かつては「融資」といえば、契約にあたって担保や保証人を伴うのが一般的でしたが、30年ほど前からは担保や保証人が不要な、いわゆる「無担保・無保証融資」を取り扱う金融機関やノンバンクが増加しました。

融資に際して担保や保証人が必要な理由は、債務者が返済困難に陥った際に、土地や定期預金といった価値のある資産で弁済するためであるほか、保証人となった第三者に代理で返済を行なってもらうためです。

つまり、債権者側からすると「無担保・無保証融資」を実行することは、貸し倒れなどのリスクを高める行為だといえます。

そのようなリスクを背負うにもにもかかわらず、なぜ金融機関やノンバンクは「無担保・無保証融資」が実行可能なのでしょうか。

今回は、その理由について解説していきたいと思います。

様々な無担保・無保証融資

様々な無担保・無保証融資民間金融機関の融資は大きく分けて2つあります。

ひとつは「プロパー融資」です。

プロパー融資は担保も保証も不要な融資であり、一般的に民間金融機関の「無担保・無保証融資」といえば、こちらのプロパー融資を指します。

反対に、担保の用意は債務者や金融機関の判断によるものの、借入にあたって信用保証協会からの保証を必ず受ける必要がある融資「信用保証協会付融資」といいます。

また、政府系金融機関である日本政策金融公庫も「新創業融資制度」や「中小経営力強化資金」といった融資を「無担保・無保証」で実行しています。

そのほか、ノンバンクの事業資金融資である「ビジネスローン」は、そのほとんどが基本的には「無担保・無保証融資」です。

ただし、中には代表者が連帯保証人になる必要のあるものや、赤字決済が続いているなど信用力に乏しい法人が借入をする際には、担保を求められる場合もあります。

「無担保・無保証融資」を実行する理由

「無担保・無保証融資」を実行する理由では、どうして金融機関やノンバンクは無担保・無保証で融資を実行するのでしょうか。

1.「信用」を担保にしている

土地や建物といった担保や第三者による保証も不要な「無担保・無保証融資」ではありますが、当然ながら申し込み時には「損益計算書」や「賃借対照表」といった決算書などの各種書類の提出を求められます。

また、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する際には、決算書の代わりに「事業計画書」の提出が必要になります。

「無担保・無保証融資」の審査時は、これらに記載された数字や計画などを基にして借主の「信用度」を計り、それを担保として融資の合否を判断するわけです。

つまり「無担保・無保証融資」を利用するには、金融機関やノンバンクから物的・人的な担保や保証人が不要だと認められるだけの、長期にわたる返済能力の有無や将来性のある事業計画が必須になります。

2.審査通過のハードルを高く設定している

上記の通り「信用」を担保にする以上、「無担保・無保証融資」の審査通過は決して容易ではありません。

特に金融機関のプロパー融資に関しては非常に厳しい審査が行われるため、その利用企業のほとんどが大企業だといわれ、中小零細企業が審査に通過できる可能性は極めて低いとされています。

また、少なくとも3期以上の決算の実績がなければ審査の通過は難しいといわれることもあり、たとえ創業時から高い利益を上げていたとしても利用は難しいものです。

このように、金融機関のプロパー融資は担保となる借主の「信用」を厳しく見極め、利用できる企業を厳選しながら貸し倒れのリスクを回避しているからこそ「無担保・無保証融資」の実行が可能になっているのです。

一方、ノンバンクの「無担保・無保証融資」は金融機関のプロパー融資に比べると、審査に通過しやすいという特徴があります。

ただし審査に通過しやすいといっても、金融機関のプロパー融資と同様に各種提出書類に基づく「信用度」に応じて貸し出すわけですから、担保や保証つきの融資に比べると、厳しく審査されることに変わりありません。

また、金融機関のプロパー融資は「絶大な信用度」を基にして利用できる企業を厳選して融資を実行することから、信用保証協会付融資よりも高い金額を借入できるうえに金利も低くなる一方、ノンバンクのビジネスローンの借入額は低く、金利は高い傾向にあります。

いずれにせよ、金融機関もノンバンクも「無担保・無保証融資」の実行に対しては、非常に慎重であることは確かであり、担保や保証を必要とする融資よりも審査のハードルを上げることによって利用可能な範囲を狭めていることがわかります。

まとめ

まとめ今回は金融機関やノンバンクが「無担保・無保証」で融資を実行できる理由について解説しました。

担保や保証が不要であるため、融資を検討する際にはできるだけ「無担保・無保証融資」を利用したいという経営者の方も多いかと思います。

しかしその分、返済能力や事業の将来性など、企業や経営者の「信用」が担保となることから、審査にあたっては担保や保証を必要とする融資よりも厳しく見極められることを理解しておきましょう。