法人向けの事業資金用の融資商品として、ビジネスローンがあります。
ビジネスローンは融資までがスピーディで、審査も甘めなので借りやすいとして人気です。
しかし一方でビジネスローンは銀行融資や日本政策金融公庫の融資と比較すると、金利が高めです。
ですから短期的な借入であれば、ビジネスローンの活用法を理解したうえでの利用はおすすめです。
では具体的にどんなシチュエーションであれば、ビジネスローンを利用したほうがいいのでしょうか?
ここではビジネスローンの活用法について紹介しますので、資金調達が必要になった際の参考にしてください。
目次
ビジネスローンの活用法にルールはある?
ビジネスローンの活用法に何か制約やルールがあるかですが、基本的には使途自由です。
事業目的に利用するのであれば、活用法は問わずどんなことに使っても問題ありません。
ただし生活資金など個人的なものに使った場合には、ペナルティを科せられる可能性があるので注意してください。
ビジネスローンの活用法として、主に以下のような項目があります。
1.運転資金
2.設備資金
3.開業資金
4.季節資金
5.賞与資金
具体的にどのような資金なのか、以下で詳しく解説します。
運転資金
運転資金という言葉はよく聞かれますが、会社を運営するために必要な資金のことです。
会社経営しているとわかるでしょうが、商品を納品してもすぐにその代金は受け取れないでしょう。
売掛金という扱いになって、実際にお金が入ってくるのは数カ月後といったこともざらです。
一方で原材料費やオフィスの賃料など経費の支払いは売掛金の回収前に発生します。
このため、一時的に資金が不足することもあるわけです。
そこでビジネスローンで一時的に借り入れて、収支のギャップの穴埋めをすることが活用法となります。
設備資金
設備投資という言葉がありますが、事業を拡大するにあたって機械を新たに購入する、工場を新設するなどのためにお金を出すことがあるでしょう。
機械を購入する場合でも、工場や倉庫を新設する場合でもそれなりにまとまった資金が必要です。
法人の手持ち資金だけでは対処できないケースもあるでしょう。
この場合、ビジネスローンを使って必要な資金を確保するのも一つの活用法です。
事業用車両の購入や新しく事務所を借りるための費用なども設備資金となります。
設備資金を借り入れる際には、事業計画をしっかり立てる必要があります。
会社の規模に対して妥当な規模になっているか、きちんと収益を確保できる見通しが立っているか慎重に検討してください。
多額の借入になれば、返済のめどが立つかどうかは重要です。
見通しがいい加減だと、審査落ちしてしまう危険性もあります。
開業資金
もしこれから起業する場合、何かと費用が掛かるでしょう。
オフィスを借りるのであればその賃料、備品を購入する費用、登記に関する費用などさまざまです。
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業実態調査を実施しました。
その結果、2019~2021年における開業にかかった費用の平均値は大体1,000万円前後でした。
1,000万円もの資金を自分たちだけで用意するのは、だれもができる芸当ではありません。
そうなると開業資金の不足分をほかのどこかから調達しなければなりません。
そこで候補の一つになるのが、ビジネスローンです。
銀行融資は業歴を重視する傾向があり、スタートアップなどへの融資は渋めといわれています。
しかしビジネスローンであれば銀行融資と比較すると審査が甘めといわれているので、融資してもらえる可能性があります。
季節資金
季節資金とは、特定の季節に必要になる資金のことです。
例えば水着は夏場、スキーなどのウィンタースポーツ関連商品は冬場のように特定のシーズンに需要の伸びる業種があります。
オンシーズンの時には大量に商品を作るために原材料もそれなりに調達しなければなりません。
また売り上げを伸ばすために、広告・宣伝費もお金をかける必要が出てくるでしょう。
もし年間で支出の多くなる時期に自前の資金だけで賄えない場合、ほかのどこかから資金を調達しなければなりません。
そこで季節資金を捻出するために、ビジネスローンを利用するのも一つの手です。
資金がないばかりに大量発注のチャンスを逃すことがないように、融資を受けるのも経営戦略の一つといえます。
賞与資金
従業員にボーナスを支払いたいけれども、資金が十分でない場合賞与資金の調達にビジネスローンを使うのも選択肢の一つです。
ボーナスは給料の何カ月分とよく言われますが、従来の給料よりも多くの人件費を賄わないといけません。
一般的にボーナスは夏と冬の年2回支払うというところが多いでしょう。
ビジネスローンで借り入れてでもボーナスを出すことで、従業員のモチベーションをあげるのも一つの方法といえます。
夏と冬に発生する資金なので、先ほど紹介した季節資金の一種と考えることもできます。
短期借入がおすすめ!ビジネスローンの活用法を紹介
ビジネスローンは融資がスピーディな半面、ほかの金融商品と比較して金利は高めです。
そこで短期で返済できるような借入がおすすめの活用法といえます。
では具体的にどのような活用法がビジネスローン向けなのか、ここで詳しく見ていきます。
近日入金のめどの立っている資金調達
すでに具体的にいつ入金があるのかわかっている目的での借入であれば、ビジネスローンの活用はおすすめです。
入金があれば、それを返済に回せば短期で完済できますし、利息の支払いも限定的だからです。
ではローンの活用法として、どのようなケースが考えられるでしょうか?
