中小企業の経営者で資金繰りに頭を悩ませている人もいるでしょう。
銀行融資がなかなか受けられない、売掛金の回収ができないなどで手持ち資金が足りないと悩んでいませんか。
その場合資金調達方法のひとつに、今回紹介するビジネスローンがあります。
ビジネスローンは審査スピードが速く、審査も銀行融資と比較して甘いといわれています。
しかし使い方によっては、自分で自分の首を絞めてしまう結果にもつながりかねません。
ここではビジネスローンの成功例と失敗例をいくつかピックアップして、正しい使い方について解説します。
目次
中小企業の資金繰りにおすすめなビジネスローン
ビジネスローンはもともと中小企業向けの事業資金融資サービスです。
中小企業にとって、資金繰りは常に大きな課題になるでしょう。
とくに短期的視野に立って外部から資金調達して、キャッシュフローを何とか回そうとした場合、ビジネスローンは役立ちます。
中小企業の現状とは?
中小企業庁では、年間の倒産件数に関するデータを公開しています。
そのデータについてみてみると、2022年度の中小企業の倒産件数は6,428件でした。
その中でも最も多かった原因は販売不振で、4,525件に達しています。
これは全体の7割強に該当するのです。
商品を製造するためには原材料費や人件費がそれなりにかかります。
ところが商品をいざ売ろうと思っても売れなければ、マイナス収支です。
大企業と比較して経営基盤がぜい弱な中小企業で販売不振が続けば、もちこたえられずに倒産してしまいます。
しかし商品を売り出していきなりヒットすることは稀です。
広告で周知徹底して、消費者が手に取って商品のよさを実感して初めて売り上げが伸び、収益が発生します。
そこまで持ちこたえるにはどうすればよいか、短期的な経営戦略が求められます。
銀行融資では間に合わない可能性も
資金調達するにはどうすればよいか、経営者の中で真っ先に思い浮かぶのは銀行融資かもしれません。
しかし銀行融資の場合、低金利で多額の融資にも対応している半面審査が厳しいものです。
たとえ融資決定が下りても、申し込んでから1か月近くかかることもざらとなっています。
ただ短期的な資金繰りをする場合、審査に1か月近く時間がかかると間に合わないことも考えられます。
そこでビジネスローンの出番です。
ビジネスローンは審査の早さがウリです。
かかっても1週間程度、早ければ即日融資に対応しているところもあります。
喫緊の資金調達として、ビジネスローンを活用するのは選択肢のひとつといえるでしょう。
成功例に見るビジネスローンの活用方法
ビジネスローンで資金調達して、資金ショートの危機を脱したという中小企業は数多くあります。
ビジネスローンを活用した中小企業は、具体的にどのような用途で利用しているのでしょうか。成功例をみると、以下のような用途でビジネスローンを借り入れているようです。
1. 納税資金
2. 売掛金の遅れ
3. 大量発注費
4. 従業員への給与支払い
5. 工事代金の前払い
6. スタートアップ
7. 貿易取引のため
8. フリーランスの活動費として
以上どういった用途でビジネスローンが利用されているのか、成功例を踏まえて詳しく見ていきます。
納税資金
ビジネスローンの成功例の中でも納税資金は見逃せません。
とあるローン会社でも最も多い申し込み理由が納税資金というほどです。
法人活動をしていれば、各種税金はどうしても発生します。
手元に現金があれば問題ないものの、資金繰りの問題で十分なキャッシュがないこともあるでしょう。
そのような場合、一時的な危機を脱するためにビジネスローンを活用する成功例も少なくありません。
売掛金の遅れ
売上は納品時に支払われることはないでしょう。
売掛金として後日支払ってもらうスタイルを取っているところが多いでしょう。
また売掛金が取引先の事情で、支払いがずれることもあります。
入金と支払いをタイトなスケジュールで行っている場合、売掛金が少しでもずれてしまうと支払いができなくなることもありえます。
支払いが期日通りにできない、延期すると取引先が経営状況に疑問視されるかもしれません。
もし売掛金の回収が遅れ、手元に現金がない場合つなぎ融資としてビジネスローンを活用する成功例はしばしば見られます。
売掛金の入金が確実視されるけれども、当座の支払資金を調達するためにビジネスローンを利用するのは選択肢のひとつです。
大量発注費
とある商事会社では得意先との商談がまとまって、大量発注を受けることになりました。
しかしその商事会社、まだ業績が浅く大量発注に対応できるだけの仕入費がありませんでした。
大量発注を受けているので、それを売れば大きな売り上げを記録できます。
しかし仕入はその前に発生するので、資金をどう確保するかが課題になります。
そこでビジネスローンを活用しました。
ビジネスローンで資金借入して、原材料の仕入れを行いました。
そして商品を納品して、売上も順調で大きな利益を上げたという成功例です。
ビジネスローンは将来性も融資の可否で重視します。
事業計画と収益の見込みに関する資料を作成し、将来確実に大きな売り上げを得られると納得できる説明をすれば、融資を受けられる可能性はあります。
従業員への給与支払い
従業員の給与支払いのためにビジネスローンを活用した成功例があります。
業績好調で生産拡大のために設備投資をしました。
ところが仕入先に支払いを終えた段階で、資金ショートの恐れがあることに気が付きました。
この会社の経営者は事業拡大に頭がいっぱいで、資金繰りまで気が回らなかったそうです。
そして従業員への給与支払いがこのままではできなくなります。
そこで給与支払いのために、ビジネスローンを活用しました。
給与支払いが滞ると、従業員のモチベーションが低下する懸念もあります。
しかしビジネスローンでしっかり給与を支払ったことで、モチベーション低下を招くことも回避できました。
そして設備投資して生産拡大した結果、業績もさらに向上したという成功例です。
