法人にとって永遠のテーマといっても過言ではないのが、資金繰りです。
資金繰りは私たちの身体における血液によくたとえられます。

もし血液が流れなくなれば、私たちは死んでしまいます。
法人も同様で、資金繰りが立ちいかなくなると経営危機に陥ってもおかしくありません。

資金繰りの方法をいろいろと持っておいた方が、リスクマネジメントもしやすいです。
今回紹介するビジネスローンも使いようによっては、法人経営を助ける貴重な資金調達方法になりえます。

ビジネスローンが法人にとっておすすめな理由を紹介

法人の資金調達手段として、ビジネスローンを活用するのも選択肢の一つです。
ビジネスローンにはほかの金融商品にはない、いくつかのおすすめポイントがあるからです。
具体的にどんなところがおすすめなのか、以下のようなことが挙げられます。

1.審査がスピーディ
2.審査が甘め
3.総量規制の対象外
4.保証人や担保を準備する必要がない

それぞれ、どのようなところがおすすめなのか詳しく見ていきます。

審査がスピーディ

法人向けの借入サービスとして思い浮かべるのは日本政策金融公庫による公的融資や銀行の行っているプロパー融資などを連想する方も多いでしょう。
これらの融資制度は数千万円から数億円単位の多額の融資にも対応していますし、金利も低めに設定されているので返済負担もあまり大きくありません。
しかしネックなのが審査にかかる時間で、少なくても2週間から1カ月はかかると思っておかないといけません。

これらと比較して同じ法人向け融資のビジネスローンは、審査がスピーディなのはおすすめポイントといえます。
法人向けビジネスローンの場合、申し込んでから融資実行されるまでどんなにかかっても1週間から10日程度です。
ノンバンクの中には、最短即日融資を行っているようなところもあります。

審査が甘め

プロパー融資や日本政策金融公庫からの融資と比較して、ビジネスローンは審査基準が甘めといわれているのもおすすめポイントの一つです。
ビジネスローンは銀行融資のように数千万円とか数億円といった大型の貸付は行っていません。
せいぜい多くても数百万円程度です。

借入限度額を少なめに設定しているので、たとえ債権回収できなくても銀行融資ほどの大きな損失は計上せずに済みます。
また他よりも高めの金利にして利息を多めにとっているので、債務不履行になっても不良債権はそれほど多くなりません。

ですから審査を甘めにして、経営基盤が盤石ではない中小企業や零細企業にも比較的積極的に融資しています。
銀行のプロパー融資では審査落ちしてしまった法人でも、法人向けビジネスローンなら借り入れることができたといった事例も決して珍しくありません。

法人向けビジネスローンは銀行系のほかにもノンバンクでも提供しているサービスです。
銀行系だと金利は低めな一方で、審査はやや厳しめです。
ノンバンクの場合金利は高めに設定されている一方、審査は甘めといわれています。
着実にビジネスローンの審査を通過したければ、ノンバンクの中から申し込み先を選ぶのがおすすめです。

総量規制の対象外

ノンバンクのような貸金業者に対しては、貸金業法というルールがあります。
貸金業法の中には、総量規制という決まりがあります。

総量規制は、申込人の年収の1/3を超えて貸し付けてはならないという決まりです。
これは返済能力を超える借入をしないという利用者保護の観点から作られたルールです。
しかしビジネスローンは、総量規制の対象外です。

よって経営者の年収の1/3を超える借入希望額で申し込んだとしても、それで即審査落ちになるようなことはありません。
事業のためにまとまった借入が必要になった場合でも、法人向けビジネスローンを活用すれば課題解決できるかもしれません。

保証人や担保を準備する必要がない

銀行融資などの場合、借入条件として保証人や担保を出すように言われる場合もあります。
しかしビジネスローンは、保証人や担保なしでも借入可能な商品です。

担保というと一般的には不動産などをイメージする人もいるでしょう。
しかし中小・零細企業の中には、担保として提供できる不動産などの資産を持たないところもあるでしょう。
そのような法人でもビジネスローンであれば、気軽に申し込めるのはおすすめです。

