れがあるかどうかは、数値的な判断基準があります。こうした点は「定量評価」と呼ばれ、個人でも法人でも留意しなければいけない点となっています。
さらに、「定性評価」という観点も加味されます。これらの審査基準は数字ではなく、担当者の主観や銀行側の印象によって評価されています。
・経営者の人柄
・企業の経営方針
・市場の成長性
などの様々な点が挙げられています。主観的な要素も多く、定性評価に関しては予測が難しいと言われています。非常に重要だと言われているのが、担当者とのコミュニケーションです。しっかりと自分の考えやビジョンを伝え、その事業の将来性を伝える事が定性評価の上昇につながります。
法人融資の審査の流れ
次は法人が融資を受ける際には、銀行側は実際にどういった手順で審査をするのかを紹介していきましょう。一般的な金融機関では、法人融資の審査は以下の流れで進んでいきます。
・会計士・税理士に融資担当を仲介してもらう
・必要な書類を提出する
・銀行側が格付けする
・融資金額が決まる
この4つが大まかな流れとなります。審査基準に該当するのは「銀行側の格付け」ですが、そのほかの流れも審査を受ける場合には知っておく必要があります。
会計士・税理士に融資担当を仲介してもらう
法人融資の際には、税理士や会計士から銀行を紹介してもらうのが一般的です。法人として融資を通したいのであれば、こうした仲介があるとスムーズに融資の審査に入ることができます。そのため、例外的な場合を除けば、ほとんどの法人がこうした仲介を受けて、融資の審査を受けています。
必要な書類を提出する
法人融資の場合は審査基準が厳しく、様々な書類を提出する必要があります。必要な書類は以下の書類が一般的です。
・登記簿謄本
・印鑑証明書
・納税証明書決算書(損益計算書、貸借対照表)
・確定申告書
・資金繰り表
・事業計画書
・試算表
・借入状況一覧
・手持工事明細表
手持工事明細表に関しては建設業の場合に必要になるので、それ以外の事業をしている法人には関係ありません。まず、審査基準をクリアするためにも、これらの書類をしっかりと揃えておく必要があります。通史担当者に好印象を与えるためにも、書類の提出は滞りなくやっておきたいところです。1年間だけでなく、2、3年分の書類を求められる事もあるため、あらかじめ用意しておくと安心です。
銀行側が格付けする
書類をすべてそろえて担当者に提出すると、銀行側は「格付け」に入ります。この格付けは、一般的には6つの種類があるとされています。
・正常先
・要注意先
・要管理先
・破綻懸念先
・実質破綻先
・破綻先
の6つです。金融機関によっては、「要管理先」というのはなく、5つ格付けになっている所もあります。
これらの格付けの結果によって、融資の可否や融資額の概算が決まります。金利なども決定され、「正常先」が最も良く、「破綻先」が最も悪い評価です。提出した書類と先述した「事業・財務状況の健全性」、「経営計画書の返済計画」、「銀行・ノンバンクからの借り入れ」という審査基準を照らし合わせて、格付けが決定します。
「正常先」、「要注意先」であれば、融資が可能と判断されます。そして、「要管理先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破綻先」であれな、融資対象外と判断されます。
「要注意先」に格付けされると、金利も高く設定されて、融資にも消極的になります。そのため、法人融資としてしっかりと融資を受けたければ、「正常先」に格付けしてもらう必要があります。
もう少し詳しく見ていくと、「正常先」には、さらに細かく区分けがされます。その名称は各社によって違う事もありますが、判断基準はリスクがどれだけ大きいかです。リスクが少なければ金利も低く、融資にも積極的になります。多くの銀行が「正常先」の中に5つか、6つの格付けを設定していて、銀行が決めた基準に従って割り振られる事になるのです。
融資金額が決まる
最終段階は「融資金額が決まる」です。融資基準をどの格付けでクリアしたかによって、融資金額が変わってきます。ここでは、一般的な金額を紹介しておきます。まず、創業者融資の場合です。商業者融資の相場は800万円程度で、事業計画の内容や事業の見通しによって変わってきます。
運転資金の融資を受ける場合には、法人によって金額が変わってきます。一般的な基準では、「月商の3か月分」となっています。例えば月収が100万円であれば、300万円となり、このあたりの金額が中小企業の一般的な融資額となります。
設備融資の場合は、何を導入するかによって融資金額が異なります。審査の基準は、設備導入によってどれだけ利益を上げると見込まれるかです。一般的な基準は「導入で見込まれる利益の三分の一」です。あるいは「簡易キャッシュフローの10倍以内」という審査基準になっています。
銀行以外の法人融資の審査基準
法人融資は一般的には銀行から融資を受けます。しかし、銀行以外の融資には不安を感じる人もいるでしょう。そうした事を考えて、日本政策金融公庫で融資を受ける事を選択する企業も増えているのです。日本政策金融公庫は日本が100%出資している金融機関となっていて、中小企業などを対象に融資を行っています。
日本政策金融公庫の融資の特徴は、
・審査が通りやすい
・実績作りにも最適
・金利も1%~2%
という3点があります。
銀行で融資を受ける時と比べると、審査が通りやすくなっています。これは日本政策金融公庫が元も重視している点で、中小企業を支援するための運用目的に適っています。さらに、日本政策金融公庫からの融資を受け、無事に完済すると実績として見なしてもらえます。金利が低いことも返済しやすいポイントになっていて、中小企業にとっては心強い金融機関です。
法人融資の審査基準のまとめ
法人融資の審査基準は、融資を受ける上では知らなければいけない情報です。審査基準には定量評価と定性評価があり、定量評価はしっかりと準備ができます。融資を申し込む前に、書類などを整理して審査基準に達するかどうかを評価する事が重要です。
今回紹介した法人融資の審査基準を知ると、スムーズに手続きを進めることができます。審査基準に関しては銀行によって多少の違いはありますが、今回紹介した事はほとんどの銀行に共通した基準となっています。法人として銀行から融資を受ける際には参考にしてみてください。