銀行融資などと比較して審査が甘いといわれるビジネスローンですが、100%融資が受けられるかというと決してそうはいきません。
申し込んだ法人の中には、ビジネスローンの審査に通らないというところも少なからず見られます。

ビジネスローンの審査に通らない法人を見てみると、それ相応の理由があります。
ここではなぜビジネスローンの審査に通らないのか、審査通過して借入するためにはどこに注意すればいいかについてまとめました。

ビジネスローンの審査で何が重視されている?

ビジネスローンの審査ではどこをチェックしているのか知ることは、審査に通らないことを回避するためにも必要なことです。
ビジネスローンの審査では、以下の3つの項目が特に重視されます。

1.財務状況
2.資金の使途
3.返済見込みが立っているか

それぞれ具体的にどんなところをチェックしているか、以下で詳しく見ていきます。

財務状況

いろいろな金融業者がビジネスローンの融資を行っていますが、ほぼどこの業者でも重視する項目といっていいです。
申し込み時の必要書類の一つに、決算書があります。
決算書の内容に気になる個所があると、財務に問題ありと判断されかねません。
その結果、審査が通らないわけです。

売上総利益と営業利益、経常利益の3項目は特に詳しくチェックされるはずです。
そのほかには支払い状況も重視されます。
もし支払いに延滞が発生しているとマイナスの印象を与えかねないので注意してください。

資金の使途

ビジネスローンの申し込み時には希望する融資金額を記入しなければなりません。
この金額も審査に影響を与えます。
融資金額だけでなく、その使途とのバランスがどうかなどが審査されます。

ここで重視されるのは、前向きな用途かどうかです。
前向きな用途とは、事業に対して使用する資金を指します。
具体的には設備資金や運転資金、納税資金、賞与資金などが該当するでしょう。

一方経営状態や資金繰りが厳しくて、その場しのぎの用途で借入したいとなると印象は悪いです。
そのような法人に資金を貸し付けても返済されない恐れが高いと判断されるからです。

返済見込みが立っているか

ビジネスローンを運営している会社にとって、貸した資金をきちんと回収できるかどうかが最大の関心事といえます。
ですから貸したお金の返済見込みがきちんと立っているかどうかも、審査の中では重視するポイントです。

そこで重要なのが事業計画です。
今後どのようなビジネスを行って、どれほどの売り上げが見込めるか、その資金を使って返済できるとローン会社が納得できるような計画書を作成しましょう。

事業計画とともに用意しておきたい書類として、資金繰り表があります。
資金繰り表があれば、返済するための財源をどのように確保するか説明できるからです。

ビジネスローンの審査が通らない…その理由とは?

ビジネスローンに申し込んでも審査に通らないため、融資が受けられないという事態は十分想定できます。
ビジネスローンの審査に通らないのには、きちんとした理由があります。
法人ごとに理由はありますが、主な要因として以下のような項目が考えられます。

1.書類に不備があった
2.スコアリングが不足
3.返済能力を示せなかった
4.赤字決算である
5.複数のローンに同時並行で申し込んだ
6.税金を滞納している

それぞれどのようなところが借入にあたって問題なのか、以下で詳しく解説します。

書類に不備があった

書類に何らかの不備があると、信用力に問題ありと判断され審査に通らない恐れがあります。
申込書に記入漏れがある、記入ミスがあるなどです。
特に注意したいのは、記入ミスです。
ただの誤りか、意図的に虚偽申告しているか、判断できないからです。

特に売り上げや業歴などの数字面で記入ミスがあると、虚偽申告を疑われる可能性が高いです。
特に近年、ビジネスローンはWeb申し込みが普及しています。
パソコンやスマホでその場で申し込み手続きするのは便利です。
しかし入力ミスや変換ミスが起こりやすいので、注意してください。
申し込みフォームが完成したらすぐに提出するのではなく、見直しして誤字脱字、記入漏れがないか確認しましょう。

