担保証券ローンは主に富裕層向けに資産を運用する際に利用される資金調達方法ですが、実際に利用する際にはデメリットが生じます。有価証券を担保に資金を調達するため価格変動が激しく担保の価値を失うリスクなどがありますが、そのほかにも担保証券ローンにはデメリットがあります。今回はデメリットや注意点を中心に、メリットやほかの資金調達方法などを解説します。

証券担保ローンの仕組みとは

証券担保ローンは簡単に言えば、有価証券を担保に融資(ローン)を行って資金を調達する手段です。投資信託や株券、債券などが対象となっており、ビジネスローンや銀行融資と違って調達した資金の使途は自由なために、その資金でさらなる投資を行った資産運用が可能です。

証券担保ローンにはいくつかデメリットがある

証券担保ローンは所有している有価証券を担保に資金調達ができるのでとても便利なのですが、一歩間違えると大きなリスクが発生するデメリットが多数あります。

1.借入可能額や担保種類に制約がある
2.担保割れまで下落すれば追加担保を求められる
3.究極に下落すれば株式売却のリスクがある
4.延滞時の利率が高い
5.有価証券の価値変動リスクがある
6.担保にした会社倒産時のリスクが大きい
7.主に富裕層向けの金融商品である

上記、7項目のデメリットについて詳しくみていきましょう。

1.借入可能額や担保種類に制約がある

借入の可能額が、担保として提供した有価証券の価値から一定の割合を引いた金額が上限となっています。内容は証券会社によって異なりますが、例えばひとつの会社の株式だけが担保の場合は消極的になる金融機関もあり、また担保となる有価証券によっても異なってくるため、思ったよりも資金調達ができない場合が多いです。

2.担保割れまで下落すれば追加担保を求められる

担保とする有価証券の中でも株のように価格変動が激しい場合は注意が必要です。例えば当初担保として提供した価値よりも下落すると、融資をした金額では担保の価値では無くなってしまうために、追加の担保提供が求められる場合があります。

3.究極に下落すれば株式売却のリスクがある

少しくらい株価が下落すれば、担保を追加で提供すれば問題ないのかもしれません。しかし、業績悪化等により余りにも下落が激しい場合は、追加の担保ではなく強制的に売却される恐れがあります。例えば自社株を担保に融資を受けた場合、自社株が大幅に下落した際に、株を他社に売却されてしまうと、会社の所有権が変わる恐れがあります。

4.延滞時の利率が高い

証券担保ローンは利息が低いというメリットがありますが、融資の支払いが滞ってしまうと、高い金利が発生してしまい、カードローン並みの利息が請求される恐れがあります。

5.有価証券の価値変動リスクがある

不動産と違い、株などの有価証券を担保にすると価値の変動に左右されるため、下落した際には2や3で述べたような状況に陥るリスクがあります。株券よりも投資信託のほうが価格変動が少ないので、投資信託を担保することを認めている金融機関に申し込むほうが良いかもしれません。

6.担保にした会社倒産時のリスクが大きい

担保として提出した株券の会社が倒産した場合、有価証券の価値が瞬時に無くなります。所有していただけなら価値がなくなるだけで済みますが、融資を受けているので、その対応が大変です。同等の担保になる有価証券をすぐに用意して提出しなければ、まとめて返済が求められる恐れがあります。

7.主に富裕層向けの金融商品である

証券担保ローンは、主に富裕層向けの金融商品です。富裕層がさらに資金を増やすために運用しているのに向いている為、資産を持っていないような開業直後の人やフリーランス、個人事業主には向いていません。

証券担保ローンを活用する場合に注意すべきこと

証券担保ローンを活用する際にはデメリットに加えて注意すべき点が存在します。

1.取扱い金融機関が制限される
2.借り入れ金利や返済計画を検討
3.利用できる有価証券を確認する

上記3項目について詳しくみてみます。

1.取扱い金融機関が制限される

証券担保ローンを取り扱っている金融機関は限られています。仮に扱っていたとしても細かい制限が加わっている場合があり、期待通りの資金調達ができない場合があります。

2.借り入れ金利や返済計画を検討

証券担保ローンだけの話ではありませんが、借入の金利や返済計画は予めしっかりとたてておきましょう。有価証券を担保にする場合は不動産と違い、価値が変動しやすいことも念頭に置き、場合によってはすぐに追加で担保として提供できる有価証券などがないか確認しておきましょう。

