運送業を始めようと思っている人はいませんか?
運送業を始めるにあたって、それなりのまとまった資金が必要です。
自己資金だけで賄えない場合には、どこかから融資を受ける必要があります。
そこでここでは運送業を始めるにあたって、どこから融資を受けるかについてみていきます。
また開業した後も運転資金や設備資金などが必要になるケースも十分考えられます。
開業した後で資金調達する方法もいくつかありますので、ここで紹介します。
運送業で独立しようと思っている人は、参考にしてください。
目次
運送業開業の資金調達
運送業を始める場合、結構な資金が必要といわれます。
トラックなど高額な設備をそろえる必要があるからです。
創業時にどこから融資を受けるべきかについて、以下で解説していきます。
最低6か月分は必要
運送業を営むためには、運送業許可の申請をしなければなりません。
許可を受けるためには、事業推進していくために必要な資金のあることを証明するために金融機関から残高証明書を取得する必要があります。
運送業を開業するためにはトラックなどの車両費や人件費、備品代、ガソリン代をはじめとしたランニングコストなどの経費がどうしても発生します。
いきなり経営が軌道に乗って、まとまった利益を上げることは難しいでしょう。
すると当面は赤字になる危険性も十分あります。
そう考えると6か月分の運営資金は確保しておいた方が安心です。
どの程度の資金が必要?
運送業を開業するためには、トラックをはじめ高額な費用のかかる設備を確保しなければなりません。
どのくらいの資金が必要か、若干差がありますが一般的には1,500~2,500万円は必要と考えられます。
これだけの額を自己資金で賄える人は限られるでしょう。
そうなると別のところから資金調達する必要が生じます。
運送業創業時の融資方法
融資というと銀行融資をイメージする人も多いでしょう。
しかし銀行融資の場合、安定した経営ができているかどうかを融資の判断基準にしがちです。
これから事業を始めようとしている、言い換えれば業歴が一切ないところには未知数ということで融資を渋る傾向が見られます。
そこで創業時に融資を受けるためには主に以下の2つの方法のうちいずれかをとるのが一般的です。
1.日本政策金融公庫からの借入
2.信用金庫の融資制度
それぞれどのような条件で融資を行っているかについてまとめましたので、参考にしてください。
日本政策金融公庫からの借入
日本政策金融公庫では新創業融資制度を用意しています。
文字通り、これから事業を立ち上げようと思っている起業家のためにお金を貸し付ける制度のことです。
新創業融資制度では、最大3,000万円までの貸付に対応しています。
ただし運転資金は1,500万円までが上限です。
運送業を立ち上げるために必要な資金は確保できるでしょう。
しかも担保や保証人を準備する必要がないので、手軽に借入できるところが魅力です。
対象はこれから事業を始めようと思っている、もしくは税務申告2期以上行っていない事業者が対象です。
これから事業を始める方や税務申告を1期終えていない事業者の場合、自己資金として創業資金総額の1/10以上確保できていることを証明しなければなりません。
まずは日本政策金融公庫の最寄りの支店で融資相談を行って、申請手続きをします。
申請手続きする際には申込書のほかにも、創業計画書や資金繰り計画書、履歴事項全部証明書の原本が必要です。
そのほかに設備資金の融資を希望するのであれば購入する設備の見積書、不動産担保を付ける場合には登記簿謄本か登記事項証明書も用意しなければなりません。
信用金庫の融資制度
銀行融資の場合、日本全国に支店展開しているようなメガバンクは創業融資は渋りがちです。
融資の申し込み自体はできるかもしれませんが、ハードルは高いといわざるを得ません。
しかし地域密着型の営業をしている信用金庫の場合、地域経済の活性化のために創業融資を積極的に行っているところも少なくありません。
近くの信用金庫に融資の相談をしてみるのも一考です。
日本政策金融公庫で融資を受けられなかった、もしくは十分な資金調達ができなかった場合に検討してみる価値はあります。
信用金庫だと親身に相談に乗ってくれるケースも多いので、まずは問い合わせてみるといいでしょう。
別項で紹介しますが、創業してからも資金繰りのことで融資の相談をすることもあるでしょう。
後々のために早い段階で金融機関とコンタクトをとることは大事です。
運送業事業開始後の融資方法
立ち上げ時だけでなく、運送業を始めた後も資金繰りのために融資を受けることもあるでしょう。
資金調達方法として、主に以下のような選択肢が考えられます。
1.日本政策金融公庫
2.銀行融資
3.ノンバンクのビジネスローン
4.事業用クレジットカード
5.助成金制度の活用
6.ファクタリング
それぞれどのような方法で特徴は何か、以下で詳しく見ていきます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫では創業時だけでなく、運転資金や設備資金の融資も行っています。
いくつか融資商品がありますが、運転資金を希望するのであれば一般貸付を利用するといいでしょう。
一般貸付の場合、4,800万円を上限として貸し付けを実施しています。
返済期間は5~7年です。
据置期間といって、一定期間利息の支払いだけで済ませる方法もあります。
売り上げがまだそんなにあらず元本含めた返済が厳しい事業者にとっては重宝する制度です。
設備資金の場合、ある程度まとまった額を借り入れることもあるでしょう。
設備資金の場合、20年を上限とした返済期間になります。
これだけの期間があれば、無理のない返済計画が立てられるでしょう。
いずれも低金利なので、返済負担もそこまで大きくありません。
銀行融資
創業して、ある程度事業実績を持っていればメガバンク含め銀行融資を利用するのも選択肢に入ってきます。