スコアリングが不足

ノンバンク系のビジネスローンを中心として、審査時にスコアリングシステムを導入しているところは少なくありません。
スコアリングシステムとは法人の属性を数値化して、合計得点が金融業者の提供する基準を満たしているかどうか考査する手法です。

ノンバンク系のビジネスローンは特に審査がスピーディといわれています。
最短即日融資も可能ですが、スコアリングシステムでコンピューターによる審査ができているからこそです。

もしスコアリングの総合ポイントが審査基準を満たしていないと、審査は通らないのです。
例えば業歴が浅いと、法人の経営力が未知数で数値が低くなります。
特に起業して1年未満だと審査は厳しくなるので、注意してください。

返済能力を示せなかった

ビジネスローンで審査が行われるのは、貸したお金がきちんと返済されるか確認するためです。
もし返済能力を示せなければ、当然のごとく審査に通らないという憂き目にあいます。

逆に言えば、返済能力をきちんと示せれば融資を受けられる可能性は高まります。
たとえ赤字決算など、経営状況がよくなくても説得力のある返済計画を示せれば融資が受けられるかもしれません。

そこで返済能力を証明できるような資料を準備しましょう。
特に重要なのは、事業計画書です。
事業計画書を作成する際には、業界の市場概況や競合相手、それらを踏まえた自社の強みを説明しましょう。

またただいいことだけを書いただけでは、逆に先方に「本当に大丈夫?」と思われかねません。
今後どのようなリスクがあるのか、予測される項目とどう対処するか説明したほうが現実的で説得力のある事業計画書になります。

赤字決算である

赤字決算の会社の場合、審査に通らない可能性が高まります。
収益が出ていないところに融資しても、その債権を回収する見込みがないと判断されるからです。

ただし1年だけ赤字決算で、手掛けている事業に将来性があれば融資してくれる可能性があります。
また災害など法人の手の届かない要因で赤字になった場合でも、返済のめどが立っていれば融資されるかもしれません。

しかし2期以上連続で赤字決算を続けていると、審査に通らない可能性はぐっと高まります。
慢性的に赤字体質の法人の場合、将来性はないと判断されるからです。

複数のローンに同時並行で申し込んだ

確実にビジネスローンで借入したいとなると、滑り止めのような感覚で複数のローン会社に同時並行で申し込みたいところでしょう。
しかしこれをやると、逆に審査に通らない危険性を高めてしまいます。

信用情報機関では、個人や法人の借入に関する情報を登録しています。
登録項目は借入状況、返済状況のほかに申し込み情報も含まれます。
ほとんどの金融業者は審査時、信用情報をチェックします。

つまり短期間で複数のローン会社に申し込んでいることも把握されてしまいます。
もし短期間で複数のところに申し込んでいるのがわかると、「よほどお金に困っている会社に違いない」と思われます。
その結果、融資した資金の回収見込みなしとみなされ、融資否認となるわけです。

ビジネスローンに申し込む際には、まず特定のローン会社一つに絞って手続きしてください。
そこで融資を断られた場合、別のローン会社に申し込む形を取ったほうが融資も受けやすくなります。

税金を滞納している

税金の滞納があると、まず間違いなく審査は通らないと思ったほうがいいでしょう。
納税は日本国憲法でも三大義務の中の一つに数えられているほど、国民が履行しなければならない最低限の義務です。
それができないとなると、よほど業績が悪く、資金繰りの悪化している企業であると思われてしまいます。

ですからどんなに資金繰りが厳しかったとしても、税金の滞納は避けるようにすべきです。
またビジネスローンの審査が通らない状態でここまで紹介した理由に心当たりがなければ、税金の支払い漏れがあるかもしれません。
一度納税状況がどうなっているか、確認したほうがいいでしょう。

