事業資金として活用されるビジネスローンは、非常に有益な資金調達法です。しかし、借入金や返済額が経費として認められるのかという疑問を持つ方も多いでしょう。確かに、ビジネスローンと経費の関係性は意外と知られていないことが多い事も事実です。
実際には、借入金そのものは経費にはなりませんが、返済時の利息や借入金で支払った費用などは経費として計上可能となっています。本記事では、ビジネスローンと経費の関係性を詳しく解説し、効率よく経費として計上するために、ビジネスローンをどう活用するのかをまとめていきましょう。

ビジネスローンとは?

そもそもビジネスローンとは、どんな金融商品なのかを見ていきましょう。ビジネスローンは事業を運営するための資金を調達する事を目的としており、中小企業や個人事業主などにとってはかなり有益な資金となっています。事業性ローンといった位置づけで、個人で利用するローンとは一線を画しています。
設備投資、運転資金、事業拡大などに使う事ができ、金利がやや高めに設定されている事がネックですが、特化型ビジネスローンなどもあるために、利用を考える事業者も多くいます。

ビジネスローンの基本的な仕組みと種類

ビジネスローンは、主に金融機関(銀行、信用金庫、ノンバンクなど)が準備している金融商品で、その用途がビジネスに限定されています。事業活動を支えるために使用されますが、銀行とノンバンクによって金利の相場が違う事には注意が必要です。

ノンバンク系ビジネスローンのメリットは、迅速な融資スピードです。ノンバンクの中には申し込みから即日で入金される事もあるという驚異的な融資スピードを実現しているものも存在します。
デメリットとしては金利が15パーセント前後になる事で、審査次第で決められる事になります。上限金利での契約になると、大きな負担になる可能性があります。

銀行系ビジネスローンは安定したサービスが可能で、金利が低く返済条件が有利な事が最大のメリットです。デメリットとしては、審査が厳しく、信用履歴に傷があると絶対融資は受けられません。
信用金庫系のビジネスローンも銀行系とほとんどメリットとデメリットは変わりません。信用金庫の方が地域密着型のサービスが可能であり、ビジネスローンの他にも様々な金融商品を扱っています。

どの金融機関のビジネスローンでもメリットとデメリットがありますが、事業者の状況によってどちらを使うかを選択するといいでしょう。

経費として使える資金の範囲

ビジネスローンで調達した資金は、経費として計上する事はできません。しかし、一般的に経費として計上できるものには、設備費(機械、家具、ソフトウェアの購入や店舗の内装工事費)や運転資金(従業員の給与、仕入れ費、家賃、光熱費などの毎月の経費)、成長投資(広告宣伝費、マーケティング費用、新規事業の立ち上げ資金)などがあります。

ローン契約によって資金の使途が限定されている場合もあり、契約時の内容を確認する必要があります。ビジネスローンで資金を補填し、自己資金でこうした費用を賄う事で事実上、経費として計上できるという考え方もできます。

利息は経費として計上できる

経費として計上できるかは、経営者にとっては大きなポイントです。経費として計上できれば、控除の対象となったり、税金が安くなったりするという影響も考えられるからです。ビジネスローンそのものを経費として計上はできないものの、利息に関しては事情が異なります。利息は事業に必要なコストとみなされ、事業活動の経費として計上するという事ができるのです。
利息を経費として計上できないと思っている事業者も多く、高額のビジネスローンを借り入れている場合には大きな損をしてしまっている可能性もあります。

元本は計上できない

まず知っておかなければならないのが、元本である借入金自体は経費としては計上できません。借入の期間によって勘定科目が異なってきます。記載する際には借入期間によって『短期借入金』か『長期借入金』という名目で記載する事になります。
ビジネスローンは借入金として計上し、貸借対照表では『流動負債』として計上するというのが一般的です。

ビジネスローンそのものは計上できませんが、利息、手数料、保証料などは計上する事ができます。単純にビジネスローンと言っても、ビジネスローンの申し込みから完済までにかかる費用を細かく分ける事によって計上できるものとできないものに分類されます。
元本は計上できない、利息は計上できるという大きな分類だけは押さえておきましょう。分からない場合には専門家へ相談をするというのが、最良の手段となっています。こうした点については、後述するので参考にしてみてください。