3.利用できる有価証券を確認する

証券担保ローンは。すべての有価証券が利用できるとは限りません。例えは株券にしても取り扱いできる銘柄(担保適格銘柄)というのが存在します。金融機関も有価証券の価値が無くなってしまうことを警戒するので、予め担保に適した銘柄を選択しているからです。

証券担保ローンにはメリットも多い

証券担保ローンについてデメリットや注意点ばかり書いていきましたが、もちろんメリットも数多くあるため、資金調達に魅力的な融資方法であることは間違いありません。

1.低金利での借り入れが可能
2.レバレッジをかけた資産運用
3.迅速に安定した資金調達
4.担保の価値が上がれば大口の融資も
5.引き続き配当や株主優待を受けられる
6.別の有価証券へ再投資ができる

上記、6つの項目についてひとつずつ詳しくみていきましょう。

1.低金利での借り入れが可能

証券担保ローンのメリットは低金利での借り入れです。金融機関や有価証券によっても差がありますが、高くても3%程度で、低い場合は1%という低金利での融資が受けられます。

2.レバレッジをかけた資産運用

証券担保ローンは使途が自由です。そのためレバレッジをかけた資産運用ができます。証券担保ローンで手にした資金をもとに、国内外のFXなど、レバレッジの高い金融商品でさらに高額の資産運用が可能です。

3.迅速に安定した資金調達

証券担保ローンは資金調達が迅速です。審査の対象が原則として申込者個人の信用ではなく、あくまで提供された有価証券の価値なので、審査の速度も速く迅速で安定的な資金調達が受けられます。

4.担保の価値が上がれば大口の融資も

株などの有価証券には変動リスクがありますが、企業の業績や将来性が認められ、変動が良い方向に無い場合は、担保の価値も上昇します。そうなれば追加の融資、場合によっては大口の融資が受けられる可能性があります。

5.引き続き配当や株主優待を受けられる

株を売却して資金を調達した場合、株主ではなくなってしまうので配当や株主優待の権利も放出してしまいます。しかし証券担保ローンであれば、株主の立場は維持されるので、配当や株主優待は引き続き受けられます。

6.別の有価証券へ再投資ができる

使途自由の証券担保ローンの場合は、手にした資金で別の有価証券への再投資ができます。富裕層はこのような方法を使って更に資産を増やすために様々な手を使いますが、証券担保ローンは非常にやりやすい資産運用方法です。

証券担保ローン以外にも資金調達方法がある

有価証券がないなど証券担保ローンができない場合にはほかの資金調達方法があります。

1.助成金や補助金利用
2.ビジネスローン
3.不動産担保ローン
4.ファクタリング

ひとつずつ見ていきましょう。

1.助成金や補助金利用

政府などが定期的に用意している助成金や補助金を利用する方法です。特にビジネスで新しい物や革新的なアイデアがある場合は申し込むと資金援助が受けられます。ただし補助金や助成金の目的以外で資金を利用することはできません。

2.カードローン

カードローンは目的が決まっていない使途自由の資金調達方法です。無担保無保証で借りられるのも資金調達の敷居を下げています。但し金利が利息制限ギリギリにまで設定していることや融資が受けられる金額に制限があり、年収の3分の1以下など製薬も多いです。

3.不動産担保ローン

不動産を所有している場合は有価証券よりも変動リスクの低い不動産を担保に資金調達をする方法があります。不動産を担保として提出するので、証券担保ローンのように使途が自由で金利も低めです。ただし資金の返済が滞る場合は不動産が売却されるリスクがあり、仮に住んでいる家を担保に出した場合は、家から追い出される恐れがあります。

4.ファクタリング

融資ではありませんが、気軽に資金調達ができる方法としてファクタリングがあります。ファクタリングは売掛債権の現金化で、売掛債権の価値から手数料を引いた額が現金として手に入ります。ファクタリングの場合も証券担保ローン同様にその価値以上の資金調達ができないので手に入る金額が限られますが、融資ではないので負債とならず返済の必要はありません。

証券担保ローンデメリットのまとめ

証券担保ローンは有価証券を担保に資金調達をする手段ですが、変動リスクが高いなどの理由でデメリットもいくつかあります。その一方でメリットもあり富裕層にとっては資産運用にとても役立つ資金調達方法です。