例えばもう受注が決まっている商品やサービスの制作費用です。
すでに作った商品を購入する客がいれば、入金も確実ですから返済資金で困る心配がありません。
そのほかには取引先から急に追加の発注が入った、新規取引先が見つかって急に発注の発生した場合です。
発注があれば、商品製造のために原材料の仕入れを進めなければなりません。
商品の売り上げはどうしても原材料の仕入れの支払いよりも後になってしまいます。
しかし取引先の発注を受けての追加生産ですから、買取先が決まっています。
よって売掛金回収するまでの期間を乗り切るための資金繰りでビジネスローンを利用しても問題ありません。
ビジネスローンの中には即日融資に対応しているところもあります。
急な発注で納品まで時間がない場合でもビジネスローンなら必要な資金をすぐ確保して、精算に移ることができクライアントの要望にも柔軟に応えられるでしょう。
資金ショート対策として
長期的な運転資金を確保するために、銀行融資や日本政策金融公庫の融資を利用するのも一考です。
銀行融資や日本政策金融公庫の融資はいずれも低金利なので、長期の借入でも利息の支払い負担を必要最低限に抑制できるからです。
しかし銀行融資や日本政策金融公庫の融資の場合、ネックになるのが審査期間です。
申し込みから融資が実行されるまで、どんなに早くても半月程度はかかります。
中には1~2カ月かかってやっと融資実行される場合もあるほどです。
せっかく審査通過して融資実行になっても、それまでに資金ショートしてしまって返済できなくなっては元も子もありません。
もし申し込んだローンの審査がまだ出ない、でも手持ち資金が底をつきそうというのであれば、いったんビジネスローンで借り入れるのも一つの方法です。
ビジネスローンは最短即日融資に対応しているところもありますし、どんなに時間がかかっても申し込んでから1週間後には融資が受けられます。
当面の必要資金のためにビジネスローンを利用してください。
そしてもともと申し込んでいた銀行融資などの融資が実行された際には、そのお金でビジネスローンを一括返済しましょう。
一般的に銀行融資や日本政策金融公庫からの融資の方がビジネスローンと比較して、金利は圧倒的に低いです。
一種の借り換えをしてしまったほうが、その後の返済負担をかなり軽減できます。
つなぎ資金として
ビジネスローンのよく利用されている活用法として、つなぎ資金が挙げられます。
例えば入金はすでに確定しているけれども、それがまだ先のことでそれまで待っていられないというケースに遭遇することは十分想定できます。
例えば不動産を抱えていたけれども不要な物件を売却に回すことになったとしましょう。
不動産の売買契約は成約した、でも建物を解体して更地にして引き渡すことが条件という事例は結構見られます。
売却代金は建物を解体してからだった場合、まず自分たちで解体費用を捻出しなければなりません。
そこでつなぎ融資としてビジネスローンで借り入れたお金で、解体費用を賄います。
解体できれば、すでに売却先は決まっているので確実に入金されます。
短期間の借入になるでしょうから、高金利のビジネスローンでお金を借りても利息の支払いはそこまで大きくならないはずです。
業種の問題でビジネスローンしか利用できない場合も
業種によっては、ほかの方法で資金調達できないケースも出てきます。
具体的には貸金業者のような金融商品を取り扱っている法人やパチンコ店などの娯楽業、債権回収業、風俗業などです。
日本政策金融公庫のような公的融資の場合、これらの業種は実績や信用力関係なしで審査はクリアできないといわれています。
また銀行融資の場合、上で紹介した業種である理由だけで即審査落ちということはなさそうです。
しかし審査は格段に厳しくなるのは避けられないといわれています。
銀行融資で借入するのもかなり難しくなると思ったほうがいいです。
しかしビジネスローンの場合、業種によって審査難易度に差をつけるようなことはありません。
他の条件がローン会社の独自に設定している基準をクリアしていれば、借入できる可能性があります。
ビジネスローンは融資に関して融通の利くところがあります。
上で紹介した業種を経営していて、資金調達する必要があれば、ビジネスローンの利用を検討しましょう。
ビジネスローンと銀行融資の併用という活用法