審査通過率を上げるビジネスローンの申し込み対策

ビジネスローンの審査に通るためには、申し込み時にいろいろと対策を講じる必要があります。
100%確実に融資を受けられる保証はできませんが、通過率を多少なりとも上げることは可能です。
具体的に自分たちでできる対策として、以下のようなものがあります。

1.借入希望額は必要最低限
2.担保があれば差し出す
3.保証人を立てる
4.赤字決算なら経営の立て直しを
5.審査の甘いビジネスローンを利用する

以上どのようなことに注意すればいいか紹介しますので、今後の申し込み時の参考にしてください。

借入希望額は必要最低限

融資額が大きくなるとそれだけ不良債権化リスクが高くなるので、審査も厳しくなります。
逆に言えば、融資額が少なくなればそれだけ審査も甘くなりやすいです。
ですから借入希望額は、できるだけ少なく設定すると審査通過の可能性も高まります。

そこでまずは具体的にどのくらい資金が必要で手元にいくら資金があり、いくら不足しているのか具体的に計算することです。
また借入して期日通りに返済すれば、クレジットヒストリーが高まって信用力が増します。
少額借入、返済を繰り返せば、いずれはまとまった金額の借入もできるようになるかもしれません。

担保があれば差し出す

担保設定すると、返済不能になっても担保を差し押さえればいいので債権者側はリスクが低くなります。
ですから審査も甘くなり、融資の可能性も高まります。

「担保を出せといってもそんな不動産を持っていない」という法人代表者もいるでしょう。
しかし担保は何も不動産に限った話ではありません。
株券や国債、自動車などの動産も担保にできるので、担保設定できそうなものはないか見直しましょう。

保証人を立てる

担保と同じく、保証人を立てることで法人の信用力を補完でき審査通過の可能性を高められます。
ビジネスローンでは保証人なしでも融資してくれます。
しかしあえて保証人を立てることで、信用力を高められます。

ただしもし自社で返済できなくなれば、保証人に返済義務が発生します。
保証人に大きな迷惑のかかる可能性がありますので、そのことも説明したうえで保証人になってもらえないか相談してください。

赤字決算なら経営の立て直しを

赤字決算が慢性化していると、そのままではビジネスローンの審査には通らないでしょう。
そこで赤字体質からの脱却を検討しなければなりません。
赤字対策として、すぐに手を付けられるのが経費の見直しです。

会社から出ていくお金を圧縮して、少しでもマイナス収支を少なくしましょう。
例えば都心の一等地にオフィスを構えている場合、郊外に移転することで地代家賃を減額できます。
また外注費で余分なものがないか、自分たちで賄えるものはないかこの際見直しましょう。

審査の甘いビジネスローンを利用する

ビジネスローンでも会社によって、審査基準はまちまちです。
審査の甘そうなビジネスローンに申し込むのも一つの方法です。

審査の緩めのビジネスローンにはいくつか特徴があります。
まず運営会社ですが、銀行よりはノンバンク、ノンバンクでも大手よりも中小の方が審査は甘めといわれています。

また金利をチェックしましょう。
金利が高めのビジネスローンの審査は柔軟なところが多いです。
審査を甘くして返済リスクの高いところに貸し出して、利息払いで債権回収リスクを抑制しているからです。

利息制限法では10万円未満20%、100万円未満18%、100万円以上15%が上限金利です。
この利率に近いビジネスローンは審査の甘い可能性が高いです。
ただし返済時の利息を余計に支払わないといけないので、借入出来たら優先的に返済に回しましょう。

まとめ:審査が通らないのは理由あり・なぜ通らないのか検証しよう

ビジネスローンの審査に通らないのには、きちんとした理由があります。
やみくもにそのままの状況で申し込んでも、同じ結果になるでしょう。

審査に通らないのにはきちんとした理由があります。
ここで紹介した審査に通らない理由を見直して、何がいけなかったのか検証してください。
そして問題点を改善することで、審査通過率はアップします。