法人を運営するにあたって、必要な資金を借り入れないといけない事態も出てくるでしょう。
資金借入時に注意しなければならないのが、金利です。
金利が低ければ、返済時の利息の支払いを安く抑えられます。
そこでここでは法人の借入時の金利の利率相場について紹介します。
また金利の決め方や種類についても併せて解説しますので、借入時の参考にしてください。
目次
法人の主要な借入方法と利率の相場について紹介
法人が事業性資金を調達するにあたって、主な借入方法として以下の手法が考えられます。
1.日本政策金融公庫
2.銀行融資
3.信用保証協会の保証付き融資
4.ビジネスローン
5.ファクタリング
それぞれどのような資金調達方法か、利率の相場がどのくらいかについて以下で詳しく見ていきます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している政府系金融機関です。
日本政策金融公庫では事業者のために、各種融資を実施しています。
日本政策金融公庫の融資制度は、いずれも低金利なのが特徴です。
時期によって若干変動しますが、基準利率は2~3%になると思ってください。
また特別利率といって、特定の条件を満たした法人であれば1%前後の利率が適用される場合もあります。
いずれも民間の金融業者と比較して、低めの利率に抑えられています。
銀行融資
「プロパー融資」とも呼ばれる借入方法です。
銀行が独自に審査して、直接貸し付けを行う融資を指します。
信用があると判断されれば、数千万円から1億円程度の大口融資も可能です。
銀行融資の場合、申込先の信用度や担保・保証人の有無にもよりますが1~3%が相場です。
金利は低いですが、その分審査は厳しくなります。
融資している金融機関は銀行のほかにも、信用金庫や信用組合も含まれます。
信用金庫や信用組合は地域密着型の営業で、地元の中小企業や小規模事業者向けの融資にも積極的です。
信用金庫や信用組合の利率を見てみると、銀行よりも若干高めで2~6%が相場です。
金利は高めですが、中小企業や小規模事業者でも利用できるように銀行融資よりも審査は甘めに設定されています。
信用保証協会の保証付き融資
銀行からの借入である点には違いがありません。
しかし銀行が独自に審査して直接貸し付けるプロパー融資とは異なり、信用保証協会が保証を付けて融資します。
たとえ債務者が返済不能の状態になっても、信用保証協会が肩代わりします。
銀行からすれば不良債権化リスクが低くなるので、利率は低めです。
保証付きの利率を見てみると、大体2%前後が相場と考えましょう。
しかし信用保証協会の保証付き融資の場合、金利以外にも保証会社に保証料を支払わないといけません。
保証料の相場は0.1~0.8%といわれています。
信用保証協会の保証をつけるには条件があるので、法人を管轄する信用保証協会のホームページなどで確認してください。
ビジネスローン
ビジネスローンは事業性資金に特化して融資する商品です。
ビジネスローンは審査がスピーディなのが特徴で、最短即日融資に対応しているような商品も見受けられます。
急な出費や売掛金の入金遅れなどで急激に資金繰りが悪化するなど、緊急性の高い資金調達では重宝します。
ビジネスローンはいろいろなところで取り扱っています。
どこの提供している商品かで、金利相場は異なります。
銀行系のビジネスローンの場合、1.0〜14.0%が相場です。
金利に幅があるのは、利用する法人や法人代表者の信用力によって個別に設定するからです。
ネット銀行の場合、3.1〜13.9%が相場です。
低金利なのは従来の銀行のように店舗を持たず、人件費も必要最小限に抑えられるためです。
信販会社や消費者金融のようなノンバンクでも、ビジネスローンを提供しているところも少なくありません。
ノンバンクのビジネスローンの金利相場は、5.0〜18.0%です。
ノンバンクのビジネスローンは、ほかの法人の借入方法と比較しても高めです。
ただしノンバンクの場合、審査は甘めといわれています。
多少リスクのある法人でも貸し付けているので、貸し倒れリスクのマネジメントとして高めに利率設定してより多くの利息を受け取るようにしています。
ファクタリング
最近注目を集めている資金調達方法として、ファクタリングが挙げられます。
ファクタリングとは自分が持っている売掛債権をファクタリング会社に売却することで、現金化する資金調達方法です。
売掛金の買取サービスなので、借入ではありません。
よって利用後返済義務が生じないということで、人気を集めています。
ファクタリングは融資ではないので、金利は発生しません。
しかし利用する際、ファクタリング会社は収益確保のため手数料がかかります。
ファクタリングには2社間と3社間の2種類のシステムがあります。
2社間は利用法人とファクタリング会社が直接取引する、3社間はそこに売掛先企業も含めた取引になります。
金利相場は2社間が10~30%、3社間が1~10%です。
3社間の方が金利は低めに設定されています。
しかし3社間の場合、売掛先の企業の同意を得なければならないので若干ハードルは高くなっています。
利率を決定する要素
法人が借入するにあたって、金利が発生します。
しかし金利を見てみると、多くの商品が「○.○%~○.○%」と一定の幅を持たせることが多いものです。
この金利の範囲内で、審査によって個別に利率が決定します。
では利率を決めるにあたって、どのようなことが留意されるのでしょうか?