ビジネスローンの活用法として、何もビジネスローン一本で借り入れないといけないルールはありません。
法人を見てみると、ビジネスローンと銀行融資の併用で必要な資金調達を行う活用法もよく使われています。
ここではビジネスローンと銀行融資を併用する活用法と実際に行うにあたっての注意点についてまとめました。
ビジネスローンの借入枠をあえて残す戦略
会社経営していると、毎月運転資金としてそれなりにまとまった金額を用意しなければならないでしょう。
この時にビジネスローンと銀行融資の両方を使って、必要な資金を確保する活用法があります。
例えば今月運転資金が100万円足りない、しかも来月になるとさらに300万円が必要だ、といったこともありうるでしょう。
そこでまず審査期間の短いビジネスローンで当面の100万円を借り入れます。
そのあとでまだ来月なら時間的な猶予があるので、300万円は低金利の銀行融資で借り入れる方法があります。
また当面の100万円をすぐに工面するために、ビジネスローンで100万円借り入れます。
そして銀行融資に申し込む際に2カ月分の400万円借り入れる方法もあります。
そして銀行融資の400万円の借入ができたところで、ビジネスローンの残債を一括返済してしまいます。
ビジネスローンよりも金利の低い銀行融資に借り換える方法です。
これなら高金利のビジネスローンの借入期間をかなり短くできるので、利息の支払い負担を最小限に抑制できます。
しかし逆の発想であえて銀行融資の審査が通っても、ビジネスローンの残高をあえて残すという活用法もあります。
ビジネスローンと銀行融資の両立によって、ビジネスローンの借入枠を確保できるからです。
もし銀行融資の借入額でビジネスローンを完済したとします。
するとそのビジネスローンは解約扱いになってしまい、また融資を受けたければ審査を申し込むところから始めないといけません。
ビジネスローンは審査がスピーディですが、申し込みの手続きを一から始めるとなるとなかなか面倒です。
もしあえて完済せずに借入枠を残していたらどうでしょう?
例えば借入期間中に急な発注などがあって、追加融資が必要になった場合でもビジネスローンの融資枠の空き部分を使えば、審査を受けることなく資金調達ができます。
このように各金融商品の特徴を把握して、特性をうまく利用する活用法もあることは頭に入れておきましょう。
お金をどう借りる、どう返済するのも経営戦略の一環であるという意識を持つことです。
ビジネスローンと銀行融資を併用する際の注意点
ビジネスローンと銀行融資を併用する活用法にはメリットがありますが、注意すべきポイントもあります。
特に注意しなければならないのは、先にどちらに申し込めばいいかです。
あとに申し込む方には先に借り入れている額を申告しなければならず、その分審査は厳しくなります。
ただし借入資金の用途がはっきりしていて必要な資金であると立証できる、返済計画に説得力があれば、たとえ先に借入があっても先方を納得させることはできます。
今回紹介した今月100万円、来月300万円の合計400万円の運転資金が必要だったケースで考えてみましょう。
100万円の後の300万円という金額に事業計画的に見ても合理性があると判断されれば、審査を通すことも十分可能です。
これはビジネスローンや銀行融資、それぞれ複数借り入れることになった場合でも同様です。
資金の使途や事業計画、返済計画をしっかり立てて、担当者を納得させられるような具体的な資料を作り込んでおきましょう。
ビジネスローンの活用法のまとめ
審査がスピーディで基準も甘め、でも金利は高めで返済負担が大きいビジネスローンの場合、短期の借入であればおすすめです。
売掛金が発生していて入金のめどが立っている、すでに申し込んでいる融資の結果が出るまでに資金ショートしそうといった場合の活用法として、ビジネスローンは適しています。
また業種によっては、日本政策金融公庫や銀行からの融資が受けられない、審査がかなり厳しめになるものもあります。
しかしビジネスローンであれば、フレキシブルに資金を貸し出してくれる場合もあるので申し込んでみる価値はあります。
また銀行融資はビジネスローンとは逆の特徴を持っています。
審査には時間がかかるものの、金利はかなり低く設定されているからです。
この両者のいいところを生かすために、ビジネスローンと併用するのも一つの方法なので必要に応じて試してみませんか?