工事代金の前払い
工事を発注するにあたって、前払い資金としてビジネスローンを活用する成功例は少なからずあります。
ビジネスローンで資金調達すれば、たとえば下請け先などに代金を前倒しで決済も可能です。
前倒しで決済すれば、交渉も有利に進められます。
たとえば工事単価なども安く済ませられ、収益効率も向上するかもしれません。
さらに早めにお金を支払うことで、取引先の企業や職人などのモチベーションもアップします。
運転資金としてビジネスローンを活用する成功例のひとつです。
スタートアップ
スタートアップの際にまとまった資金が必要になります。
オフィスを借りるための賃料や機材・備品の調達などです。
自前ですべて賄えるだけの開業資金を用意するのは難しいでしょう。
そこでビジネスローンを活用する成功例が出ていきます。
開業資金に必要なお金をビジネスローンで調達することで、当初の予定通りに事業を始められます。
業歴が全くない未知数のところに、銀行はなかなか融資しません。
やはり債権回収できないリスクが考えられるからです。
ビジネスローンも2~3年の業歴を審査の条件としているところが多いものです。
しかしきちんと事業を軌道に乗せられる、将来性があると判断されれば、スタートアップでも資金を融通してくれる可能性はあります。
実際成功例を見てみると、創業時に事業スキームをしっかり準備していた経営者が多いのです。
ローン会社にどのように利益を上げるか納得のいく説明ができれば、ビジネスローンからの借入も十分可能です。
貿易取引のため
とある輸入業者がビジネスローンを使った成功例です。
輸入業者がL/C、いわゆる信任状を得るために海外の金融機関に口座開設する必要がありました。
口座開設するためには、ある程度預金をしなければなりません。
しかしもし手持ち資金が足りなければ、どこかから資金調達する必要が出ていきます。
そこでビジネスローンの活用です。
審査がスピーディなので、すぐに資金調達できスムーズに海外の銀行で口座開設ができました。
L/Cの発行もでき、輸入ビジネスを始められたのです。
フリーランスの活動費として
近年個人事業主、フリーランスとしてどこの会社にも属さずに活動する方も多くなりました。
今回はフォトグラファーとしてフリーで活動している人の成功例についてみていきます。
このフォトグラファーは、海外で大きな案件を獲得しました。
しかし海外で活動するためには渡航費がそれなりに必要です。
ところが入金は先日付だったので、手持ち資金だけで渡航費を賄うのが難しくなりました。
そこでビジネスローンで借入して、必要な渡航費を確保することに成功しました。
無事ビジネスローンからの借入金を利用して、海外での活動ができたのです。
その後報酬が入金され、そのお金をもとにしてビジネスローンも完済しました。
フリーランスの場合、報酬が何か月か先なこともありえます。
このため短期的にお金が不足することもあるでしょう。
そこでビジネスローンで不足分を調達することで、窮地を脱したという成功例も少なからず見られます。
ビジネスローンはリスクもある・失敗例から注意点を学ぼう
ここまで見てきたようにビジネスローンを利用した成功例は数多くあります。
しかし一方でビジネスローンを利用した結果、経営を圧迫する失敗例も見られるのです。
失敗例をみることで、ビジネスローンにはどういったリスクがあり、どこに注意すればよいかあらかじめ学んでおきましょう。
1.高金利で失敗
2.使い勝手のよさがあだに
それぞれどのような失敗だったのかについて解説しますので、これから借り入れようと思っている人は参考にしてください。
高金利で失敗
ビジネスローンは銀行融資と比較して審査が甘く、融資までのスピードも早いのが魅力です。
しかしそうなると不良債権化するリスクが高いので、損失を出さないために金利を高めに設定しています。
とある企業がビジネスローンで運転資金を借り入れて、急場をしのげました。
しかし即日融資のビジネスローンを利用したため、金利は利息制限法ぎりぎりの18%だったのです。
返済を早めに進めればよかったのですが、売上をほかの支払いに使ってしまいました。
その結果利息が次々に膨らんでしまったのです。
気が付いたときにはまとまった金額が債務として残り、借金返済に苦労することになりました。
ビジネスローンは借りやすいものの、利息の支払い負担は大きいのです。
返済総額を少しでも減らすためには、優先的にビジネスローンの返済に回すべきでしょう。
使い勝手のよさがあだに
ビジネスローンは審査が甘め、業者によっては即日融資に対応しているところもあります。
利便性が高く気軽に借入できるものの、それが逆に仇になって失敗してしまう事例も出ていきます。
とある会社では資金ショートのピンチだったので、ビジネスローンで緊急借入を実行しその結果、急場をしのぐことに成功しました。
しかしそのことが逆にあだになってしまいました。
その会社の代表者はビジネスローンの成功例に味を占め、お金に困ると「とりあえずビジネスローンで資金調達しよう」と、借り癖がついてしまったのです。
1回当たりの借入額は少なくても、借入を繰り返したことで気が付いたときにはかなりの額に借金が膨らんでいました。
しかも先に紹介したように、銀行融資などと比較してビジネスローンは高利です。
利息も多く支払う羽目になって、経営が厳しくなってしまいました。
ビジネスローンは本当に資金不足に陥った時に、その不足分を賄うためにも必要最小限の額を借りるように心がけましょう。
ビジネスローンの成功例についてのまとめ
ここまで成功例を数多くみていきました。
ビジネスローンは中小企業の資金繰りをサポートしてくれる、心強いパートナーです。
審査が甘め、融資までスピーディなのでつなぎ資金など窮地を脱したという成功例も数多くあります。
しかしビジネスローンは万能ではありません。
金利が高いなどのデメリットもありますので、ビジネスローンの性格を正しく理解したうえでうまく活用しましょう。