主な要素として、以下で紹介する項目が考えられます。
1.返済期間
2.担保や保証人の有無
3.リスク
4.金融業者の収益
それぞれどのように利率決定に影響を及ぼすのか、以下で詳しく解説します。
返済期間
金融業者によっては、返済期間によって適用する利率を変える場合があります。
基本的に返済期間が長くなると、適用される利率も高くなります。
返済期間が長いということは、貸し付けている側からすればずっと貸し倒れリスクを背負うことになるわけです。
もし少しでも返済負担を軽減したければ、できるだけ返済期間を短縮化することです。
しかし返済期間を無理に短くすると、月々の返済額が大きくなり、結局資金繰りが厳しくなるので期間設定は慎重に決定してください。
担保や保証人の有無
担保や保証人をつけられるかどうかで、金利も変わってきます。
基本的に担保や保証人をつけられれば、低い利率が設定されます。
担保をつければ、最悪返済が滞ったとしてもその担保を差し押さえてしまえばいいわけです。
保証人がいれば、直接債務者からの返済が不能になっても保証人に催促できます。
担保も保証人を付けないときと比較して、不良債権化するリスクが低くなります。
したがって、利率も低めに抑えても問題ないわけです。
ただし法人が借入する際には、基本法人代表者は連帯保証人になると考えてください。
保証人を用意するなら、第三者の代表者以外の誰かを用意する必要があります。
もし金利を低く抑えたい、不動産などの資産を持っているなら担保として差し出すとより有利な条件で借り入れられます。
ただしもし返済できなくなれば、担保にしている物件は金融業者に持っていかれてしまうので注意してください。
リスク
そもそも貸し手が金利をつけるのは、もし貸したお金が回収できなくなった時のためのリスクマネジメントという側面があります。
ですから貸し倒れリスクの高い法人に対しては、それなりに高めの利率の設定される可能性があります。
貸し倒れリスクの判断基準ですが、いくつかあります。
企業の信用力や返済能力、直近の事業状況、過去の信用情報など総合的に判断されます。
一般的に初めて借り入れる際には、上限金利かそれに近い利率が適用される可能性が高いと言えます。
返済実績がないので、貸したお金を返済してもらえるかどうか未知数だからです。
金融業者の収益
金利を取るのはリスクマネジメントのほかに、収益を確保する目的もあります。
お金を貸して、同じ額のお金を返してもらっただけでは金融業者は収益が挙げられません。
利益確保する目的で、金利設定されるわけです。
そこで利率を決めるにあたって、金融機関の経営方針が大きく関係してきます。
まず金融業者がどの程度経費を負担しているかが、利率決定のベースになります。
金融商品や有価証券の売買費用などの事業経費や人件費にオフィス賃料、光熱費などの諸経費などが含まれます。
また金融業者としてみれば、金利は大きな利益の一つです。
どの程度の利益を確保したいかによって、金利設定は左右されます。
利率決定に影響する要因とは?
