みなさんの会社で、もしもチラシの作成が必要になった場合、どのような方法で対応されるでしょうか。
社内のスタッフがエクセルやワードなどのソフトを使って自分で作成するケースもあれば、デザイン会社や広告代理店といった専門業者に制作を依頼するケースも多いかと思います。実際、日本国内でもこのような方法は一般的で、目的や予算に応じて使い分けられています。

しかし、社内制作の場合は「デザインの知識や経験が不足しており、内容は伝わるものの見た目や完成度に満足できない」「修正や編集に時間がかかり、本来の業務に支障が出てしまう」といった課題が生じやすい傾向があります。一方で、専門業者に依頼する場合は、「クオリティは高いが、単価が高く、予算的に厳しい」「見積もりや打ち合わせ、確認作業などに手間がかかる」といった不満を感じることも少なくありません。
このように、チラシ制作には多くの企業が少なからず悩みや迷いを抱えているのが現状です。

そのような課題を解決する新しい選択肢として注目されているのが、**「クラウドソーシング」**という働き方・サービスです。
クラウドソーシングとは、インターネット上のオンラインプラットフォームを通じて、仕事を依頼したい企業や個人と、仕事を受けたいクリエイターやフリーランスをマッチングする仕組みを指します。デザイン制作をはじめ、ライティング、動画編集、システム開発など、さまざまな分野の仕事が掲載されており、ページ上で内容や条件を確認しながら依頼先を探すことができます。

クラウドソーシングを活用することで、社内に専門スキルを持つ人材がいなくても、必要なタイミングでプロに近いスキルを持つ人へ仕事を依頼することが可能になります。掲載されている案件数も多く、デザイナーの実績や評価、過去の制作物を事前に確認できるため、完成イメージのズレを防ぎやすい点も大きな特徴です。
また、広告代理店などに比べると単価が低めに設定されていることが多く、内容によっては無料で提案を募れるサービスも存在します。そのため、コストを抑えながら一定以上のクオリティを得られる可能性が高いといえるでしょう。

さらに、クラウドソーシングは日本全国、場合によっては海外のクリエイターともつながることができるため、自社では思いつかなかった新しい視点や表現を得られる点もメリットのひとつです。オンライン上でやり取りが完結するため、打ち合わせや修正依頼もスムーズに行え、修正後のデータ確認や最終納品までの流れも効率化できます。

もちろん、メリットばかりではありません。依頼内容の書き方が曖昧だと、完成後に「イメージと違う」と感じてしまうこともあります。そのため、事前にチラシの目的や掲載したい情報、ターゲット層、希望するデザインの雰囲気などを整理し、できるだけ具体的に内容を伝えることが重要です。このひと手間をかけることで、依頼後の修正回数を減らし、満足度の高い成果を得やすくなります。

このように、クラウドソーシングはチラシ制作における新しい選択肢として、多くの企業にとって有効な手段となり得ます。
次章では、クラウドソーシングを利用することで得られる具体的なメリットや、注意しておきたいデメリットについて、さらに詳しく解説していきます。

クラウドソーシングとは？

「クラウドソーシング」とは、インターネット上で企業や個人が不特定多数の人に仕事を発注できる業務形態です。

似たような言葉として、外部から人材を募って業務の一部を任せる「アウトソーシング」がありますが、「クラウドソーシング」はインターネット上で「アウトソーシング」におけるすべてのプロセスを完了させる形態という認識で良いかと思います。

最近の代表的な「クラウドソーシング」のサービスには「ランサーズ」や「クラウドワークス」がありますが、これらの名称だけは聞いたことがあるという人も少なくないのではないでしょうか。

クラウドソーシングの基本的な3つの発注方式

「クラウドソーシング」には主に3つの発注形式があります。

一つは「プロジェクト形式」です。
「プロジェクト形式」は、発注者が委託したい業務内容を開示し、それに対して受注者が「見積金額」や「制作期間」などの希望や提案を添えて申し込むという形式です。

発注者側は、複数の応募者から寄せられる希望や提案を見比べ、最も適した受注者を選別した上で、業務を委託することになります。

二つ目は「コンペ形式」です。
「コンペ形式」は、不特定多数の人から提案や制作物を募り、集まったものの中から発注者が気に入ったものを選ぶという形式です。

受注者を選別したのちに作業に移ってもらう「プロジェクト形式」に対して、「コンペ形式」はあらかじめ作業を行ってもらったのちに受注者を選別するという流れになります。

三つ目は「タスク形式」です。
「タスク形式」は、あらかじめ業務に参加可能な人数を設定し、参加するすべての受注者から提案や制作物を募る形式です。

ただし「コンペ形式」のように一点のみを選別することはできず、業務に参加した受注者全員に報酬を支払う必要があります。

依頼可能な業務と参加者の特徴

では、「クラウドソーシング」ではどのような案件を依頼できるのか、またどのような人が受注者として参加しているのでしょうか。

「クラウドソーシング」で依頼できる業務はサービスによって様々ですが、基本的には以下のようなものが挙げられます。

一方、受注者として参加しているのは上記のような業務を専門的に行うフリーランスはもちろん、副業目的の会社員、さらには学生や主婦がアルバイトやパート感覚で利用しているなど、プロやアマチュアを問わず様々な業種の人や幅広い年齢層の人が存在します。

