不動産担保ローンのメリットについて解説します。無担保無利息で借りるローンや融資と比べて、所有している不動産を担保にして借りる場合は、メリットが大きいです。今回は不動産担保ローンのメリットについて解説し、その一方でデメリットがあること、活用事例や融資を受けるコツについても紹介していきます。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンとは、所有している不動産(土地、建物)を担保(デポジット)として拠出したうえで、資金を調達する方法です。無担保無保証の融資と比べて、信用力に担保となっている不動産の価値が加味されるため、大きな資金を低い利息で借りられるメリットがあるので、不動産を持っている場合は有効な資金調達方法です。

不動産担保ローンのメリット

不動産担保ローンのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?以下に記したものが挙げられます。

1.高い融資限度額が設定可能
2.担保があるので低金利が可能
3.長期の返済期間が設定できる
4.資金使途の自由度が高い

以上、4項目について詳しくみていきましょう。

1.高い融資限度額が設定可能

不動産担保ローンは、通常のローンと比べて高い融資限度額の設定が可能です。これは「不動産の価値」が信用力に上乗せされるので、融資をする金融機関側にとっても融資しやすい相手と判断して行えることだからです。

2.担保があるので低金利が可能

不動産という「担保」を前提とした金融商品が不動産担保ローンです。そのため無利息無担保の融資よりも低金利です。金融機関や個人の所有している不動産によっても違いがありますが、一般的に4から5%という低金利で融資が受けられるので、返済がとても楽です。

3.長期の返済期間が設定できる

不動産担保ローンは、ほかの融資と比べて長期の返済期間が設定できます。理由は担保として拠出している不動産があるからで、返済に時間がかかっても担保がある分、金融機関は返済に柔軟に対応してくれます。

4.資金使途の自由度が高い

多くの融資の場合は、住宅ローン、自動車ローン、学費ローンなど目的別のローンとしての融資となり、目的外に資金を流用することが禁じられています。しかし、不動産担保ローンの場合は高金利で低金額のカードローンのように資金使途の自由度が高い場合が多いです。背景に不動産を担保に出していることがあげられるので、どうしても目的にならないような資金が必要な時に大変有利です。

不動産担保ローンのデメリット

メリットが多い反面、やはり不動産担保ローンにもいくつかのデメリットがあります。

1.返済が滞ると担保の不動産が競売にかけられる恐れがある
2.融資実行までに時間がかかる場合がある
3.担保評価額が低い不動産は担保にできない可能性がある
4.手数料など諸費用がかかる

以下、上記4点について詳しくみていきましょう。

1.返済が滞ると担保の不動産が競売にかけられる恐れがある

不動産担保ローンで返済を続けている分には問題がありませんが、もし返済が遅れたり、滞ってしまうと、金融機関は担保としている不動産に手を付ける場合があります。「借金のカタに土地や家が取られる」という状況になってしまい、不動産を失うリスクがあります。使っていない土地や建物であればまだしも、もし住んでいる家を担保に拠出してしまった場合は、最悪家から追い出される恐れもあります。

2.融資実行までに時間がかかる場合がある

無担保無保証のカードローンやビジネスローンの場合、早ければ即日対応で融資をしてもらえる場合がありますが、不動産担保ローンの場合、即日対応は原則的にありません。理由として個人の信用力の審査に加えて、担保として拠出した不動産の価値を調査したうえで、融資の有無が決定されるからです。そのため、急ぎの資金調達に不動産担保ローンを利用するのは難しいと考えましょう。

3.担保評価額が低い不動産は担保にできない可能性がある

不動産担保ローン用に拠出した不動産次第では担保にならない場合があります。都会にあるような価値の高い不動産であれば問題ありません。しかし、例えば先祖から受け継いだ土地が、辺鄙な山の中にあるような場合、いくら土地があったとしてもその土地の評価額が低く出すぎてしまいます。そうなると担保として認められない可能性が出てきます。担保にならない不動産の場合は当然不動産担保ローンは利用できませんので、外に担保になりそうな不動産を用意しなければなりません。

4.手数料など諸費用がかかる

不動産担保ローンは他のローンにはあまりない「手数料」がかかる場合があります。主な項目は次の通りです。
・不動産調査費用
・印紙代
・登記費用
・事務手数料
・火災保険料