法人向け貸し付けの金利はその時々の状況によって、見直されます。
ですから同じ商品でも、借入のタイミングによって利率が変わることもあります。
では利率決定を左右する要因として、何が考えられるのか、主に以下のような項目が考えられます。
1.中央銀行の政策金利
2.金融市場の動向
3.経済指標
4.消費者物価指数
5.世界情勢
それぞれどのような影響を及ぼすか、以下で詳しく見ていきましょう。
中央銀行の政策金利
金利相場を決定する要因として、中央銀行の政策金利は大きなものといえます。
日本の中央銀行である日本銀行では、金融政策の一環として政策金利をその時々において決定します。
もし政策金利が低くなれば、銀行間市場の金利、個人・法人向け貸し付けの金利も下がります。
中央銀行は消費や投資を促進させるために、政策金利を下げます。
金利が下がれば低コストの資金調達が可能なので、投資や経済活動の活性化につながるからです。
逆に金融を引き締める際には政策金利を上げます。
そうすれば借り手にとっては、資金調達が高コストになって積極的な借り入れが難しくなるからです。
金融市場の動向
金融市場の動向に変化が起きると、利率に影響をもたらす可能性があります。
例えば株式市場が好調だと、企業業績が持ち直し、全体的な景気回復が期待できます。
その結果、金利は上昇する傾向に向かうでしょう。
一方株式市場が停滞しているのであれば、逆に金利を下げる力が高まります。
また債券市場の変動も、利率の上げ下げに影響をもたらす可能性があります。
債券価格が上昇すれば、債券の利回りが低くなります。
それに伴い、金利も低くなるわけです。
今後利率がどう変動するか見極めるためには、金融市場の動きも注視したほうがいいでしょう。
経済指標
金利相場は経済指標が発表された際に見直される場合があります。
経済指標とは、国内外の経済情勢を数値化したもので有名なところではGDPや失業率などが該当します。
もし経済指標の結果がよければ、今後景気回復が強く期待されます。
景気回復すればインフレ懸念も高まるため、金利は上昇する傾向が顕著になります。
逆にGDPがマイナス成長になった、失業率が上昇するなど景気後退の予測される数値が出れば、金利は下がる傾向にあります。
経済指標の発表は、大体時期が決まっています。
利率が気になるなら、経済指標の発表にも注視したほうがいいでしょう。
消費者物価指数
消費者物価指数も、利率の見直しをするきっかけになります。
消費者物価指数が上昇すると、金利は引き上げられる可能性が高くなります。
消費者物価指数が上昇しているのは、インフレ傾向が表れ始めていると解釈できます。
そこで中央銀行はインフレ抑制のために、政策金利を引き上げます。
逆に消費者物価指数が低下すれば、デフレ傾向の表れと解釈できます。
このまま放置していると、景気が冷え込みかねません。
そこで中央銀行は景気刺激策として政策金利を引き下げ、それに伴い市場金利も下がる可能性が高まるわけです。
世界情勢
日本国内だけでなく、世界情勢も金利に影響を及ぼす可能性があります。
特に欧米など先進国の経済・政治情勢が変化すると、世界的に資金の流れを変える可能性があります。
その結果、利率決定に影響を及ぼすかもしれません。
さらに地政学的リスクが高まったときにも、金利が上昇する可能性も出てきます。
戦争など情勢が不安定になるとマーケット参加者の不安が高まるからです。
また日本は主要な資源を輸入しています。
世界情勢の変化で原油価格や食料価格が上昇した場合、インフレの懸念が高まることがあります。
そんな時にはインフレを抑制するために、金利を高く上げる可能性が出てきます。
法人借入時における金利の種類を理解しよう
法人が借り入れる場合に、主に以下で紹介する金利のいずれかが適用されます。
1.固定金利
2.変動金利
3.プライムレート
それぞれに異なる特徴がありますので、以下で詳しく紹介しましょう。
固定金利
固定金利とは、借入期間中に利率が変動しない金利のことです。
利率があらかじめ決められているので、いくら利息を支払うのか、返済額がいくらになるのかあらかじめ計算できます。
また借入期間中の利率上昇リスクもありません。
インフレ局面に突入して、後日金利が上昇した場合でもその影響を受ける心配がありません。
固定金利は長期的な借り入れを検討している法人向けと言えます。
長期的な借り入れになると、今後金利が上昇する局面も十分想定できるからです。
最初に設定した金利で固定されるので、返済負担が途中で増大することもなく、無理のない返済計画が立てられます。
しかし一方で、固定金利の場合、後で紹介する変動金利よりも高めの利率になりがちです。
今後の金利上昇リスクも織り込んだ利率設定になっているからです。
金利が今後上昇した場合、固定金利の恩恵が受けられます。
しかし逆に金利が下落局面に入った場合、変動金利は引き下げられているのに固定金利はそのままで逆に損することもあり得ます。
このようなリスクには留意してください。
変動金利
変動金利とは、一定期間でその時々の市場動向に合わせて利率が見直される金利を指します。
もし市場金利が下落傾向に入ったら、変動金利の場合引き下げで調整される可能性があります。
利率が低下すれば、利息の支払い額も圧縮され、返済負担が軽減されます。
ただし変動金利の場合、借入期間中に金利が変わるので利息の支払い額も予測できません。
借入時と返済時の利率が変わってくる場合もあり、予測が困難なので返済計画が立てづらくなります。
