法人代表者で資金繰りに困っている方はいませんか?
法人運営しているとお金が常に出入りするもので、時には手持ち資金が足りずに支払いができないといった事態も想定できます。

そんな法人代表者のために、さまざまな資金調達法が用意されています。
その中の一つが、今回紹介するビジネスローンです。

ビジネスローンは用途に関して、何か制約はあるのでしょうか?
ここではビジネスローンの用途について紹介しますので、借り入れを検討している人は参考にしてください。

ビジネスローンの用途にルールはある?

ビジネスローンという言葉でもお分かりのように、ビジネスに関連する資金を融資する金融商品です。
では事業性資金の中でも何か制約はあるのでしょうか?

事業性資金であれば問題なし

結論から言うと事業用に用いるのであれば、ビジネスローンにはそれ以上の用途に関する制約はありません。
詳しくは別章に譲りますが、「新規事業を立ち上げたい」や「設備投資するための資金が必要」「取引先への支払いに充てたい」などビジネスをしているといろいろとお金が入用になるはずです。
ビジネスローンであれば、基本的に上で紹介した用途で借り入れたお金を活用することは可能です。

ただし法人代表者でも、個人的な利用目的のためにビジネスローンで借り入れたお金は使えません。
「自宅の家賃や光熱費の支払いのため」や「自家用車の買い替えや車検費用のため」などはプライベートな用途であり、事業性資金とは認められません。
ですからビジネスローンの利用ルールに違反します。

用途から見る申し込み対象

あくまでも事業用が用途のビジネスローンなので、だれでも借り入れできる商品ではありません。
簡単に言えば、事業を営んでいる人でなければ申し込みはできないので注意してください。
法人代表者もしくは個人事業主が融資対象です。

ただし個人事業主を対象にしていないビジネスローンもあります。
個人事業主がビジネスローンによる融資を希望する場合、己が対象になっているかどうか公式ホームページなどで前もって確認しましょう。

一方会社員や公務員のような、自ら経営していない人はビジネスローンを利用できません。
カードローンはじめ、個人向けのローン商品に申し込んでください。

ビジネスローンの主な用途について紹介

ここまで紹介したように、ビジネスローンは事業性資金であれば用途は自由です。
では具体的に利用者はどのような用途で活用しているのでしょうか?
主な使い道として、以下のような用途が考えられます。

1.開業資金
2.新規事業立ち上げのため
3.取引先への支払いのため
4.納税資金
5.つなぎ資金
6.広告宣伝費用

それぞれどのような用途なのか、ビジネスローンを利用する必要があるのかについてみていきます。

開業資金

開業するにあたっては、それなりにまとまった資金が必要です。
自己資金で賄えなかった場合、ビジネスローンで不足分の融資を受けるのも一つの方法です。

ビジネスを始めるにあたって、手持ち資金ゼロではまず難しいでしょう。
開業すればオフィスの賃料や光熱費、取引先への支払いなどが発生します。
設備ゼロでも手持ち資金がないとお金をうまく回せていけません。

さらにもし店舗を開くのであれば、お店の賃料や内装などの工事費、設備の導入費用などのお金も必要です。
日本政策金融公庫総合研究所では「新規開業実態調査」を実施しています。
その2020年度のデータによると、開業資金の平均額は989万円でした。
つまり1,000万円近いお金が必要になる可能性が高いということです。

クリニックなど医療系の開業の場合、億単位のお金が必要になるかもしれません。
検査用の医療機器など、高額な設備を導入しなければならないからです。

これだけの資金をすべて自前で用意できる人はそうそういないでしょう。
そうなると別のところから資金調達しなければなりません。
そこでビジネスローンでの借り入れが選択肢に浮上するわけです。

ただしビジネスローンの中には、申し込み時に直近1期もしくは2期分の決算書や、確定申告書類の提出が必要な商品も少なくありません。
この場合、これから起業する人は申し込めません。
開業資金の融資にも対応しているビジネスローンかどうか、確認の上申し込みましょう。

新規事業立ち上げのため

これから新しい事業を始めるとなる場合、資金が必要になります。
事業のための設備の導入もあるでしょうし、新しい拠点を確保しなければならない場合も出てくるでしょう。
また新規事業を回すためのスタッフも必要で、人件費を確保しなければならなくなるかもしれません。

もし手持ち資金が足りなければ、ビジネスローンで不足分を補うことも検討しなければなりません。
銀行融資を受けるのも一つの方法ですが、審査に1カ月前後かかるのでスピーディに新規事業を展開できません。
ビジネスローンの中には即日融資に対応している商品もあり、できるだけ迅速に新規事業を立ち上げたいと思っている法人代表者にはおすすめです。

