起業ときくと、多くの事業資金を調達するとともに、いくつもの手続きとそれに伴う費用の支払いが必要に思われがちです。

しかし、個人事業主として事業を開始したいのであれば、住所地を管轄する税務署に開業届を提出するだけでスタートできるため、自己資金は0円で済みます。

また、株式会社や合同会社を設立する場合、手続きに必要な費用の支払いこそ求められるものの、資本金は1円からでも設立が可能になっています。

したがって、起業自体は決してお金がかかるものではなく、法人設立を目指す場合であっても、以前のように多額の資金を用意する必要はないということがいえます。

ただ、事業の開始や会社設立自体は少ない資金でも問題ないとはいえ、開始する事業によっては、設備や機器の購入が必要であったりするなど、あらかじめまとまった資金を用意しておかなければならないケースもあるでしょう。

また、会社を経営していくのであれば、資本金が1円だと金融機関からの信用に乏しく、融資を受けられないなどの影響を受ける可能性があるため、なるべく早いうちに増資を検討したいものです。

資金が少ない中での開業だからこそ、支出を極力抑えられるアイデアや工夫、それに綿密な計画なども必要になるもの。

そこで、少ない資金で開業する際におさえておきたいポイントについて解説していきたいと思います。

資金0円で事業を継続するのは不可能

資金0円で事業を継続するのは不可能

まず初めにおさえておかなければならないのは、“開業自体”は資金0円、または少額でも可能な事業もありますが、“事業継続”に関してはそうも言えないという点です。

たとえば、個人事業主としてWebライター業を開始する場合、手持ちのパソコンとインターネットの接続環境さえあれば、機器を新調する必要もありませんので、開業資金を調達することなく、すぐに事業を開始できるでしょう。

しかし、事業継続という面で考えると、電気代やインターネットの接続費用など、諸々の経費の支払いが必須になります。

また、別途サブスクリプションのサービスを利用しなければならなかったり、コワーキングスペースなど自宅以外の場所で仕事をする場合などは、利用料の使用も必要になります。

もちろんそれらの費用は、利益を上げ続けられれば難なく支払うことも可能かと思いますが、事業に“確実”などという言葉は存在しません。

どれだけ努力を積み重ねても、思うように利益を上げられないなどという事態も考えられるわけです。

ですので、開業するのであれば、先々の費用の支払いを見越して、ある程度の自己資金を用意しておくのがベストであることは間違いないかと思います。

ネットショップでの販売などコストを抑えられる選択を

ネットショップでの販売などコストを抑えられる選択を

パソコンやネット環境があるだけで開始できる事業がある一方、それだけでは成り立たない可能性をもつ事業もあります。

たとえば小売業

小売業を開始するにあたっては、当然ながら商品の製造や仕入れが必要になり、それにともなうコストの発生は避けられないものです。

さらに実店舗を構えようものなら、店舗の賃貸費や維持費など、より多くのコストがかかることになります。

そこで考えたいのが、ネットショップの運営です。

最近では、無料で開設・運営可能なサービスもあり、実店舗を構えるよりもはるかにコストを抑えて事業を展開することができます。

それでも実店舗での販売を望むようであれば、売上が伸び、事業が軌道に乗り切ってから実店舗を構えるなど、中長期的な視点で余裕をもった計画を立てるのが良いのではないかと思います。

また、飲食業やサービス業など、ネット上のみでは展開が難しい事業もあります。

そういった事業を開始するにあたっては、なるべく賃貸費を抑えられる郊外に店舗を構えるといった選択も必要になることもあるでしょう。

中には、資金が少ないにもかかわらず、たくさんの集客を期待して、いきなり一等地に店舗を構えるといったケースもみられますが、売上が伸びなければ、店舗の維持だけで精一杯になってしまうこともあります。

ですので、少なくとも1年〜2年の間は事業を維持できるだけの資金を前もって用意しておくのが望ましいでしょう。

会社設立であれば資本金の増資計画を立てておく

会社設立であれば資本金の増資計画を立てておく

先にも述べた通り、今は会社の設立も資本金1円から行える時代です。

しかし、実際に資本金が1円という会社はそれほど多くありません。

その最もたる理由を挙げるのであれば、どれだけ魅力的な事業を展開していようとも、会社としての信用度に欠けてしまうからということがいえます。

会社の信用度が十分でなければ、金融機関はもとよりノンバンクからの融資を受けることも難しくなることが考えられるほか、企業によっては取引にあたって資本金の金額をもとに検討することもあり、資本金の少なさを理由に取引を断られるなどというケースも珍しくありません。

したがって、たとえ資本金1円で会社を設立した場合であっても、事業の成長とともに徐々に増資していけるような計画を立てておかなければならないのは確かでしょう。

まとめ

まとめ

今回は、0円または少ない資金で開業する際におさえておきたいポイントについて解説しました。

最近では、開業資金を用意することなく始められる事業も多くある一方で、いざ事業の開始となれば、経費などの支出は避けられないため、ある程度の資金は準備しておいたほうが良いのは間違いありません。

また、少額の資金で開業する場合であっても、なるべく初期投資は抑えるべきであるほか、少なくとも1〜2年は経営を維持できるだけの資金を確保しておくべきでしょう。