政府の働き方改革、そして昨今の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、オフィス以外の場所で業務を行うテレワークの普及が一気に進みました。これまで「出社して働く」ことが当たり前だった多くの企業においても、在宅勤務やサテライトオフィス勤務といった新しい働き方が導入され、社内の情報共有や業務の進め方そのものが大きく変化しています。
そんなテレワークの核のひとつともいえるのが「Web会議」です。
従来のテレビ会議システムと比べても、導入のハードルが低く、専用機器を用意しなくても簡単に使える点が、多くの企業に受け入れられている理由といえるでしょう。
「Web会議」とは、「Zoom」や「Google meet」といったビデオ通話アプリを活用して行われる会議のことを指します。これらのオンラインサービスは、PCやスマホ、タブレットなどさまざまな端末に対応しており、インターネット環境さえあればすぐに利用できます。使い方も比較的シンプルで、ITに詳しくない方でも直感的に操作できる点が大きな特徴です。
PCやスマホ、それにネットワークに接続が可能な環境であれば、いつでもどこからでも会議の開催や参加が可能となるため、まさにテレワークの実施には不可欠な存在であるといえます。移動時間や交通費を削減できるだけでなく、遠方の拠点や在宅勤務中の社員ともスムーズにコミュニケーションを取れるようになる点は、業務効率の向上にも大きく貢献します。
また、自社の会議だけにとどまらず、取引先との商談や契約といった営業活動、さらには採用活動における面接や説明会などにもWeb会議は幅広く活用されています。画面共有機能を使えば、資料や製品情報をリアルタイムで表示できるため、対面に近い形で説明ができるのも大きなメリットです。最近では録画機能を活用し、会議内容を後から社内で共有したり、情報を蓄積したりするケースも増えています。
多くのWeb会議サービスには、無料で使えるプランが用意されている点も見逃せません。初期コストをかけずに導入できるため、「まずは試しに使ってみたい」という企業や個人事業主にとっても非常に導入しやすいツールといえるでしょう。必要に応じて有料プランへ切り替えれば、参加人数の拡大や利用時間の制限解除、より高度な機能の利用も可能になります。
このように、「Web会議」は現代のビジネスにおけるスタンダードとなりつつありますが、「本当に社内に必要なのか」「対面の方が良いのではないか」といった理由から、導入をためらっている経営者や担当者がいるのも事実です。しかし、適切な使い方を理解し、自社の業務内容に合ったサービスや製品を選ぶことで、Web会議は非常に役立ち、社内外のコミュニケーションを円滑にする強力な手段となります。
そこで今回は、Web会議を導入することで得られる具体的なメリットとデメリットを整理しつつ、どのような企業や業種におすすめなのか、また導入時に押さえておきたいポイントについても分かりやすく解説していきたいと思います。自社に最適なオンライン会議の形を見つけるための参考として、ぜひ最後までご覧ください。
目次
Web会議導入のメリット

まずはWeb会議を導入した際に考えられるメリットをみていきましょう。
業務の効率化やコストの削減にもつながるなど、経営者にとっても社員や取引先にとっても満足度の高いメリットがいくつかあります。
・どこからでも会議や商談に参加可能
Web会議の1番のメリットといえば、やはりどこにいても会議や商談を開催したり参加できることでしょう。
PCやスマホを用意し、ネットワークさえ整っていれば参加できるため、たとえば外回りからの帰社が遅れて会議の開始に間に合わないといった場合でも、カフェやファミレスといった場所から気軽に参加することが可能になります。
また、迅速性が求められる意思決定の遅れを回避することにもつながるため、ビジネスを加速させる効果にも期待できます。
・貸会議室の確保は不要でコストも削減
会議室やスペースがないような小規模のオフィスでは、会議や商談の度に貸会議室を利用するといったケースもよくあるかと思います。
特に遠方に支社や取引先がある場合には、その傾向が高くなることでしょう。
そうしたケースでは当然ながら利用料が発生するほか、場所によっては移動のために交通費の宿泊費といったコストもかかるものです。
このようなコストの削減につながるのもWeb会議導入のメリットのひとつ。
たとえ支社や取引先が海外にあろうとも、場所の確保にかかるコストだけでなく移動に伴う交通費や労力までをも削減することができます。
・多様な働き方の推進につながる
昨今では、新型コロナウイルスの感染対策のほか、育児や身体的な事情などを理由に在宅での勤務を希望する社員が増えている企業も多いものです。
国を中心として多様な働き方の導入が推進されていることもあり、在宅勤務の導入を検討する企業も多々あるようですが、いざ導入となると勤怠管理の難しさや進捗確認と意思決定の遅延などが考えられることから、導入が保留となっているケースもあるようです。
Web会議の導入はそういった在宅勤務に関する課題の解決にもつながるもの。
意思決定のための会議だけでなく勤務管理や業務の進捗状況も、言葉だけでなく顔を合わせての確認ができるようになるため、多様な働き方の実現には欠かせない手段のひとつだといえます。
Web会議導入のデメリット