また銀行融資の場合、事業計画書の提出が求められます。
既存事業のこれまでの実績、新規事業でいつまでにどのくらいの売り上げを確保できるか、収支はどうなるかなど綿密な事業計画が必要です。
銀行の担当者を納得させられるような綿密な事業計画が必要で、作成にも時間がかかります。

しかしビジネスローンの場合、銀行融資ほどの綿密な必要書類の提出は必要ありません。
スピーディに資金確保できるので、円滑な新規事業の立ち上げにはメリットがあります。

取引先への支払いのため

一部例外があるものの、ほとんどのビジネスで、どこかから商品もしくは原材料を仕入れてそれに手を加えて販売する形になるでしょう。
そうなると期日通りに取引先に代金の支払いをしなければなりません。
もし期日までに支払いができなければ、取引先との関係にもひびが入ります。
場合によっては、取引中止や白紙という可能性も否定できません。

自分たちの売上で支払いができればいいでしょう。
しかし日本のビジネスでは売掛金という形で、代金回収は数カ月先というのが主流です。
すると支払い期日までに必要な資金が足りなくなることも十分想定できます。

そこでいったんビジネスローンで借り入れて、支払い代金を補う方法が考えられます。
そして売掛金が回収できたところで、ビジネスローンの返済をしていく形です。
これなら支払い先との信頼関係を壊す心配はありません。

納税資金

ビジネスをしていると、各種税金が発生します。
法人税や消費税が発生しますし、個人事業主の場合は所得税の納税義務が発生するでしょう。
例えば法人用の車を保有しているのであれば、自動車関係の税金も発生します。
さらにオフィスが自前の建物だと、固定資産税も発生してきます。

税金は決められた期日までに納めなければなりません。
もし延滞してしまうと本来の納税額にプラスして、延滞税を納めないといけません。
余計に税金を支払わないといけないわけです。

そこで法人代表者の中には、納税資金を確保するためにビジネスローンから借り入れる方法をとっている方も少なくありません。
ビジネスローンは主に小口融資で活用されるので、納税資金として利用する方も結構多いわけです。

つなぎ資金

つなぎ資金として、ビジネスローンを利用している法人代表者も少なくありません。
例えば売掛金があって、その支払いが1~2カ月先だったとします。
その間の運転資金を賄うために、ビジネスローンから借り入れる形です。

さらに銀行融資で資金調達する法人代表者は多いものです。
銀行融資はまとまった資金を調達できる可能性がありますし、金利も低く無理のない返済計画が立てられます。
しかし銀行融資の場合、融資が実行されるまで早くても申し込みから2週間かかります。
時間がかかれば1カ月以上かかることも決して珍しくありません。

銀行融資を受けられるまでに資金がショートしてしまえば、元も子もありません。
そこで銀行融資が受けられるまでの資金繰りの方法として、ビジネスローンを活用するわけです。

広告宣伝費用

いくら良い商品・サービスを作っても、消費者に知られなければ売り上げにはつながりません。
そこで良質の商品やサービスを開発するほかに、広告・宣伝にも力を入れる必要があります。

しかし広告を出すためには、それなりにお金がかかります。
広告を打ちたい、でも手持ち資金では足りないというのであれば、ビジネスローンを活用する手立てがあります。
ただし広告を出す場合、それなりに費用がかかるのでビジネスローンで借り入れてきちんと返済できるか、シミュレーションしておく必要があります。

近年では広告費用をあまりかけずに宣伝する手法もあります。
例えばSNSは大小関係なく、多くの企業が導入しているメディアです。
ほとんど費用がかかりませんし、バズればこちらが何もしなくてもSNSユーザーがどんどん発信してくれるので、かなりの宣伝効果も期待できます。

口コミに見るビジネスローンの具体的な用途事例を紹介

ビジネスローンは事業用であれば、幅広い用途で活用できる金融商品です。
上で具体的にどのような用途が考えられるか、主なものをピックアップしました。

しかしまだイメージがわかないという法人代表者もいるでしょう。
そこでここではネットに投稿されていた、ビジネスローンの活用事例についていくつかピックアップしてみました。
自分たちが利用する際の参考にしてください。

売掛金が期日通りに回収できず

入金と支払いのスケジュールが近い法人は少なくありません。
売掛金が期日通りに入金されれば、それで支払いもできるでしょう。
しかし取引先の何らかの事情によって、期日通りに売掛金が回収できない場合も十分想定できます。