ただしすべてのビジネスローンで担保や保証人が必要ないとは限りません。
条件次第では、担保や保証人をつけないと借入できない可能性もありますのであらかじめ理解しておいてください。

ビジネスローンはおすすめできない?注意点について紹介

ビジネスローンは法人向けのローンとしておすすめではありますが、一部注意点があります。
注意点を頭に入れておかないと、逆に経営状況を厳しくしてしまう恐れがあります。
法人向けビジネスローンを利用するにあたって、以下の部分に注意しましょう。

1.金利は高め
2.融資限度額は低め
3.銀行融資に悪影響をもたらす可能性

以上どのような部分に注意したほうがいいのか、詳しく解説します。

金利は高め

一般的に融資商品は審査の甘めのところは金利が高めに設定されます。
万が一債務不履行になった場合に、損失をできるだけ少なくするためです。
ビジネスローンは審査が甘めです。
ですから金利はほかの法人向けローンと比較すると高めに設定される傾向が見られます。

法人向けビジネスローンの金利は「○○~○○%」と利率に幅を持たせています。
利用者の信用力をベースに、個別に利率を設定します。
一般的に初めて利用する際には、上限金利もしくはそれに近い利率の適用される可能性が高いです。

上限金利を見てみると日本政策金融公庫で0.3~2%が相場です。
銀行のプロパー融資は2%台が一般的といわれています。

一方ビジネスローンの上限金利を見てみると低くても10%前後です。
またノンバンク系のビジネスローンは18%前後と、利息制限法ぎりぎりの上限金利にしているところも少なくありません。
ですから公的融資や銀行融資と比較すると、金利は高めです。

返済期間が長引くと、利息の支払いがどんどん膨らんでしまいます。
返済総額も大きくなり、その負担が経営を圧迫することも考えられますので注意しましょう。

融資限度額は低め

法人向けビジネスローンは公的融資や銀行融資と比較して、融資限度額は低めです。
これも審査の甘い分、損失額を大きくしないようにするリスクマネジメントのためです。

日本政策金融公庫の小規模企業向けの一般貸付は4,800万円、特定設備基金の場合7,200万円が上限です。
銀行融資でも数千万円から1億円程度は中小企業でも信用力によっては貸し出しが可能です。

しかしビジネスローンを見てみると、主に数十万円から数百万円の小口融資がメインです。
せいぜい借入出来ても1,000万円が限度と思ってください。

銀行融資に悪影響をもたらす可能性

法人向けビジネスローンで借り入れた場合、決算書にその借入情報は記載しなければなりません。
銀行融資を申し込む際には、決算書の提出が義務付けられます。

もしビジネスローンからの借入があれば、銀行があまりいい印象を持たないかもしれません。
ビジネスローンからの借入があるだけで即否決にはさすがにならないでしょう。
ただし借入額が大きい、借入先が多いと審査にマイナスの影響を及ぼすでしょう。

もしビジネスローンの借入額がある程度まとまった額になっていて、銀行から融資を引っ張りたいと思うのであればビジネスローンの返済を優先させた方がいいです。

ビジネスローンのおすすめの活用法について紹介

ビジネスローンはメリットとデメリット、両面ある法人向けの融資制度の一つです。
ビジネスローンの特性を十分把握したうえで、うまく活用するのがおすすめです。

では法人向けビジネスローンはどのような用途で利用すればいいのでしょうか?
おすすめなのは、以下で紹介する方法です。

1.売掛金が予定通りに入金されなかった
2.仕入資金が不足している
3.自然最大で操業停止せざるを得なかった
4.銀行融資までのつなぎ資金として
5.コロナ禍で経営に深刻な影響が出た

それぞれなぜおすすめなのかについて、以下で詳しく見ていきますので参考にしてください。

売掛金が予定通りに入金されなかった

多くの法人が売り上げを取引先から受け取るにあたって、締め日と支払日が設けられているはずです。
まだ受け取っていない売上金を売掛金といいます。
取引先との取り決めで、売掛金の支払期日を決めているはずです。