一方、Web会議を導入するとどのようなデメリットが発生すると考えられるのでしょうか。
・ネットワーク障害やメンテナンスで実施が不可能に
PCやスマホを用意し、ネットワーク環境さえ整っていれば気軽に行えるWeb会議ですが、裏を返せばネットワーク障害が起きると実施することはできないということがいえます。
また、使用するビデオ通話アプリによってはメンテナンスと会議の日程とが重なってしまうことで、ネットワーク障害時と同様に実施ができないといったケースも考えられます。
・参加人数や相手により会議が滞る場合も
利用するビデオチャットアプリにもよるものの、Web会議は会議室の広さを考慮する必要がないため、大人数が参加することも可能です。
しかし、ネットワークの通信状況によっては、参加人数が多くなると画面がフリーズを起こす可能性があるほか、音声も途切れ途切れになるといったことも想定できます。
また、ITツールに不慣れな参加者がいると、開始までに時間がかかってしまったり、資料閲覧などを目的とした画面共有などの操作に手間取り、会議時間が予定よりも伸びてしまうといったこともあるでしょう。
まとめ

今回はWeb会議の実施によって生じるメリットとデメリットについて解説しました。
Web会議は、業務の効率化やコストの削減につながるだけでなく、拠点が離れた場所にある社員同士や、リモートワークを行う人材とのコミュニケーションを円滑にするうえでも非常に有効な手段です。移動時間や場所の制約を受けず、リアルタイムで情報共有や議論が行える点は、現代のビジネスにおいて大きな価値を持っています。
一方で、開催にあたっては良好なネットワーク環境が求められるのはもちろん、参加者の人数や相手によっては会議の円滑性が損なわれる可能性も考えられます。特にインターネット回線が不安定な場や、使用する機器の性能が十分でない場合には、音声や映像の遅延、接続トラブルが発生しやすくなります。こうした問題は、会議内容の理解度や最終的な結果にも影響を及ぼしかねません。
ただし、ネットワーク環境の問題やシステムのメンテナンスといった点は、ある程度避けられない事象ではあるものの、事前の準備や設定によってリスクを抑えることは可能です。たとえば、Web会議を始める前に接続テストを行ったり、使用するwebサービスやクラウド型ツールの選び方を見直したりすることで、トラブルの発生頻度は大きく下げられます。また、セキュリティ面についても、ログ管理やアクセス制限、特定の人以外の参加を禁止する設定を行うことで、安全性を高めることができます。
参加人数の調整や、ITツールに不慣れな人への事前説明についても、決して大きな手間がかかるものではありません。会議の用途ごとに最適な人数を選択し、必要に応じて質問の時間を設けたり、資料を事前に作成・共有したりすることで、スムーズな進行が可能になります。画面共有やデータ連携といった便利な機能を活用すれば、リアルタイムでの説明や意見交換も行いやすくなるでしょう。
また、Web会議にはさまざまな型や特徴があり、社内向け、取引先向け、説明会向けなど、用途によって最適なツールや設定は異なります。各サービスの機能一覧や比較表を参考にしながら、自社の目的や参加者に合った製品を選ぶことが重要です。総合ポータルサイトや紹介ページを活用すれば、複数のサービスを一度に比較でき、選定の手間も軽減されます。
もしも未導入の企業があれば、いきなり社外の人を交えた会議から始めるのではなく、まずは社員同士などで試験的な実施を行ってみるのはいかがでしょうか。小規模な会議や空き時間を使ったテスト運用を重ねることで、社内にWeb会議のノウハウが蓄積され、設定や運用に対する理解も深まります。その結果、本格導入後も混乱が少なく、より効果的に活用できるようになるはずです。
Web会議は、正しく準備し、自社に合った形で導入・運用することで、単なる代替手段ではなく、ビジネス全体を前に進める強力なツールとなります。メリットとデメリットの違いを理解したうえで、最適な形を見つけ、継続的に改善していくことが重要だといえるでしょう。