もし入金と支払いのスケジュールをタイトに設定していると、途端に資金繰りがうまくいかなくなります。
支払い延期を取引先に求めれば、自社の信用に傷がつきかねません。
そんな時にビジネスローンで一時的な借り入れをして、窮地をしのぐという法人も結構あります。

工事代金の前払い資金として

工事を発注する際、下請けなどに代金を前払いしなければならない状況も考えられます。
前倒しで代金を決済してしまったほうが、交渉するにあたって自分たちに有利な状況に持ち込めるからです。
場合によっては、当初想定していた代金よりも安くできるかもしれません。

それだけ利益も大きくなり、職人さんたちの仕事へのモチベーションアップにもつながります。
そこでいったんビジネスローンで借り入れて代金支払いに充て、自分たちのプラスにつなげていきます。

ビジネスチャンスを活かすため

これまでの納品実績が評価され、新規取引先ができたり、既存の得意先が大口の発注を求めたりする可能性もあります。
発注が大きくなれば売上アップにもつながりますが、その分原材料など仕入れ費用も増大します。
仕入れ費用を賄えるだけの手持ち資金がなくて、大口の発注をキャンセルしてしまってはせっかくのビジネスチャンスを不意にしかねません。

そこで受注件数が多くなり、仕入れコストが大きくなった分を補う用途でビジネスローンを利用している法人も少なくありません。
受注数が多くなれば、それだけ売り上げも出るのでビジネスローンで借り入れても返済できる可能性は高くなるはずです。

また業績好調で、店舗拡大するにあたってその初期費用をビジネスローンで賄う法人の事例も多く見られます。
先行投資の用途でビジネスローンを利用するケースも想定できます。

L/Cを発行するため

グローバル化の進んでいる現在、業種関係なく海外との取引はもはや欠かせなくなりつつあります。
たとえば輸入業を営んでいる法人が貿易取引をするためにL/Cを発行するにあたってビジネスローンを活用する事例も見られます。

L/Cとは「Letter of Credit」の略称です。
日本語では「信用状」と訳されます。

貿易取引における代金の支払い確約書という意味合いがあります。
輸入業者は金融機関に対して、L/Cを作成してもらいます。
そうなるとL/Cと引き換えに輸入における代金の支払いが確約されます。

輸入者と輸出者との間に金融機関を挟むことで、お互い取引に関する支払いリスクを低減できます。
海外の事業者とのスムーズな取引をするために欠かせない書類といえます。

しかしL/Cを発行してもらうためには、対象の金融機関に口座を開設して、一定の預金を入れなければなりません。
そこで口座に入れる資金を調達するために、ビジネスローンを活用する事例も結構見られます。
海外との取引を検討しているのであれば、相手国の銀行に口座を開設してL/Cを発行してもらうことも検討しなければなりません。

ビジネスローンの特徴で見るおすすめの用途

ビジネスローンにはほかの資金調達法では見られない特徴がいくつかあります。
ビジネスローンの特徴を踏まえると、以下のような用途で利用するのが好ましいといえます。

1.今すぐに融資を受ける必要性がある
2.少額の融資を希望している
3.一時的に資金ショートが起こる恐れがある
4.返済の当てがある

なぜ上で紹介した用途にビジネスローンが適しているのか、以下で解説していきます。

今すぐに融資を受ける必要性がある

急な支払いが発生したなどで今すぐに現金が必要な場合には、ビジネスローンの利用がおすすめです。
事業性資金の調達方法としては、銀行融資や日本政策金融公庫などの公的支援も考えられます。
しかしいずれの場合も、審査にかなりの時間がかかります。

だいたい申し込んでから融資実行されるまで、1カ月前後は時間がかかると思ったほうがいいでしょう。
今すぐに融資を受けないといけない場合は時間切れになり、資金ショートしてしまう恐れも出てきます。

ビジネスローンであれば、審査が非常にスピーディです。
どんなにかかっても5日から1週間後には融資が実行されるはずです。
中には最短即日融資に対応しているような商品も見られるほどです。

急な出費で手持ち資金が足りないときには、ビジネスローンを利用しましょう。
ビジネスローンは金融機関やノンバンクなど、いろいろなところが提供しているサービスです。
もしできるだけ早く資金調達する必要があるのならば、ノンバンク特に消費者金融系のビジネスローンがおすすめです。
消費者金融系はスコアリングシステムといって、コンピューターで自動的に審査を行うので非常に手続きが迅速だからです。

少額の融資を希望している

それほどまとまった資金は必要なく、少額借り入れを希望しているのであればビジネスローンが適しています。
ビジネスローンはもともと、小口融資向けの事業者向け金融商品として開発されたものだからです。