しかし先方の事情で、期日通りに売掛金が支払われずに遅延する可能性もゼロではありません。
また貸し倒れが起きることもあり得ます。

本来はいるべきお金が約束の期日通りに入ってこなくなると、資金繰りが厳しくなる場合もあるでしょう。
遅れるだけならまだしも、貸し倒れが発生するとほかの取引先に資金の手当てをしなければなりません。

このような時におすすめなのが、ビジネスローンです。
法人向けビジネスローンはほかの資金調達方法よりも早く借入できる可能性が高いです。
一時的な資金繰りの窮地の際に、急場しのぎで短期的にビジネスローンを活用するのがおすすめです。

仕入資金が不足している

法人の中には原材料や商品を仕入れて、自分のところで製品化・加工して納品するようなビジネスモデルのところもあるでしょう。
この場合、原材料や商品を仕入れるための十分な資金がない場合ビジネスローンの利用がおすすめです。

もし仕入資金が十分確保できなければ、商品の納品ができなくなり事業が立ち行かなくなる恐れが出てきます。
そのような経営上のピンチを回避するためにも、ビジネスローンを利用するのは一考です。
スムーズに原材料などを仕入れて、商品の納品を進め資金繰りを円滑に行うことができます。

自然災害で操業停止せざるを得なかった

もし一時的に資金ショートが発生しそうな場合でも、ビジネスローンの活用がおすすめです。
例えば震災クラスの地震や台風などの自然災害でオフィスや工場などが打撃を受け、一時的に事業を停止せざるを得なくなる場合もあるでしょう。

この場合、売上はなくなりますが従業員への給料や仕入れ先への支払いは待ってくれません。
そこでビジネスローンで短期的に借り入れて、当面の資金繰りを切り抜けるのも一考です。

自然災害によって、法人が何らかのダメージを受ける可能性はゼロではありません。
地震は日本国内ならどこで大きなものが起きてもおかしくありません。
また近年温暖化の影響からか、台風が強い勢力を保ったままで日本列島を直撃するケースも増えてきています。
そのために一時的に操業できなくなる恐れもあり得ます。

ですからビジネスが一時的でも不能になった際にビジネスローンが使えることは頭に入れておいて損はありません。

銀行融資までのつなぎ資金として

銀行融資に申し込んで借入できたとしても、それまでに資金がショートしてしまうことはあり得ます。
銀行融資は少なくても2週間、かかる場合には1カ月前後手続きに時間がかかるからです。

銀行融資に申し込んでいるけれどもそれまでに資金が必要な場合、つなぎ資金としてビジネスローンを利用するのも一考です。
ビジネスローンの中には最短即日融資に対応しているようなところもあります。
目先の支払いをビジネスローンで済ませ、その返済は後日融資実行された銀行融資の資金を利用するという法人も少なくありません。

コロナ禍で経営に深刻な影響が出た

2020年に発生した新型コロナウイルスの世界的な流行は、日本にも深刻な影響をもたらしました。
コロナ禍によって経営面で深刻なダメージを受けて、資金繰りが難しくなった法人もあるでしょう。
コロナ禍の時に、ビジネスローンで窮地を脱したという法人も少なくありません。

ビジネスローンは銀行融資よりも審査は甘めといわれていますし、融資までの時間もスピーディです。
さらにビジネスローンは個人向けのカードローンのように、一定の枠内ならいつでも追加で借入できるような商品もあります。
このような手軽さから、手元に資金を残しておくためにビジネスローンをうまく活用した法人も結構あります。

コロナ禍は徐々に終息し、日本でもコロナ禍前の生活を取り戻しつつあります。
しかし今後もまた新型コロナのような新種のウイルスが日本を席巻する可能性はあります。
そんな時にはビジネスローンの活用を検討してみる価値はあるはずです。

おすすめのビジネスローンとは?選び方のポイントを解説

「ビジネスローン」というキーワードで検索にかけると、実にいろいろなサイトがヒットするはずです。
銀行や信販会社、消費者金融など、様々な業態のところがビジネスローンのサービスを展開しています。
そんな数あるビジネスローンの中でも、どこに申し込めばいいか迷ってしまうでしょう。
申し込み先の候補を絞り込む際には、以下で紹介するポイントを押さえて比較するといいでしょう。

