事業の苦しい状況が続くと、資金調達も難しくなっていきます。銀行融資を断られてしまった場合には、審査激甘な事業者ローンの利用を考えることでしょう。しかし審査激甘な事業者ローンは存在するのでしょうか。また、審査激甘と呼べるような事業者ローンはどのように見分ければ良いのでしょうか。
この記事では、審査激甘な事業者ローンについて解説します。また、比較的審査に通りやすいと感じる事業者ローンの特徴もご紹介します。

審査激甘な事業者ローンは存在するのか

融資を受ける場合には必ず審査を受けなければなりません。審査基準は金融機関ごとに違い、審査の厳しさに差を感じることがあります。しかし、誰でも必ず通過できるほど審査激甘な融資は存在しません。返済能力の無い相手にお金を貸すような金融機関は存在しないからです。
ただし事業者ローンであれば銀行融資よりも審査が簡単なことがあります。

銀行はどのような審査をするのか

銀行融資では主に次のような審査をおこないます。

・財務が健全かどうか
・キャッシュフローに問題はないか
・役員報酬は妥当か
・返済原資はあるか
・いくらまで融資可能か

企業の信用情報はもちろん、決算書や事業計画書、資金繰り表などを厳しく審査することで融資が可能か、いくらまで貸せるのかを判断します。銀行融資はとくに審査が厳しく、創業したばかりの企業や経営状況の良くない企業では融資を受けることが難しいでしょう。

事業者ローンはどのような審査をされるのか

事業者ローンもまた、企業の信用情報だけでなく事業について審査されることがあります。
しかし審査激甘とまではいきませんが、銀行融資の審査よりも簡単であることが一般的です。審査基準に違いがあるからです。提出書類も銀行融資より少なく設定されていることが多くあります。

とくに審査が簡単とされているのは、ノンバンクの事業者ローンです。
ノンバンクとは銀行以外の金融機関を指します。具体的には消費者金融や信販会社などです。
ノンバンクの事業者ローンは種類が豊富で、業者によっては最短で即日融資が可能です。審査のために提出する書類も業者によって大きな差があり、決算書のみで審査をする場合もあれば、その他の書類を必要とする場合もあります。
審査に自信がない、銀行融資に落ちてしまった場合には、ノンバンクの事業者ローンが選択肢となるでしょう。

ノンバンクは安全なのか

ノンバンクというと、安全な業者なのか心配になる方もいると思います。
事業者ローンを利用する時には、国や都道府県に貸金業の登録をしているノンバンクを選びましょう。登録されている貸金業者は金融庁のホームページから確認できます。
また、もしも取引業者に怪しい点があった時には、貸金業者として登録されているか確認してください。違法業者の場合には消費者センターへ相談しましょう。

「審査激甘」「審査なし」を謳う業者は違法業者の可能性も

事業者ローンを探していると、なかには「審査激甘」「審査なし」を謳う業者も見つかります。しかしそのような業者も違法業者の可能性があるので注意してください。

貸金業者は貸金業法第十三条により返済能力を調査することが義務付けられています。「審査なし」は違法行為です。
さらに「審査激甘」という表現は誇大広告に当てはまる可能性があります。誇大広告は貸金業法第十六条により禁止されています。そのような表現をする業者には注意しましょう。
万が一そのような業者と取引をしてトラブルに巻き込まれた場合にも、消費者センターへ相談してください。

審査激甘に近い事業者ローンの特徴

審査激甘ではなくても、比較的審査が簡単だと感じる事業者ローンは存在します。審査激甘を望む時にはそのような事業者ローンを利用すると良いでしょう。では、審査激甘を望む場合にはどのような事業者ローンが最適なのでしょうか。

中小規模のノンバンクが提供している

大手のノンバンクではスコアリングシステムを導入しており、一律の基準で審査をおこなうことが多くあります。信用情報に自信がない場合には、大手の審査を通過することは難しいでしょう。
しかし中小規模のノンバンクでは、独自の審査基準で判断することがあります。事業計画など信用情報以外のデータを加味することで審査が有利になるかもしれません。
信用情報に自信がない場合には一律の基準で判断する大手ではなく、親身になってくれる中小規模のノンバンクで将来性をアピールすることがお勧めです。

上限金利が高い事業者ローン

貸し倒れを防ぐため、比較的審査が簡単な事業者ローンは上限金利を高く設定している傾向にあります。
審査が柔軟な場合、返済能力のない企業にも貸し付けてしまう可能性があります。しかし返済されなければ貸金業として成り立ちません。そのリスクを背負う分、金利が高く設定されているのです。

事業者ローンの金利は業者によっておおむね以下のように設定されています。

・メガバンク 1.0%~14.0%
・地方銀行 3.0%~15.0%
・ノンバンク 5.0%~18.0%

金利の高い順に審査も簡単な傾向があるので参考にしてください。

ただしあまりに金利が高すぎる場合には、違法な可能性もあるため注意が必要です。20%を超える金利は出資法に違反し、刑事罰の対象となります。業者に金利が高い理由を尋ね、納得できない場合は消費者センターなどに相談すると良いでしょう。

事業者ローン専門のノンバンクが提供している

ノンバンクの中には、個人向けローン・事業者ローンの両方を提供している業者と、事業者ローンのみを提供している業者があります。事業者ローンを組みたい場合には、事業者ローン専門の業者を選ぶことがお勧めです。
事業者ローン専門の業者は業種に合わせた専門的な審査ができ、経営状況を総合的に判断できます。

審査激甘な事業者ローンでも落ちてしまった場合はどうするか

審査激甘に近い事業者ローンであっても、審査がある以上、落ちてしまうことがあります。その場合には、どのような資金調達方法を利用できるでしょうか。

ファクタリングを利用する

ファクタリングは持っている売掛債権を支払期日前に現金化する仕組みです。
ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうため、帳簿上の負債が増えません。信用情報にも記載されないため、その後の融資に影響を与えず資金調達ができます。

ファクタリングにも審査はあります。しかし重要視されるのは、売掛金を支払う側である取引先です。取引先の信用度が高ければ、「問題なく売掛金が支払われる」と判断される可能性が高くなり、審査に通りやすくなります。自社の経営状況が悪くても利用できる可能性があるため、事業者ローンを組めなかった時の資金調達として有効です。

クラウドファンディングに挑戦してみる

クラウドファンディングは自社のプロジェクトに賛同してくれた人たちに出資してもらう資金調達方法です。経営状況ではなく、事業内容で勝負できることがメリットです。支援者に対してアピールできる商品・サービスがあるのであれば挑戦してみても良いでしょう。

審査激甘な事業者ローンを利用したい時のまとめ

事業が苦しい状況にあると「審査激甘」を謳う事業者ローンを利用したくなります。しかし審査激甘と謳っている事業者ローンは、違法な業者が提供している可能性もあるため注意してください。審査激甘とまではいかなくても、比較的利用しやすい事業者ローンも存在します。事業者ローンを専門に扱う業者などを利用すると良いでしょう。
事業者ローンを組めなかった場合には、ファクタリングといった資金調達方法もあります。最適な方法を選んでください。