借り入れではなく、売掛金の範囲内での無理のない資金調達が可能なファクタリングは、融資に比べても審査が緩く比較的リスクが少ないとされ、事業主様の間でも広く認知度が高まっています

利用率は年々増加傾向にあるようで、近年ではおよそ5兆円規模の取引があり、今やファクタリングは融資と肩を並べるほどのメジャーな資金調達手段になりつつあります。

 しかし、ファクタリングの知名度と利用率が上昇したことに伴って顕著になっているのが、ファクタリング会社を装った悪徳業者による詐欺まがいの契約提示の横行と、それによる事件への発展です。

特に最近では、貸金に関する法整備の強化によって行き場を失った違法金融事業者、いわゆる「ヤミ金」による悪質なファクタリングサービスの提供が目立ち、多くの事業主様を混乱させているようです。

ヤミ金業者が提供するサービスは、ファクタリングか悪質な融資か、一見すると悪質性の見分けがつかないほど巧妙に仕組まれている場合が多いもの。悪質な金融事業に関する知識や免疫力が足りなければ、判別は難しいといえるでしょう。

そこで今回は、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者に対する注意喚起と、その見分け方をお伝えしていきたいと思います。 

ファクタリングは違法ではない

まず、前もってお伝えしておきたいことは「ファクタリングは決して違法な金融サービスではない」ということです。

最近は、個人向けの現金調達サービスである「給料ファクタリング」の違法性が問題視される報道などが頻繁にされるようになったことで、「ファクタリング」という金融サービス自体に違法性があるのではないかと勘違いされる方が増えているようです。

しかし、事業者向けのファクタリングは、以前から銀行などの金融機関でも提供されていた金融サービスであり、違法性は本来、全くもってありません。

それどころか、経済産業省が売掛債権の利用促進を名目に、主に中小企業に対して積極的な利用を推奨するなど、政府が認める正当な資金調達手段なのです。

ファクタリングが不安視される理由

ではなぜ、多くの事業主の方がファクタリングの違法性を疑い不安視するのでしょうか。

その大きな理由として挙げられるのは、貸金業に関する貸金業法のように、ファクタリングには明確な法規制がないためです。

貸金業を開業するためには、貸金業務取扱主任者の資格取得や貸金業の登録を行政庁に行うなど、法律で定められた様々な手続きが必須となります。

一方のファクタリングには、法規制がないので、開業やサービスの提供にあたって必要な手続きなどありません。いわば誰もが自由に開業とサービスの提供を行えます。

これこそが、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者を生む背景となっているわけです。

法規制のないファクタリングはヤミ金業者の格好の商材

貸金業に対する法規制が強固となった近年では、違法な金利での貸付を利益確保の常套手段とするヤミ金業者はあっという間に摘発対象となりかねません。

そこでヤミ金業者は、法規制がなく商材として自由に提供できるファクタリングを謳うことで、資金不足に悩む事業主様を狙い、高額な手数料を要求するなどといった違法性の高い貸付を繰り返しているのです。

ただ、何度も触れている通り、ファクタリングには法規制がないため、貸金業の「法定金利」のような“法定手数料”は定められていません。

したがって、手数料は自由に決められるともいえるのですが、ここで意識してほしい点が「ファクタリング利用手数料を年率換算」した場合の負担です。

利用手数料回収を名目とした暴利行為

ファクタリングは発生済みの売掛債権の売買となるので、1ヶ月ないし数ヶ月単位の契約となることが一般的ですので、利用手数料を月率に置き換えて考えてみます。

例えば、利用手数料として20%を提示された場合。

これを12(ヶ月)倍することで年率に換算することができます。

20(%)×12(ヶ月)=240(%)

貸金業における法定金利の上限は、年率15%〜20%と定められていることからも、このような法外な利用手数料がいかに大きな負担となるかが分かるかと思います。

ファクタリング会社を装ったヤミ金業者は、利用手数料の回収を名目に上記のような暴利行為によって法規制をくぐり抜け、利用者に違法融資さながらの大きな負担を強いているのです。

実質的な貸金契約

法外な利用手数料の提示とともに、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者のサービスには、もうひとつの大きな特徴があります。

売掛債権を担保としただけの「実質的な貸金契約」であることです。

ファクタリングという金融サービスは売掛金の売買によって資金を調達する手段ですが、通常、売却した売掛金を利用者が売掛先から回収する義務は発生しません。

最近では、売掛先に対する債権譲渡通知を不要にすることを条件に、売掛金の回収を利用者に委ねる「2者間ファクタリング」がノンバンクのファクタリング会社を中心にリリースされていますが、利用にあたっては、基本的に「債権回収業務委託契約」の締結が前提となります。

ですので、ファクタリングを謳っているのもかかわらず、売掛金の回収を約束することもせず、債権回収業務契約も求められることがないようであれば、その契約は実質的に売掛債権を担保にした貸付であると認識して問題ないでしょう。

契約にあたっては念入りな確認を

以上が、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者の主な特徴であり、悪質性を見極めるためのポイントです。

そのほかにも「SNSでのみ利用者を募っている」「HP上に記載された住所が架空」など、細かな見極めポイントはいくつかありますが、悪質な事業者の罠にかからないために最も大切なことは「念入りな確認作業」です。

後々に大きなトラブルに見舞われないためにも、契約にあたっては業者に対する入念な聞き取りはもちろん、提示された契約書は隅々まで読み込む必要があります。万が一、契約書が提示されないようであれば、その時点で悪質な業者であることは一目瞭然であるため、速やかに身を引くようにしましょう。

事業者の方の中には、資金不足に陥った不安や焦りからか、条件などの聞き取りはおろか、契約書の確認までも怠ったことにより、大きな後悔と負担を背負う最悪の結末に至ったという方もいます。

ファクタリングが法規制化されない以上、ファクタリング会社を装ったヤミ金業者の悪質サービスは、減少するどころか今後もますます増加することになりそうです。

真っ当なファクタリング事業者なのかそれを装ったヤミ金業者なのか。

その判別は、事業主様ご自身の判断に委ねられることになりますので、ファクタリングの利用を検討される際は、事業者とサービス内容の入念な確認を忘れずに行うようにしましょう。