1.金利
2.融資までのスピード
3.借入限度額
4.申し込み方法
5.返済方法
6.資金の用途

それぞれどのようなところを重視して判断すればいいか、紹介しましょう。

金利

まずビジネスローン選びの際にチェックすべきは金利です。
金利はできるだけ低い利率のところで借入するのが基本です。
そうすれば、返済する際に利息の支払いをできるだけ少なく抑えられるからです。

ビジネスローンは多くのところで、一定の幅を持たせています。
通常初回申込時は上限金利かそれに近い利率が適用されます。
ですから上限金利の利率がどうかで、候補を絞り込んでいってください。

融資までのスピード

もし今すぐに現金が必要な場合には、融資までのスピードで比較するといいでしょう。
特にノンバンクのビジネスローンの中には、最短即日融資に対応しているようなところもあります。

ただし融資までスピーディなところは、えてして金利は高めに設定されがちです。
ですから金利と融資までのスピード、どちらを優先するかはあらかじめ決めておきましょう。

借入限度額

特にある程度まとまった資金の融資を希望するなら、借入限度額がいくらかチェックしましょう。
ビジネスローンを見てみると、500~800万円あたりが借入限度額としている商品が多いです。

もしこれ以上の資金調達が必要な場合、おのずと利用できるビジネスローンは絞り込まれます。
一部1,000万円までの融資に対応しているようなビジネスローンも銀行系の中で見られます。
まとまった資金を融通してほしい法人は、このようなビジネスローンに優先的に申し込んでください。

申し込み方法

法人の代表者の中には本業で忙しく、なかなかお店に足を運ぶ機会がないという人もいるでしょう。
ビジネスローンの中には来店不要で、Webにてすべての手続きが完了するような商品も見られます。
このようなWeb完結のビジネスローンはおすすめです。

お店に行く必要がないですし、インターネットにおける手続きなので24時間いつでも好きな時に手続きできるのも重宝される理由です。
ただしWeb手続き可能なビジネスローンでもすべてWebで完結するものもあれば、契約時は来店しないといけないものもあります。
どこまでWebで手続きできるのか、申し込む前にきちんと確認しておきましょう。

返済方法

お金を借りれば、後日返済しないといけません。
返済の利便性の高いビジネスローンであれば、こまめに返済できます。

ビジネスローンの中には、お店に直接出向かなくてもATMで返済を受け付けているようなところもあります。
しかもコンビニや銀行と提携して、日本各地の数多くのATMが利用可能なビジネスローンも出てきています。

また近年ではネットバンキングで返済できるようなビジネスローンもあります。
パソコンもしくはスマホで送金できますので、ネットバンキングを利用している法人はネット手続きできるビジネスローンを探すのも一考です。

資金の用途

借り入れたお金を何に使うかで使い分けるのもおすすめです。
売掛金の支払いが遅れているなど急場をしのぎたければ、当座繰越タイプのビジネスローンがおすすめです。
当座繰越とはカードローンのように、限度額の枠内なら自由に借入できる商品です。
急な出費があってもあらかじめ契約しておけば、ATMなどに行って必要な額をすぐに借入できます。

資材購入などある程度まとまった資金を借り入れるのであれば、証書貸付タイプのビジネスローンがおすすめです。
必要な資金を一括で借り入れ、後は返済するだけのビジネスローンです。
長期の借入も可能なので、まとまった額を借りても無理のない返済計画を立てられます。

つなぎ資金であれば、手形貸付タイプのビジネスローンがおすすめです。
手形の振り出しだけで借入できるので、融資までスピーディなのが特色です。
一時的につなぎ資金で乗り切って、後は銀行融資でまとまった額を借りるのもありです。

まとめ:使い方によっては重宝するビジネスローンを利用しよう

金利が高い、借入限度額が低めなどデメリットもありますが、審査が甘めで借入まで時間のかからないお手軽さはビジネスローンのおすすめポイントです。
イレギュラーなことが起こって、手持ち資金だけでは対処できない時などには非常に重宝するビジネスローンです。
自分たちに合ったビジネスローンを見つけて、いざというときに活用してみるのはいかがですか?