法人が資金調達する方法として、今回紹介するビジネスローンも選択肢のひとつです。
銀行融資や日本政策金融公庫と比較して審査がスピーディで、すぐ融資を受けられるのが魅力といえます。
また審査も甘めで銀行融資にて審査落ちしても、ビジネスローンであれば、融通してもらえるかもしれないのもメリットのひとつです。

しかし一方でデメリットがいくつかあるのも事実です。
メリットとデメリットの両方を理解したうえで、うまく活用することが大事といえます。
以下ではビジネスローンのデメリットと、注意点について紹介します。
利用しようと思っている法人は、ぜひとも目を通しておいてください。

ビジネスローンのデメリットとは?

ビジネスローンは借りやすい、すぐに融資してもらえるなどのメリットがあります。
一方でデメリットもありますので、しっかり理解しておきましょう。
主だったデメリットとして、以下のような項目があげられます。

1. 金利が高い
2. 借入限度額は少なめ
3. ほかの融資の審査に影響の出る可能性
4. 悪徳業者のいる可能性
5. 審査はある

それぞれどのようなところがデメリットなのか、どう対処すればよいかについてまとめました。

金利が高い

ビジネスローンは審査が甘く、スピーディに融資できるのが利点です。
しかし審査の甘いぶん、信用力のあまり高くないところに貸し付けてしまう恐れがあります。
その結果債権回収ができなくなるかもしれません。

リスクマネジメントの一環として、ビジネスローンでは金利が高めの商品が多いのです。
ほかの資金調達方法として、日本政策金融公庫や銀行融資があります。
日本政策金融公庫だと0.30~1.55%、銀行融資は1.0~4.0%前後が相場といわれています。

一方ビジネスローンを見てみると、2.0~18.0%が目安です。
ほかの資金調達方法と比較して、かなり高利であることがわかるでしょう。

返済期間が長引くと、それだけ余計に利息を払わないといけません。
もし借り入れるのであれば、返済に優先的に資金を回してできるだけ借入期間を短くしましょう。

借入限度額は少なめ

借入限度額が低めに設定されているのも、ビジネスローンのデメリットのひとつです。
融資可能な金額は商品によってまちまちとなっています。
しかしおおよそ500~1,000万円が、マックスの商品がほとんどです。

日本政策金融公庫ではコロナ禍の中で、新型コロナウイルス感染症特別貸し付けを用意しています。
中小企業事業では6億円をマックスにして、融資が行われています。
銀行融資も数億円といった、まとまった額の貸し出しに対応しているものが多いのです。

これらと比較すると、ビジネスローンの融資額は限定的であることがご理解いただけるでしょう。
もしビジネスローンを利用するのであればつなぎ資金など、当座の資金繰りのために使うように心がけましょう。

一部銀行のビジネスローンの中には、5,000万円や数億円程度の貸し付けも可能な商品も、あるにはあります。
しかしかならずしも、これだけのお金が借りられるわけではありません。
借入限度額は法人の売り上げや、自己資金額をベースに個別に設定されます。
そのため高額融資に対応した商品の審査に受かっても、希望する額の借り入れができない可能性もあります。
この点には留意しておきましょう。

ほかの融資の審査に影響の出る可能性

ビジネスローンで借り入れができたけれども、ほかの融資を受ける際にマイナスの影響が出てくる可能性もあります。
たとえば金融機関で融資の相談をしたとしましょう。
この際はビジネスローンはじめ、ほかの借り入れ状況ももちろんチェックされます。

ビジネスローンは審査が甘めで、借りやすいところがメリットとされます。
ただし見方を変えると、銀行融資の受けにくい人向けの商品ともいえるでしょう。

ビジネスローンを利用していると資金のやりくりに窮しているのではないか、銀行融資が受けられないからビジネスローンを利用しているのではないかと、思われかねません。
また先に借り入れているビジネスローンの返済が優先で、自分のところの返済が滞るのではないかと思われてしまう恐れもあります。
その結果審査落ちしてしまったり、希望する融資額に届かなかったりするかもしれません。

法人の場合、ビジネスローンの借り入れのあることはごまかしようがありません。
決算書に借入先があれば、記入しなければならないからです。

もし将来的に銀行融資を受けるのであれば、ビジネスローンの返済はできるだけ進めておきましょう。
理想は融資の申し入れをする前に完済しておくことです。
それが難しくても、できるだけ債務を少なくしておくことが重要です。

銀行融資は金利がビジネスローンなどと比較すると、低く設定されています。
しかしそのぶん、審査も厳しくなることは理解しておきましょう。

悪徳業者のいる可能性

ビジネスローンを提供している業者の中には、一部悪徳業者も存在しているのもデメリットのひとつです。
ただし悪徳業者はほんの一部で、大半の業者はコンプライアンス重視の、まっとうなビジネスをしているところであることも理解してください。

悪徳業者に引っかからないように注意しましょう。
引っかからないようにするためには、その業者の素性をしっかり見極めてから申し込むことが大事です。
貸金業協会には、悪徳業者に関する検索サービスを提供しています。
こちらで業者名を入力して検索してみるとよいでしょう。

またホームページで会社概要を確認しましょう。
会社概要の記載がないのは論外なもののもっともらしく記載されていても実はでたらめだったということもありえます。
会社の所在地や代表者の名前など、素性につながる情報を悪徳業者はさらしたくないと思うからです。

貸金業を営むためには、申請して登録しなければなりません。
登録すると番号が交付されます。
通常「関東財務局長(○)○○○○」といった番号が、チラシやサイトのどこかに掲載されているはずです。