「クラウドソーシング」のメリット

次に企業が「クラウドソーシング」を利用して外部委託すると、生じるメリットについて解説していきます。

・専門的なスキルを気軽に募れる

例えば冒頭で挙げたような急遽チラシの作成が必要になるケースであれば、「プロジェクト形式」でデザイン制作を売りにする人を募り、最適な受注者を選定して作業を依頼するなど、自社にはない専門的なスキルを必要に応じて気軽に利用することが可能です。

・人件費や育成費の削減につながる

「クラウドソーシング」を利用すれば、ピンポイントで外部に業務を依頼できるので、わざわざ業務に応じて新たな人材を雇う必要はなくなるほか、育成にかかる費用も削減することができます。

・法人に依頼するよりもコストを抑えられる

一概には言い切れませんが、法人の専門業者に業務を依頼するよりも、「クラウドソーシング」の参加者に依頼する方がコストを抑えられる傾向にあります。

例えばチラシ制作を依頼する場合、法人のデザイン会社に依頼すると10万円かかるところ、「クラウドソーシング」ではその半額の5万円で発注できるようなケースもしばしばあります。

「クラウドソーシング」のデメリット

・社内人材の成長や経験につながらない

人件費や育成費の削減につながる反面、「クラウドソーシング」に利用によって業務を外部委託すると、社内スタッフはその業務を遂行する機会を失うことになります。
社内人材の成長や経験につながらず、結果として「企業力」の向上の機会を逃す場合があることを理解しておかなければなりません。

・作業途中に音信不通になる受注者も存在する

「コンペ形式」や「タスク形式」ではさほど問題にはなりませんが、「プロジェクト形式」によって一対一で契約したにもかかわらず、業務途中で放棄し音信不通となってしまう受注者も残念ながら存在します。
もちろんこのような場合に報酬を支払う必要はありませんが、作業の停滞によって納品や完了時期に遅れが生じる可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

今回は「クラウドソーシング」について解説しました。

インターネットの普及とともに社会全体の働き方が大きく変化する中で、企業や個人が場所を問わず仕事を発注・受注できる仕組みとして注目されているのがクラウドソーシングです。クラウドソーシングとは、オンライン上で不特定多数の人に向けてお仕事を募集し、条件に合った人が業務を受ける業務委託型の働き方を指す造語であり、現在では日本国内でも多くの企業や個人に利用されています。

この仕組みの大きな特徴は、社内に専門人材を雇用しなくても、必要なスキルを外注という形で柔軟に活用できる点にあります。たとえば、システム開発やWeb制作、動画編集、デザイン、執筆、調査、アンケート回答、アフェリエイト関連作業など、カテゴリは非常に幅広く、一覧を確認するだけでも多様なお仕事が掲載されていることが分かります。特定の分野に強い専門家や実績豊富なクラウドソーシングワーカーを探すことができるため、事業運営において非常に重要な支援手段となっています。

企業側にとっては、正社員雇用に伴う人件費や社会保険料、教育コストを抑えながら、必要な業務だけを依頼できる点が大きなメリットです。特に、短期間だけ発生する業務や、比較的複雑ではあるものの常時必要ではない業務については、クラウドソーシングの活用が判断材料として有効でしょう。また、開発や運営に関わる業務を外部に任せることで、社内リソースをコア業務に集中させやすくなり、全体の効率化にもつながります。

一方、仕事を受ける側にとっても、クラウドソーシングは新しい働き方の選択肢です。内職感覚で始められる初心者向けのお仕事から、高い専門性が求められる高単価案件まで幅広く、スキルや経験に応じて選べる点が魅力です。評価制度が整っているサービスも多く、実績を積むことで信頼が高まり、より条件の良い案件を受けやすくなる傾向があります。口コミやランキングを参考にしながら、自分に合った案件を探す人も増えています。

クラウドソーシングサービスを利用する際は、事前のチェックが欠かせません。各サービスごとに利用規約や支払い方法、手数料率、支払わなければならない費用の有無などが異なるため、登録前に必ず確認しておく必要があります。アカウント作成時には基本情報の入力が求められ、本人確認や資料提出が必要な場合もありますが、これらはトラブル防止や安心してやり取りを行うための制度といえます。

また、依頼内容や条件を明確にしておくことも重要です。業務内容が曖昧なままだと、成果物が期待と異なったり、やり取りが複雑になったりすることがあります。事例を参考にしながら、求める内容や納期、支払い条件などを具体的に提示することで、双方にとってスムーズな取引が実現しやすくなります。連絡手段や管理機能が充実しているサービスを選ぶことで、進行管理もしやすくなるでしょう。

現在では、クラウドソーシングを活用したメディア運営や、新規事業立ち上げ、アイデア募集なども増えています。限定的なプロジェクトだけでなく、継続的な支援関係を築く企業も少なくありません。業務終了後の評価やフィードバックを行うことで、信頼関係を構築し、次の依頼につなげることも可能です。

このように、クラウドソーシングは単なる外注手段を超え、企業活動や個人の働き方を支える重要な仕組みとして社会に定着しつつあります。どこまでを社内で行い、どこからを外部に委ねるのかを見極めることが、これからの事業運営においては欠かせません。

まずは人気のクラウドソーシングサービスをいくつか比較し、掲載されているお仕事や機能、サポート体制をチェックしてみることをおすすめします。自社の目的や状況に合ったサービスを選び、上手に活用することで、クラウドソーシングは心強いパートナーとなってくれるはずです。