ビジネスローンの融資限度額を見てみると、300~500万円といったところが一般的です。
せいぜい借り入れできても、1,000万円程度が上限と思ってください。
ビジネスローンの利用者を見てみると、数十万円や数百万円の借り入れ希望者が多数です。

設備投資などまとまった資金が必要で、資金調達先を探しているのであればビジネスローンは不向きです。
銀行融資や公的融資などの利用を検討してください。

一時的に資金ショートが起こる恐れがある

事業を営んでいくうえでは、常に資金繰り計画を立てることが求められます。
あらかじめ資金繰りの計画を練っておくことで、資金不足を回避できるからです。
しかし資金繰り計画を立てても、その通りに進まない可能性があります。

場合によっては当初当て込んでいたお金が予定通りに入ってこなくなって、支払い資金が不足することも起こりえます。
しかも支払いできないことが発覚するのは、期日の直前ということもあり得ます。
そんな時におすすめなのが、ビジネスローンです。

先ほども紹介したようにビジネスローンは、最短即日融資に対応している商品があるなど、審査がスピーディです。
このような突発的なアクシデントが起こって、とりあえず当面の資金ショートを避ける用途で資金調達したければ、ビジネスローンを活用するのも一考です。

返済の当てがある

ビジネスローンには注意点があります。
それはほかの借り入れ方法と比較して、金利が高めな点です。

銀行融資や日本政策金融公庫の場合、金利は多少違いがあるものの、おおむね2%台の利率に設定されています。
一方ビジネスローンをみると、3~18%といったところが金利の相場です。
かなりの高利であることがお分かりでしょう。

つまりビジネスローンで借り入れて、返済期間が長引くとそれだけ余計に利息を支払わないといけません。
しかし、すでに返済資金のめどの立っている場合であれば、ビジネスローンを利用するといいでしょう。

たとえば近い将来売掛金を現金化できるなど、入金が確定している場合です。
またすでに銀行融資などほかのところに借り入れの申し込みをして、融資実行されるめどの立っている場合なども考えられます。
近々入金があれば、それを元手にして一気にビジネスローンを返済できるので返済総額を少なくできるわけです。

ビジネスローン利用時の注意点

ここまで見たようにビジネスローンは、さまざまな用途で活用できる資金調達法です。
しかしビジネスローンを利用するにあたって、いくつか注意すべきポイントがあるのでここで紹介します。

繰上返済における手数料

ビジネスローンは毎月決まった期日に決められた金額を返済する方式です。
しかしもし毎月の返済に加えて資金的に余裕があれば、繰上返済することが可能です。
繰上返済することで返済期間を短縮でき、返済総額を圧縮できます。

しかしビジネスローンの中には、繰上返済するときに別途で手数料のかかる可能性があります。
繰上返済するたびに手数料がかかれば、結局コストがかかってしまうわけです。
商品概要に繰上返済に関するルールも記載されているはずなので、申し込む前に確認しておきましょう。

銀行融資の審査にマイナスになる可能性

ビジネスローンで借り入れしていると、銀行融資の審査でマイナスの影響をもたらす可能性があるので注意しましょう。
ビジネスローンで借り入れていることは、信用情報を確認すれば銀行は把握できます。

もしビジネスローンの借り入れがあると、「お金に困っている法人」という印象を銀行担当者に与えかねません。
その結果、融資しても債権回収できないのではと懸念されてしまうのです。
もし銀行融資を将来的に見据えているのであれば、ビジネスローンを完済してから申し込むのがおすすめです。

まとめ:【結論】ビジネスローンは短期の小口借り入れにおすすめ

ビジネスローンの特徴を見てみると、金利は高めだけれども即日融資含め、スピーディな審査で借り入れできる商品です。
また数億円単位の大口ではなく、数十万円や数百万円単位の小口融資がメインです。
そこから導き出されるビジネスローンおすすめの用途は、少額の借り入れで今すぐに現金が必要な場合の資金調達です。

ビジネスローンは銀行融資や公的融資と比較して、金利が高めな点にも留意しなければなりません。
ですから短期の借り入れで活用するといいでしょう。

売掛金の回収が近々ある、売上がすぐに入金されるなど返済のめどの立っている場合にはビジネスローンはおすすめです。
返済資金を確保できれば、短期の借り入れで完済できるからです。
短期借り入れであれば、多少金利の高いビジネスローンを利用してもそこまで利息支払い額も大きくならないからです。
上述に該当する用途で資金調達を検討する際には、ビジネスローンの活用も視野に入れるといいでしょう。