経営者にとって、2023年は正念場の年になるかもしれません。
というのも2023年になって、倒産ラッシュとも呼べる状況に陥っているからです。
自分の会社が倒産の憂き目にあわないために考えないといけないのは、資金調達です。
これまではコロナ禍の中で、いろいろな経営救済策が講じられていました。
しかし2023年以降、そう手厚いサポートが受けられないかもしれません。
そんな厳しい状況の中でおすすめの資金調達方法として、ビジネスローンがあります。
ここでは2023年の企業の置かれる状況とビジネスローンの活用法を中心に見ていきます。
目次
2023年は倒産ラッシュ?法人の取り巻く環境を解説
ネットを検索してみると、2023年は倒産ラッシュになるかもといった論調のサイトがたくさん出てきます。
なぜこのように言われるのか、いくつか根拠があります。
そこでここでは、なぜ経営者にとって2023年は厳しい年になるのかについてみていきましょう。
コロナ禍前の水準に戻る
2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的流行により、自粛生活が広く浸透しました。
その影響で、多くの企業が壊滅的な被害を受けたとされます。
しかし実際のところ、コロナ禍の倒産件数はさほど多くなかったです。
むしろ2021年などは歴史的低水準でした。
これは政府が企業救済のため、融資の優遇制度を設けるなどいろいろな対策を講じたためです。
しかしこのような政府によるサポートが手薄になりつつある2023年、倒産件数が増えるのではないかとみられています。
実際帝国データバンクの調査によると、2023年3月の1カ月間だけでも倒産件数は800件に上りました。
これはコロナ禍前の水準に戻ったとされます。
倒産は急増中
倒産が増加傾向にあるのは、その前年の2022年5月からずっと続いています。
前年同月を上回る倒産件数は2023年3月時点で、11カ月連続の状況です。
また先ほども紹介したように2023年3月の倒産件数は800件でした。
これは先月の2023年2月の574件と比較して、39.4%の増加でした。
急速なペースで倒産が進んでいることがわかるでしょう。
ちなみに帝国データバンクの把握している倒産件数は、負債総額が1,000万円以上の法的処理を行った件数です。
中小零細の中には、ここまでの負債を抱えずとも倒産する事例は少なくありません。
ですから実際には2023年3月には800を超える法人が倒産した可能性もあるわけです。
2023年倒産の傾向
2023年の倒産の傾向を見てみると、業種では建設業や小売業、サービス業の数は顕著です。
サービス業の中では広告業の倒産件数が目立ちました。
倒産の要因を見てみると、不況型倒産が全体の8割近くを占めました。
不況型とは販売不振や輸出不振による倒産のことです。
負債規模で見てみると、5,000万円以上5億円未満の占める割合が大きかったです。
この規模でみると、中堅企業の倒産が目立ったということです。
ゾンビ企業の倒産が相次ぐ危険性
2023年に入って懸念されているのが、いわゆる「ゾンビ企業」の倒産です。
元々経済基盤が盤石でなく、本来であればコロナ禍ですでに倒産していたはずの企業のことです。
彼らはコロナ禍の中で手厚い補助金や無利子無保証料のコロナ融資を受けて、何とかこれまで乗り切ることができました。
しかしコロナ禍を脱しつつある現在、コロナ対策の救済措置で何とか資金繰りを乗り切ってきた体力に乏しい企業にとっては厳しくなります。
景気が上昇傾向になって原材料や人件費が上昇し、運転資金を捻出できずに倒産するわけです。
「景気の変わり目は倒産件数が増える」という格言が経済の世界にはあります。
まさに今後その通りの展開に陥る恐れがあるわけです。
日本政策金融公庫をはじめとした支援
コロナ後の倒産件数の急増に対して、政府もただ指をくわえてみているわけではありません。
2023年3月末としていた援助を2023年9月末まで延長する支援策を打ち出しています。
主な支援策として、以下のようなものが挙げられます。
1.低利・無担保融資
2. 資本性劣後ローン
3.セーフティネット貸付