そして、手数料は融資金額の〇割と定められているので、金額によっては相当高い手数料が別途かかるリスクがあります。

不動産担保ローン利用の流れ

不動産担保ローン利用の流れについて確認しましょう。

1.相談・仮申込
2.仮審査
3.面談・本申込
4.不動産調査
5.本審査
6.契約
7.融資実行

順次詳しく解説します。

1.相談・仮申込

最初に、不動産担保ローンについて相談を行います。相談では借入の目的や希望額、所有している不動産などの情報を金融機関に相談します。相談の結果納得できるのであれば仮申し込みを行い、納得できなければ相談だけでやめることもできます。

2.仮審査

仮審査を行います。Webで申し込む場合は必要事項を記入した内容を基に仮審査を行い、審査が通れば次の段階に進みます。

3.面談・本申込

正式な申し込みの段階です。本人確認書類や不動産情報など必要な書類はこの段階で用意します。

4.不動産調査

金融機関は、担保として拠出を検討している不動産について調査します。ここで不動産が担保としての価値があるものかどうかが判断されます。

5.本審査

不動産調査や申込者の信用情報などを元に本審査が行われます。

6.契約

本審査が通れば、契約となります。

7.融資実行

契約が行われたのち、融資が実行され資金が手元に入ります。

不動産担保ローンの活用事例

不動産担保ローンの活用事例にはどのようなものがあるでしょうか?

1.開業資金として
2.運転資金、納税資金として
3.おまとめローンとして
4.相続にかかる費用の支払いとして
5.リフォーム資金として

よくある事例として5つを紹介しましょう。

1.開業資金として

店舗や企業を行う際には膨大な資金が必要です。公的機関などの融資を受ける方法がありますが、不動産があれば不動産担保ローンとして申し込みも可能です。

2.運転資金、納税資金として

すでに事業を行っている場合、運転資金が厳しいときや前年度の収益が高かったために払わなければならない納税の資金として使われる場合があります。無担保無保証のビジネスローンよりも金利が安いので不動産を持っていると大いに活用できます。

3.おまとめローンとして

複数の金融機関で負債がある場合、まとめて一括する際におまとめローンを利用する際、不動産担保ローンは非常に役立ちます。

4.相続にかかる費用の支払いとして

相続時には相続税や贈与税などがかかります。相続にかかる費用として不動産担保ローンを活用する場合があります。

5.リフォーム資金として

家をリフォームしたいときの資金として不動産担保ローンを利用する場合もあります。

不動産担保ローンを契約するためのコツ

不動産担保ローンを問題なく契約するためにはコツがあります。

1.お金を借りたい目的を明確にして相談する
2.現実的で無理のない返済計画を立てる
3.必要書類は期日に余裕をもって準備する
4.金融機関からの質問・説明には誠実に応答し、不明点は都度質問して解決する
5.申込みや契約の書類はしっかり読み、内容を理解した上で、記入・捺印する

上記、5項目のコツについて詳しくみていきましょう。

1.お金を借りたい目的を明確にして相談する

不動産担保ローンは、無担保無保証のローンなどと比べて資金調達しやすいですが、無目的での融資希望では金融機関の印象が悪くなるので、目的を明確にして相談した方が良いです。

2.現実的で無理のない返済計画を立てる

借りたお金は返さなくてはいけませんが、現実的ではないような返済計画を立ててしまうと、返済が滞ってしまい、最悪不動産を手放さざるをえません。少し返済期間がかかったとしても無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

3.必要書類は期日に余裕をもって準備する

期日に余裕をもって必要書類をそろえましょう。不動産担保ローンは不動産の調査など融資までの期間に時間がかかるので、スムーズに融資をしてもらうために事前準備は必須です。

4.金融機関からの質問・説明には誠実に応答し、不明点は都度質問して解決する

不動産があるからといって必ずしも融資が受けられるわけではありません。資金を融通してもらえる金融機関への説明や質問に対しては誠実に応答するようにしましょう。そして不明な点は積極的に質問し、後で間違いだったということにならないようにします。

5.申込みや契約の書類はしっかり読み、内容を理解した上で、記入・捺印する

申込時に契約の書類に記入・捺印を行いますが、内容を理解しないと後で手違いがあったとしても手遅れです。じっくりと内容を見たうえで間違いがないことを確認するようにしましょう。

まとめ

不動産担保ローンは、不動産の価値が信用度に加味されるので、無担保と比べて高い金額の融資が低金利で受けられるというメリットがあります。その反面融資速度に時間がかかったり、返済が滞ると不動産を手放すリスクもあります。不動産担保ローンをする目的もはっきりと決めたうえで、無理のない返済計画で利用するようにしましょう。