ここで注目してほしいのはカッコ内の番号です。
これは過去何度、更新手続きをしたかを示しています。
貸金業を営むためには、3年に1回のペースで更新しなければなりません。

つまりカッコ内の数字が多ければそれだけ何度も更新している、すなわち業歴の長い業者と判断できます。
業歴のある業者はトラブルのない、法律にのっとった事業を進めているところと推測できるので、まず確認してください。

審査はある

ビジネスローンは審査が甘いといわれますが、だれでも借り入れできるわけではありません。
もし状況が悪ければ審査落ちして、借入できない事例もあるのもデメリットといえます。

とくにローン会社が重視するのは、決算関係の書類です。
売り上げや営業利益の成績が芳しくないと、融資が受けられなくなるかもしれません。
返済能力に難ありと判断されるからです。

ビジネスローンの必要書類の中で、直近2期分の決算書を提出するよう求められます。
つまり業歴2年以上ないと、申し込みできない可能性があるのです。

2年未満の企業に対して貸し付けを行っているビジネスローンも、あるにはあります。
しかし選択肢が狭まってしまうので、起業間もない法人にとってはデメリットに感じられるでしょう。

ビジネスローン利用時の注意点を紹介

審査が甘く、融資までがスピーディなところはビジネスローンのメリットといえます。
しかしこれらの利点も使いようによっては、デメリットになりかねません。
ビジネスローンの主要な失敗事例から、利用する際にはどのような点に注意すべきかについてまとめました。

返済は計画的に

ビジネスローンは高金利であることが、デメリットと紹介しました。
よって返済計画を綿密に立てていないと、利息が次々に膨らむことも起こりえます。

経営者の中には事業が忙しくなると、本業ばかりに目が行ってしまい、返済は後回しにしてしまう人もいます。
その結果気が付いたときには、負債がなかなかの額に膨らみあがっていることもありうる話です。

もしビジネスローンを利用するのであれば、返済を計画的に進める必要があります。
返済は後回しにするのではなく、むしろ優先的に進めていきましょう。
返済期間を短くすれば、その分利息の支払い額も圧縮できるわけです。

使いやすくて借金が膨らむ

ビジネスローンの中には、最短即日で借り入れられるような商品があります。
借りやすさは普通メリットなものの、使い方によってはデメリットになりかねないので注意してください。
借りやすさのあまり、借り癖のついてしまう事例もあるからです。

借りやすいので少しお金に困った時にすぐに借金してしまうケースも考えられます。
繰り返しお金を借りることで1回当たりの額は少なくても、気が付いたらまとまった債務になっていることもありえます。
まとまった債務になれば、利息の支払い額も大きくなり資金繰りをより厳しくしてしまうでしょう。
本当に必要な時だけ、借り入れるように心がけてください。

ビジネスローンを利用すべきケースについて紹介

ここまで紹介したようにビジネスローンは借りやすい半面、金利が高いなどのデメリットもあります。
また気軽に借金を繰り返すと気が付いたときには、多額の債務が残っていたといったことも考えられます。
そこでどのような時に、ビジネスローンを利用すべきかについてまとめました。

今すぐに現金が必要

まずは「とにかく今現金が必要」という場合には、ビジネスローンの利用がおすすめです。
「銀行融資に申し込んでいるけれども、稟議が下りない」「月末に売掛金が入ってくるけれども、それまで乗り越えられるだけの資金が必要」といった事態です。

ビジネスローンは審査スピードの早いところが特色といえます。
最短即日、どれほどかかっても1~2週間後には融資が実行されます。
あるところが経営者を対象にした、ビジネスローンを利用した理由に関するアンケートを実施したところ「借入までの期間が短いから」と、答えた人が1/3近くいました。

少額だけ借入したい

法人で100万円以下の比較的少額だけ借りたいという事例もあるでしょう。
そういったときにはビジネスローンの利用がおすすめです。

もし銀行融資を利用すれば、面談を受けに銀行の支店に行かないといけません。
またお金が振り込まれるまでに、1か月以上待たされることもざらにあります。
100万円以下を借りるための、労力としては見合っていないでしょう。

ビジネスローンの場合、Webだけで手続きの完結する商品も見られます。
また10万円単位で借入できるものもあります。
さらに細かく1万円単位で設定できるような商品もあるのです。
100万円に満たないような少額借り入れを希望する場合には、ビジネスローンを活用する手段もあると頭に入れておきましょう。

銀行の審査に落ちてしまった

銀行や信用金庫に融資を申し込んだけれども融資が受けられなかった、希望する額に届かなかった法人にも、ビジネスローンはおすすめの選択肢です。
あてこんでいた融資が受けられないと、経営も厳しくなります。
「何とかして資金調達して、当座をしのぎたい」と思った場合には、ビジネスローンの利用も検討しましょう。

銀行融資が受けられなかった場合には、ノンバンク系のビジネスローンがおすすめです。
ノンバンク系は一般の融資と比較して、審査が緩いといわれているからです。
ただし金利が高めなのはデメリットなので必要最小限のお金だけ借り入れ、早めに返済するように心がけましょう。

ビジネスローンにおけるデメリットのまとめ

ビジネスローンは手軽に借り入れられるのがメリットな半面、金利が高めで少額しか借入できないのはデメリットです。
また手軽に借りられるのですぐに借り入れてしまって、気が付いたときにはかなりの債務を抱えているといったデメリットも起こる可能性はあります。
利用する際には注意しなければなりません。

メリットとデメリットの両面があるので、ビジネスローンの正しい使い方をマスターすることが大事です。
今すぐお金が必要、少しだけお金を借りたいといったときに利用しましょう。
そのうえで利息の支払い額を増やさないために、できるだけ短期間で完済するように心がけましょう。