4.民間ゼロゼロ融資などの返済負担軽減制度
1~3については2023年9月末まで実施されることになりました。
各項目の概要について紹介しますので、法人の代表者は利用できるものはないかチェックしてみてください。
低利・無担保融資
新型コロナの影響で売り上げが5%以上減少した、債務償還年13年以上の大きな債務を抱えた事業者を対象にして、3年間は基準金利から0.9%引き下げた条件で融資を行う制度です。
ただし低利の対象には上限が設けられています。
中小企業事業で4億円、国民生活事業では6,000万円が上限です。
貸付期間は20年以内です。
そのうえで最長5年の据え置き期間が設けられています。
資本性劣後ローン
こちらは資産査定上資本とみなすことができるようにする制度のことです。
資本を増やすことで、民間からの融資を受けやすくできます。
新型コロナによって、キャッシュフローが不足しているもしくは一時的な財務状況の悪化から立ち直ろうとしている企業が対象です。
融資は中小企業事業が10億円、国民生活事業が7,200万円を上限とします。
貸付期間は5年1か月・7年・10年・15年・20年の中のいずれかが選択されます。
セーフティネット貸付
こちらは昨今のウクライナ情勢で利益率が減少した企業を対象にした貸付制度です。
特に原油価格が上昇し、利益確保が難しくなった法人であれば申し込み可能です。
セーフティネット貸付では、基準金利から0.4%引き下げて借入できます。
借入限度額は中小企業事業で7億2,000万円、国民生活事業で4,800万円です。
借入期間は設備資金であれば15年、運転資金の場合には8年以内となります。
そのうち、据置期間として最長3年間の設定も可能です。
民間ゼロゼロ融資などの返済負担軽減制度
こちらは借り換え保障制度の中の一つです。
民間ゼロゼロ融資のほかにも、保証付き融資などにも対応できるようになっているのが特徴です。
売上もしくは収益が5%以上減少した法人が対象です。
そのうえで、経営行動計画書を作成して、金融機関から継続的な支援を受けられる事業者が対象です。
こちらは融資上限が1億円となります。
保証期間は最長10年、据置期間も最長5年設定することが可能です。
この場合、保証料として借入金額の0.2%負担しなければならないので注意しましょう。
2023年の資金繰りのピンチを乗り切るにはビジネスローンの活用も必要
上で紹介したように2023年はいろいろなこれまでの支援策がなくなることで、倒産ラッシュが続くと懸念されているので日本政策金融公庫でも様々な対策を講じています。
しかし日本政策金融公庫の場合、審査が終わって融資実行されるまでに申し込みから1カ月以上かかってしまいます。
融資実行されるまでに資金ショートしてしまっては、元も子もありません。
そんな時に活用してほしいのが、ビジネスローンです。
ビジネスローンは銀行融資や日本政策金融公庫による融資ほど多額の借入は難しいかもしれません。
金利も高めですが、融資までがスピーディです。
資金繰りが厳しくなった時には、ビジネスローンで借り入れて窮地を脱することも法人の代表者なら検討してみるといいでしょう。
審査がスピーディ
ビジネスローンがおすすめの理由として大きいのは、審査のスピーディさです。
事業者向けの資金調達方法はほかにもいくつかの選択肢があります。
しかしいずれも融資実行されるまでに時間がかかります。
例えば銀行融資の場合、メガバンクなどで1か月程度はかかります。
信用金庫や信用組合のような地域密着型の金融機関になると1~3カ月もかかる場合があります。
ここまで待っていられないという切迫した状況の法人代表者もいるでしょう。
ビジネスローンの場合、とにかく審査が早いです。
ビジネスローンはいろいろなところが取り扱っている商品です。
銀行の場合でも3~5営業日で審査が終了するので、従来の融資と比較してかなり期間が短縮化されます。
ノンバンク系、信販会社や消費者金融でも取り扱っているところはたくさんあります。
ノンバンクであれば、最短即日融資にも対応しているところが少なくありません。
突発的な支出が発生した、売掛金の回収など当初当て込んでいた資金が手に入らなかったといった想定外のアクシデントが起きた場合にビジネスローンのような商品があると重宝します。