利息は経費に計上できる

ビジネスローンは利息以外にも、手数料や保証料などがかかります。借入金に関する科目は「利子割引料」という項目になります。一般的にはビジネスローンのような事業のために借り入れたものは、元本は計上できないものの利息や手形の割引料などを計上する事ができるために、しっかりと記録を残しておく必要があります。

ビジネスローンの場合には、利息のみが経費と見なされます。借入元本は経費ではない事は解説してきましたが、利息に関しては何年間もの間返済を続ける場合には1年間で払った分を確定申告で申告するというのがフリーランスなどの事業者の通常の流れになります。

利子と元本は区別して分ける必要がある

元本と利子は区別して記録しておく事が重要です。ビジネスローンは経費として計上できないという考えで、返済管理をおろそかにすると、確定申告の時に手間取られる可能性も否定できません。
「年間でどれくらい利息を支払ったのか」といった記録はこまめに取っておきましょう。事務員とも認識を共有し、確定申告などの際の手間をなるべく排除する事が重要です。

ビジネスローンの利息を経費として計上する時のポイント

ビジネスローンを利用した際には、返済の一部である「利息」を計上します。計上の際にはしっかりと正確な記載をしないと、財務リスク管理上の問題を引き起こす必要があります。ビジネスローンの利息を経費として計上する時のポイントは、知っておかないと思わぬトラブルを招く可能性もあります。

利息を正確に計上する

ビジネスローンの利息には、事業活動に関連する正当な費用として経費に計上する事が認められています。気を付ける点としては、対象外の利息を把握するという事です。個人的な使用目的や事業以外の活動に使われたローンは、経費として計上する事はできません。事業目的という名目が重要で、ビジネスローンだとこうした条件に合致しているのです。
利用目的を明確にしておく事で、申告の際にも大きな問題や余計な手間がかからずに済みます。先述した通り、「利息と元本を区別する」という点と「対象利息の確認」という点をポイントとして押さえておきましょう。

経費の明確化と記録の重要性

利息を経費として計上するには、注意深く作成する事が重要です。記録を明確かつ正確に管理する事ができていないと、経費として計上できない可能性や確認に大きな時間を取られる事もあります。経費の明確化と記録の重要性を知るとともに、以下のようなポイントを意識しておくといいでしょう。

 証拠書類の保存
 帳簿の整備
 計上タイミングの適切さ

この3つのポイントは特に重要です。

証拠書類の保存は、税務調査時に証拠を求められた場合には有効です。返済時の明細書やローン契約書を残しておき、いつ調査が入っても明示できるようにしておくと余計な手間が省けるでしょう。

帳簿の整備も重要で、返済スケジュールや利息部分を反映した帳簿はかなり重要です。会計処理がスムーズになる事によって、ミスをなくす効果も期待できます。
さらに外部に帳簿の提出を求められた際にも、安心して問題に対処する事ができます。

計上タイミングの適切さは、利息を計上する時に大きなポイントとなります。利息は完済までかかるために、いつ計上するのか分からないという人も多くいます。計上するのは支払いが発生したタイミングであり、前後でのズレが出ないように慎重に形状のタイミングは調整しなければなりません。

金融の専門家に相談する

ビジネスローンの利息を経費計上するのは、かなり複雑な知識を必要とする場合もあります。その際に、個人では限界があると感じた事業者も多いでしょう。そうした時に頼むのが、金融の専門家です。
金融の専門家は例えばファイナンシャルプランナーや弁護士、銀行の融資担当者などもいます。しかし、確定申告などの場合には、税理士や会計士の方が適しているとされています。

何が計上できて、何が計上できないのかは法的な知識と金融の知識の両方が必要です。そのために、税理士や会計士の方がアドバイスをもらう相手としては適切と言えるでしょう。専門家には、事業全体の収支バランスを考える事と最適な経費処理方法を提案してもらう事の2点に気を付けてアドバイスしてもらいましょう。

これらに加えて、金融機関の担当者への確認も同時に行うと安心です。ローンの返済スケジュールや利息を最も知っているのは借入先の金融機関の担当者であり、計上する際には彼らから直接情報を得ることで計上ミスを防ぐ事ができます。

ビジネスローンの経費のまとめ

ビジネスローンを経費として計上したい場合には、計画的な利用が成功へのカギとなります。ビジネスローンそのものを経費として計上する事はできませんが、自己資金を効率よく使用するために活用する事はできます。
最適なビジネスローンを選び、事業の成長を加速させる事にビジネスローンを使用してください。