メガバンクは厳しくても創業時の選択肢にあった信用金庫や地方銀行なら、借入できるかもしれません。
銀行の場合、低金利で融資してくれるところも多くなっています。
また審査時に安定性があると高く評価されれば、長期の借入期間を認めてくれる場合もあります。
ただし融資の申し込みの際には、必要書類をいろいろと提出しなければなりません。
決算書や事業計画書、借入のある場合には残高の状況を証明する書類などが必要です。
不備のないようにあらかじめ必要な書類を手配しておきましょう。
審査の難易度ですがメガバンクはハードルが高くなっています。
一方創業時同様信用金庫は審査を甘めにしているので、メガバンクや地銀がダメな場合に相談してみる価値はあるはずです。
ノンバンクのビジネスローン
ノンバンクとは金融機関以外の、融資専門の貸金業者のことです。
消費者金融やカード会社、信販会社などが該当します。
ノンバンクの中にはビジネスローンといって、事業用資金の貸付を行っているところも少なくありません。
ノンバンクのいいところは、審査スピードの速い点です。
金融機関の場合、どんなに早くても数週間かかります。
しかしノンバンクであれば、早ければ即日融資に対応しているところもあるほど、スピーディです。
しかも銀行と比較すると審査が甘めです。
金融機関で融資を受けられなかった運送業者もノンバンクなら借り入れできる場合も少なくありません。
ただし審査が甘い分、金利は高めに設定されています。
また銀行と比較して、融資可能額は少なく設定されているので注意しましょう。
メインは銀行融資で、融資実行されるまでのつなぎ資金としてノンバンクのビジネスローンを利用する運送業者も少なくありません。
事業用クレジットカード
法人カードや事業用クレジットカードと呼ばれる、必要経費の決済用のカードを持っておくのも選択肢の一つです。
当初の想定通りに取引先から入金がなかった、でも支払期限が差し迫っているときに重宝します。
手元に現金がなくても、とりあえずカードで決済できるからです。
自前で会計処理を行っている業者なら、会計ソフトを導入しているところもあるでしょう。
会計ソフトの中にはクレジットカード決済と連携できるようなものもあります。
カードを利用したときに会計ソフトに自動的にその履歴情報が記録されるので、経理業務の負担軽減が可能です。
助成金制度の活用
該当するものがあれば、助成金や補助金の申請を行って資金確保する手法もあります。
助成金や補助金は借金ではないので、返済義務がないのはメリットといえます。
2022年現在、運送業者が利用できる助成金制度はいくつかあります。
例えば自家用燃料供給施設整備支援事業助成金です。
軽油専用タンクの設置を行うにあたって助成金が給付されます。
新設する際には100万円、増設や交換をする際には30万円が上限となります。
準中型免許取得助成事業を利用できる運送業者もあるかもしれません。
準中型免許取得のための費用に関して助成する制度です。
若手の労働者を確保するために導入を検討してみる価値のある事業といえます。
ほかにも地方自治体が独自に行っている助成金や補助金があるかもしれません。
自治体のホームページなど最新情報をチェックして、使える助成金や補助金制度があるか確認しましょう。
ファクタリング
ファクタリングを利用するのも資金繰り改善のための一つの手段になりえます。
ファクタリングとは、売掛金を買取してもらえるサービスのことです。
売掛金が問題なのは、実際の支払いまでに1~2か月かかってしまう点です。
その間に想定外の出費が発生した場合に、資金ショートしてしまう恐れがあります。
ファクタリングは売掛金を専門業者に売却することで、現金を確保するアプローチです。
ファクタリングも資金調達までの時間がかからないところが魅力です。
最短即日現金化できるのでお勧めです。
ファクタリングは手元にある売掛金を現金化する方法なので、借金ではありません。
のちに返済する必要がない点もメリットの一つです。
ファクタリングは銀行融資の審査に落ちてしまった運送業者でも、現金を確保できる可能性があります。
売掛金があって、取引先の信用力があれば買取してもらえます。
イレギュラーな出費が発生して、手持ち資金がないけれども売掛金はある場合には活用を検討してみる価値はあります。
運送業の経営改善のために
運送業を営んでいて、資金繰りが悪化した場合には上で紹介した融資で資金調達する方法も一考です。
しかし慢性的に資金繰りが悪化しているのであれば、ほかの方法で経営改善することも検討しなければなりません。
主な改善方法を紹介するので、できることはないか検討しましょう。
固定費の見直し
人件費や事務所の賃料など、毎月発生する固定費を削減することで資金を作る方法を検討してみてください。
例えば無駄な残業を減らすことで人件費を圧縮する、トラックなどリースしている場合にはリース代の削減を交渉してみるなどです。
また今の事務所に余裕があれば、もう少し狭いところに移転することで賃料の節約を図る方法もあります。
固定費に無駄なところはないか、検証してみましょう。
小口の営業をかける
小口の売り上げを増やすことで、全体的な売り上げを増やしていくのも経営改善対策の一つになりえます。
大口の場合、手形取引になってしまって売掛金回収までに時間がかかります。
その結果、キャッシュフローの流れが悪化してしまいがちです。
小口取引の場合、現金収入が多くなります。
キャッシュフローが改善し、支払時に手持ち資金がないといった事態も回避できます
まとめ 運送業を営むためには融資も検討しよう
運送業を続けるためには資金繰りをいかに円滑に進めるか常に考えないといけません。
そのためには融資を受けることも検討したほうがいいでしょう。
資金調達の手段としてここで紹介したようにいろいろとあって、それぞれに異なる特徴があります。
資金繰りに窮しているようであれば収支の見直しを行って、それでも資金が不足しているのであれば必要に応じて融資を受けましょう。