またタイミングによっては、金利が急上昇する局面もあるかもしれません。
何らかの要因で市場が急激に変動して、金利が短期間で上がってしまうことも想定できます。
ですから変動金利で借り入れて、返済計画を立てる際には金利上昇リスクも踏まえて、余裕のある計画を検討しなければなりません。
変動金利で借り入れる際には、利率の低いタイミングを狙って手続きするといいでしょう。
変動金利の利率は市場の需要と供給のバランスによって決定されるので、金利が上昇する局面もあれば、下降する局面もあります。
下降局面で借り入れれば、低利率で借入でき、返済負担を軽減できるでしょう。
プライムレート
銀行からの融資を中心として、プライムレートが適用される場合もあります。
プライムレートとは優遇金利のことで、店頭で表示されている利率よりも低い金利で借入できます。
一般的に信用力が高いとされる大手企業や上場企業を対象にして、プライムレートが適用されます。
プライムレートは短期プライムレートと長期プライムレートに分類されます。
借入期間で分類され、借入期間1年以内であれば短期、借入期間が1年以上あれば長期プライムレートが適用されます。
プライムレートが適用されれば、その時々で若干変動するものの1%前後の利率が適用されるでしょう。
かなりの低金利なので、返済時の負担も必要最低限に抑えられます。
低い利率で法人が借入するためのポイント
法人が資金調達するにあたって、できるだけ低い金利でお金を借りたいというのが本音でしょう。
ずっと黒字決算が続いていて、財務状況が好調であれば、低金利で借入できるでしょう。
しかしそんな企業は一握りのはずです。
もし低金利で借入を希望するのであれば、金融機関との普段からの付き合い方がポイントです。
以下のポイントを常日頃から意識すると、低い利率で借入できるかもしれません。
1.担当者と密にコミュニケーションをとること
2.返済実績を積み重ねる
3.信用保証協会の保証を付けること
4.キャンペーンを有効活用すること
それぞれ、なぜ低金利で借入できる可能性が高まるのか、以下で詳しく見ていきます。
担当者と密にコミュニケーションをとること
融資担当者はロボットでもAIでもなく、感情のある人間です。
常日頃からいろいろと話をしていて、親近感のある相手なら情もわいてくるでしょう。
継続的に融資を受けていたり、ほかの金融商品を利用していたりすればおのずと担当者と仲良くなるでしょう。
仲良くなれば、低金利で借入するためのコツなど個人的に教えてくれるかもしれません。
返済実績を積み重ねる
もし将来的に低金利で借り入れたければ、金融業者で融資を受け返済して実績を作っておくといいでしょう。
融資にあたっての審査時には、法人のキャッシュフローは調査されます。
もしこの時ほかの金融業者から融資を受けていて、遅滞なく返済できていれば、金融機関も返済能力が高いと判断されます。
貸し倒れリスクは低いと判断され、低金利での貸し出しも認められるかもしれません。
ただし返済実績を積む際には、借入先を慎重に選ぶ必要があります。
ノンバンク系のビジネスローンなど高金利の金融商品ばかり利用していると、たとえきちんと返済できていても「資金繰りに困っている法人」と思われかねません。
もし返済実績を積みたければ、銀行など比較的利率を低めに設定しているところで借り入れるように心がけましょう。
特におすすめなのが日本政策金融公庫や信用金庫・信用組合です。
いずれも低金利ですし、地域活性化のために起業間もない法人でも積極的に融資する傾向が見られます。
このようなところから借り入れの実績があれば、信用力も増すはずです。
信用保証協会の保証を付けること
信用保証協会の保証を付けることによって、銀行は貸し倒れリスクが低下します。
よって低金利にて借入ができる可能性が高いと言えます。
ただし信用保証協会に加盟するにあたって審査があります。
また会費もかかる点には留意しなければなりません。
しかし中小企業など、法人だけの信用力ではプロパー融資が受けられるかどうか未知数の時には、信用保証協会を利用するといいでしょう。
キャンペーンを有効活用すること
各金融業者では、新規顧客獲得のためにキャンペーンを実施する場合もあります。
主に個人向けローンでキャンペーンを実施されますが、まれに法人向けのキャンペーンを実施している場合もあります。
キャンペーン内容ですが、大抵は通常よりも低めの利率で借入できるというものです。
お得な条件で借入できるので、将来の返済負担も低く抑えられます。
最寄りの金融業者で、何かキャンペーンを実施しているところはないか調べてみるといいでしょう。
法人の借入利率のまとめ
法人が借入する際に、金利がどうなのか検討することです。
お金を借りた後の返済負担を決める重要な要素になるからです。
法人の借入方法として、いくつかの手法が考えられます。
その中には低金利のものもあれば、高金利のものもあります。
理想は低金利の商品で借り入れることでしょう。
しかし低金利の商品は審査が厳しいですし、融資実行までに時間もかかります。
急な出費などで緊急性の高い融資を希望する際には、多少高金利でも審査の早いところで借り入れましょう。
また融資担当者とのコミュニケーションを密にするなど、金融業者との普段の付き合いも結構重要なポイントです。
上手く工夫して、少しでも金利を低く、自分たちの用途に合った金融業者から借り入れてください。