審査が甘い
審査基準は銀行融資や日本政策金融公庫と比較して甘めに設定されているのも、ビジネスローンの特徴の一つです。
ですから銀行や日本政策金融公庫に申し込んでも審査落ちしてしまったような法人でも、ビジネスローンであれば融資が受けられる可能性はあります。
そもそもビジネスローンとは、銀行融資の受けにくい中小零細企業のために開発された金融商品です。
ですから銀行融資で必要な資金が調達できなければ、ビジネスローンを利用して資金繰りのトラブルを乗り切っていきましょう。
担保・保証人の必要がない
銀行融資を利用する場合、担保や保証人を用意するように求められる場合が多いです。
しかし中小・零細の場合、担保として差し出せるような不動産などの資産を持たないケースも少なくないでしょう。
一方ビジネスローンの中には、担保や保証人なしでも融資を受けられるような商品もあります。
特に消費者金融系のビジネスローンはその傾向がみられるので、借入の申し込みをしてみるといいです。
資金用途の制約が少ない
ビジネスローンは借り入れたお金を何に使うか、あまり厳しくチェックしません。
事業用資金であれば、基本的に何でも使っていいという商品が多いです。
例えば日常的に発生する経費の支払いや人件費などの運転資金に充ててもいいですし、設備投資のための資金に回しても問題ありません。
また従業員へのボーナスや季節性のある商品の仕入れなどの季節資金として使っても構いません。
さらには法人税など税金の支払いに使ってもいいので、気軽に申し込みできる商品といえるでしょう。
総量規制の対象外
ビジネスローンは消費者金融や信販会社などの貸金業者でも提供している商品です。
貸金業者の場合、貸金業法のルール内で営業しなければなりません。
貸金業法の中には、総量規制と呼ばれる規定があり、これを遵守しなければなりません。
総量規制とは、その人の年収の1/3を上限として貸し出さないといけないというルールです。
例えば年収300万円の人なら、100万円を超えて借り入れることはできないわけです。
しかしビジネスローンは総量規制の対象外です。
自分の年収の1/3を超えて借り入れることも可能です。
事業用にお金を使うのであれば、個人事業主もビジネスローンを使って借り入れることはできます。
この時自分の年収の1/3を超える資金の融資も受けられるわけです。
ただし審査がありますので、1/3を超える資金を確実に借入できる保障もないことは理解しておいてください。
【2023年最新】おすすめのビジネスローンの選び方
2023年、資金繰りが厳しくなった時にはビジネスローンの利用を検討してみる価値は十分あります。
ビジネスローンをネットなどで検索すると、数多くの商品が出てくるでしょう。
その中でどこのビジネスローンを利用すればいいか、いくつか選び方のポイントがあります。
1.金利
2.融資限度額
3.審査スピード
4.融資対象
5.来店の有無
それぞれどのようなところをチェックすべきか以下で詳しく解説しますので、ビジネスローン選びの参考にしてください。
金利
金利の低さは、ビジネスローン選びの中でも留意しておかないといけない項目です。
金利が低ければ利息の支払いも少なくでき、返済負担を軽減できるからです。
ビジネスローンの金利を見てみると、一定の幅を設けているのが一般的です。
その範囲の中でどの利率が適用されるかは、審査次第です。
信用力のあるなしで判断されるのですが、一般的には初めて借入する際には上限金利かそれに近い利率の適用される可能性が高いです。
まだ本当に返済してくれるか、未知数のためです。
ですから上限金利の中でもより低いところで借り入れれば、後々の返済も楽になるでしょう。
一般的な傾向として、ノンバンクよりは銀行系のビジネスローンの方が金利は低めに設定されています。
金利にこだわるのであれば、銀行の提供するビジネスローンの中から選択するといいでしょう。
融資限度額
ビジネスローンを利用しようと思っている法人の中には、ある程度まとまった額の借入を希望している人もいるでしょう。
設備投資のための資金を借り入れる場合には、それなりにまとまった額の資金を調達しなければならないからです。
