規模の大小を問わず、事業者が事業資金の融資を検討する際、借入先の候補にするのは主に銀行やノンバンクのビジネスローン事業者がありますが、もうひとつ忘れてはならない機関があります。

それが日本政策金融公庫です。

おそらく多くの事業主の方が利用経験のある機関かと思いますが、なかには「審査が厳しそう」、「手続きが複雑そう」などのネガティブな理由から、利用を躊躇されている方も少なからずいるかと思います。

ですが、日本政策金融公庫の融資は銀行やノンバンクの融資に比べると、審査のハードルが低いといわれている上に、利用する融資の種類によっては無担保・無保証、さらには民間の金融機関よりも低金利で借り入れすることができるお得な制度だといえます。

では、日本政策金融公庫とは具体的にどのような機関で、どのような融資制度があるのでしょうか。また、利用するメリットやデメリット、審査通過のためのポイントについても解説していきます。

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫とは、銀行や信用金庫といった民間の金融機関の融資業務をフォローするために設立された金融機関であり、政府から100%の出資を受けて事業を行なっています。

そのことから政府系金融機関と呼ばれ、主な事業内容には民間の金融機関が対応しきれない中小企業や小規模事業者に対する貸付のほか、個人の教育ローンなどがあります。

日本政策金融公庫の3つの事業

もう少し具体的に事業内容をみてみましょう。

日本政策金融公庫が行う事業は大きく分けて3つあります。

まずは国民生活事業です。

前述した教育ローンの提供が国民生活事業に含まれるのは容易に想像できるかと思いますが、実は一部の業種を除いた小規模事業者向けの資金融資も国民生活事業が担っています。

国民生活事業で利用できる融資制度には、主に「普通貸付」と生活衛生関係事業者向けの「生活衛生貸付」があり、さらに条件に応じて「一般貸付」「特別貸付」などの種類に分けられています。

国民生活事業の融資を利用する事業者の約9割が従業員数9人以下の小規模事業者であり、平均融資残高は700万円です。

また、その多くが無担保融資であるため、銀行や信用金庫で融資を断られた小規模事業者は国民生活事業へ相談するのが得策だといえます。

次に中小企業事業です。

個人や小規模事業者向けの融資を実施する国民生活事業に対して、中小企業事業は、基本的に従業員数20名以上、資本金1000万円以上の中小企業を対象に貸付を行なっています。

実際に、中小企業事業から融資を受けている企業は約4万4000件あり、その約8割が従業員20名以上、約9割が資本金1000万円以上となっています。

また、融資の実施だけではなく、専門家による経営アドバイスやビジネスパートナー探しのサポートなど、経営支援サービスも受けられるという特徴もあります。

3つめは農林水産事業です。

収益が天候に左右されたり、投資回収に長い時間を要するなど、収支のバランスの事業者の努力だけでは収支バランスの安定化が難しい農林漁業関連の事業者に対する資金融資を行なっているのが農林水産事業です。

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとデメリット

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとデメリット

では、次に日本政策金融公庫で融資を受けるメリットやデメリットをみていきましょう。

創業間もない事業者でも審査通過の可能性は高い

日本政策金融公庫の役割は、前述の通り「民間の金融機関の融資業務のフォロー」です。

したがって、創業間もなく十分な実績がないために銀行や信用金庫の審査に通過できなかった事業者であっても、事業主の人柄や事業の社会的貢献度が高いなどと評価されれば、融資を受けられる可能性は十分にあるといえます。

また、仮に審査に通過できなかった場合でも、次回の申請(再申請は最低6ヶ月後)に向けた様々なサポートを受けることもできますので、担当者との良好な関係性を築いておくことも審査通過のための近道となります。

低金利や無担保無保証の融資

日本政策金融公庫の融資は、金利が低いという点も利用するメリットのひとつです。

たとえば、国民生活事業の融資を「担保なし」で利用する場合、基準利率は年利2.06%〜2.45%と、ノンバンクはもちろん、条件によっては銀行の利率よりも圧倒的に低い金利で借り入れすることができます

また、新規事業者の資金調達を支援する「新創業融資制度」などは原則無担保・無利子で借り入れできるほか、返済機関が最長で20年に設定される制度もあります。

緊急の資金調達には不向き

一方で、銀行の融資審査に比べると、創業間もない事業者でも借り入れしやすいなど審査基準は低いとはいえ、事業計画書などをはじめとした提出書類の種類が多いため、それらの作成や準備に多くの時間を要すことになります。

また、審査に通過できたとしても、実際に入金されるまでの期間も長い(申し込みから入金までの目安は1ヶ月〜1ヶ月半)ことから、緊急の資金調達には向いているとはいえません。

日本政策金融公庫の融資審査通過のポイント

日本政策金融公庫の融資審査通過

では、日本政策金融公庫の融資審査を通過するために意識するべきポイントはどこにあるのでしょうか。

やはり、もっとも重要になるのは「今後の事業計画」です。

とはいっても、根拠のない理想ばかりを並べたところで、その事業計画には説得力も信用性もなく、審査通過は遠のくばかりといえるでしょう。

ですので、事業の将来的な可能性を、過去の決算書類や実績などを踏まえながら、具体的な売上目標や支出の想定を基にして示す必要があります。

また、日本政策金融公庫の融資審査では必ず担当者との面接が行われます。この場では融資を希望する理由や事業計画について問われるほか、事業主の人間性についても見られることになります。

だからといって、普段以上に着飾ったり、無理をして上手に話そうと気を張る必要はありません。これまで培った経験やノウハウの範疇で、事業の将来や自身についての説明を誠実に伝えることできれば、担当者にはしっかりと思いや考えが伝わるはずです。

融資に通過するためにも、具体的な事業計画の用意のほか、担当者との面接の準備も入念に進めておきましょう。