ビジネスローンはそこまで多額の融資に対応している商品ではありません。
500万円を上限としているところが多く、1,000万円程度の融資を行っているビジネスローンは全体からみると少数派です。
銀行融資の場合、信用力のある法人なら数億円単位の融資にも対応しているのと比較すると小口融資がメインとなります。
自分が希望する借入額の融資を行っているかどうかチェックしましょう。
また今回は大口の借入を希望するわけではないけれども、将来的には多額の借入も視野に入れている場合には借入限度額の大きなビジネスローンに申し込むのも一考です。
審査スピード
審査スピードもビジネスローン選びのポイントになります。
特に急に現金が必要になった、取引先への支払期限が近付いているけれども手持ち資金が不足しているなど、緊急事態の際には審査スピードを重視すべきです。
審査スピードですが、こちらを重視するのであればノンバンク系のビジネスローンがおすすめです。
銀行系のビジネスローンはどうしても数日融資実行されるまでに時間がかかるからです。
一方消費者金融などのノンバンク系の場合、最短即日融資に対応しているものも少なくありません。
もし即日融資を希望するのであれば、借り方にも注意してください。
即日融資の場合、銀行振り込みにて必要な資金が入金されます。
つまり銀行の営業時間内に振り込み手続きが完了していないと、即日融資は不可能になるわけです。
銀行は一般的に平日午後3時には営業を終了します。
よって3時までに振り込み手続きが終わっていなければなりません。
ビジネスローンの場合、振込の事務手続きのほかにも審査があります。
これらにある程度時間が必要なことを考えると、逆算して午前中までに申し込み手続きが完了していないと即日融資は難しいです。
最初に申し込んだところで審査落ちしてしまうことも考えられるので、朝のできるだけ早い段階で申し込みを済ませてしまいましょう。
融資対象
融資対象者がどうなっているかも、申し込む前にチェックしておきましょう。
ビジネスローンによって、融資対象者が異なるからです。
まずビジネスローンは法人と個人事業主、事業を営んでいるところが対象です。
しかし商品によって法人と個人事業主両方をサービス対象にしているところもあれば、法人だけとしているところもあります。
またこれは地銀のビジネスローンに多いのですが、法人の本社が地銀の営業エリア内にあるところという条件を設けている場合もあります。
さらに法人代表者の年齢条件を付けているビジネスローンも見られます。
ビジネスローンの商品概要に、申し込み可能な条件が記載されているのであらかじめチェックしておきましょう。
来店の有無
ビジネスローンを利用したいけれども本業などで、なかなか営業時間内にお店に行く暇がないという事業者もいるでしょう。
ビジネスローンの中には、Web完結サービスを採用しているところもあります。
文字通り手続きがWebにて完結するサービスで、来店の必要がありません。
パソコンもしくはスマホで手続きできるので、どこからでも申し込みできるわけです。
ただしWeb完結の中には申込までは来店不要ですが、契約する際には来店しないといけないものも見られます。
来店する時間がない経営者は、融資実行されるまで来店の必要はないか申し込みの流れなどで確認しておきましょう。
2023年資金繰りが悪化したらビジネスローンの利用を
2023年、急速なペースで倒産件数が増加しています。
これまでの手厚い救済措置が取られなくなる恐れがあるので、2023年以降急速に資金繰りの悪化する可能性があります。
ですから資金調達方法については十分検討しておく必要はあります。
ここで紹介したように2023年以降もコロナ禍に伴う救済措置はいくつかあります。
しかしこれだけでは十分な資金を確保できないという法人も出てくるでしょう。
また一時的に資金繰りが悪化する可能性もあります。
そんな時におすすめなのが、ビジネスローンです。
金利はやや高めですが審査が甘く、融資までスピーディなので一時的にしのげる可能性が高いです。
いざというときのために、ビジネスローンの利用も頭に入れておきましょう。