開業1年未満の融資はかなり難しいと言われています。実績がないが原因となって融資を受ける事が出来ても、高額な融資は難しいというのは想像に難くないでしょう。しかし、創業間もない時にはしっかりとしたサポートが必要な事も確かであり、近年では政府や地方自治体もこうした融資制度を積極的に推進してきているのです。ここでは開業1年未満の融資について解説していきましょう。

開業1年未満の融資はなぜ難しい?

開業1年未満の融資はなぜ難しいとされているのでしょうか。それは事業がうまくいかなければ返済が滞る可能性があるからです。創業から1年というのは事業がうまくいかなくなる時期であり、そのまま事業をやめてしまう起業家も多いと言われています。こうした事から開業1年未満の融資は敬遠される傾向にあります。
ここでは、開業1年未満の融資がなぜそれほど難しいと言われるのかを、紹介していきます。

元本の回収ができない事を恐れている

金融機関は元本の回収ができないという事を最も避けたい事態です。金融機関は慈善事業ではないので、しっかりと利益を出す必要があります。利益が出せない場合には、融資をした元本を回収するというのが最優先事項となっています。
そのためには返済能力があるかどうかが重要で、審査もこの返済能力に重点を置きます。この点を考えると、開業1年未満という事は返済能力を測りかねるために、融資は難しくなります。元本の回収ができるかどうかを判断できないと、高額の融資は望めません。

開業してすぐには事業が順調にいっているように見えても、1年後にはどうなっているかは予測がつかないのです。開業してから数年経っている場合と1年未満の場合では、金融機関に与える印象が全く違うという事は覚えておいた方がいいでしょう。

2年以上の実績を重視

銀行の融資よりも、より審査の緩いビジネスローンを利用する事業者もいます。しかし、そうしたビジネスローンでも原則2年以上の事業実績のあるという事が最低条件となっている場合が多いのです。開業1年未満だとこうした条件を満たしていないので、ビジネスローンに申し込むことができないという事になります。
また銀行や大手の消費者金融のビジネスローンでは、3年間分の確定申告書が必要としている場合もあります。

審査が緩いと言われているビジネスローンでも、直近2期分の決算書もしくは確定申告書で済む場合もありますが、開業1年未満であるとこうした書類を用意する事ができません。こうした事からビジネスローンなどであっても融資を受ける事が難しくなってしまいます。
こうした事からも開業1年未満だと融資が難しいのは創業2年というラインが大きな意味を持っているという事を知っておいた方がいいでしょう。

企業の実力が分からない

企業の実力が未知数だと、融資を受けられない場合があります。開業1年未満だと、事業がうまくいっているのか分からないというのが最大の問題点です。事業が軌道に乗っているかは、創業から数年経ってみて初めて分かる事です。そのため開業1年未満だと判断が難しく、融資を受けにくくなるというが現実です。

1年未満だと、何らかの説得材料がなければ、安定した融資を受ける事ができません。こうした事態を避けるために、事業計画書を提出したり、返済険悪書を提出したりとする事もありますが、何かと手間がかかってしまいます。担当者と密にコミュニケーションを取ったりする事で、多少改善されることはありますが、定量評価という面では開業1年未満だと不利に働いてしまう事は覚えておきましょう。

会社設立1年未満で銀行から融資を受ける方法

開業してから1年未満で銀行から融資を受ける方法はいくつか存在します。開業してから間もないと、融資が受けにくいという事態は生じますが、実はそうした状況が近年ではなくなりつつあります。そこで、ここでは会社設立1年未満で銀行から融資を受ける方法などを見ていきましょう。

創業後半年以内の場合

創業後半年以内の場合と創業後半年以上1年未満の場合では、融資に関する状況が大きく異なります。創業後半年以内の場合には、融資の際に大きな影響を与える事はありません。創業してから半年以内であれば、利益が上がっていなくても言い訳ができるからです。
例えば、「まだ準備段階で、利益を回収する時期ではない」や「いまは設備投資に費用が掛かっているだけで、生産ラインが稼働すれば利益が見込める」と言った言い訳をすれば、融資に影響する事は少なくなります。そのため、創業後半年以内であれば、創業時融資と同額程度の融資は見込めるという事になります。

創業後半年以上1年未満の場合

創業後半年以内の場合には、かなりシビアな交渉が必要になります。その段階で利益がないと、金融機関は「将来性なし」といった評価が下します。回収の見込みなしとなってしまうと、融資を受ける事は不可能です。
そのため、事業がうまくいきそうにない場合には、創業後半年以内に融資を申し込む必要があるのです。一般に開業1年未満の融資は厳しいというのは、厳密には「創業後半年以内で利益が上げられていない場合には融資は厳しい」という意味なのです。創業後半年以上1年未満の場合で利益がない場合には、実績がない創業間もない時期よりも審査への悪い影響が大きくなってしまいます。

創業間もないと融資が受けづらいという事は、周知の事実でしょう。しかし、開業から1年未満という条件の中であれば、開業間もない時の方が融資を受けやすいという事は覚えておいた方がいいでしょう。特に早期の利益が見込めない場合には、開業から半年以内で融資を受ける方が得策なのです。

創業後間もない事業者の融資には事業計画書が不可欠

利益が上がるまである程度時間がかかるという見込みならば、創業後間もない時期に融資を申し込む方が無難です。その場合には、事業者の融資には事業計画書が不可欠となっています。創業間もないと実績や収支などがないので、事業計画書で事業のビジョンを明確化する必要があるのです。自分自身で事業計画書を作る事が不安という場合には、専門家の手を借りるというのも一つの手段です。
事業計画書を作る上で相談する専門家とは、会計士や税理士、経営コンサルタント、弁護士、ファイナンシャルプランナーなど様々な専門が考えられます。自社の事業の内容や目的に沿った専門家に頼むと、スムーズに進むでしょう。1年未満だと金融機関に示せる実績がほとんどないので、事業計画書というのがかなり重要になってくるのです。

創業者融資とは?

ここでは、具体的な創業融資制度を紹介していきましょう。創業者は多くの制度を利用する事ができます。日本では多くの起業家をサポートする制度があり、それをしっかりと利用すると安定した経営をすることもできるでしょう。
特に、銀行や信用金庫などの創業者融資ではなく、公的な金融機関である「日本政策金融公庫」や地方自治体などが準備している創業者融資制度は有用です。こうした機関が準備している融資制度は低金利で長期の融資をしてくれるために、手厚いサポートを受ける事ができます。開業1年未満の事業者は、こうした融資制度を利用すると資金調達に困る事も少なくなるでしょう。

日本政策金融公庫の創業者融資

公的な金融機関である日本政策金融公庫の創業者融資は、創業者をサポートする制度があります。日本政策金融公庫は無担保・無保証での融資もあるために、実績がない場合でも融資を受ける事ができます。
さらに、長期の返済期間を設定する事ができ、利益が上がるまで月々の返済額が少なくて済みます。特に大きなメリットと言えるのは、審査が柔軟である事です。創業間もない場合には、事業の内容なども説明しにくい場合があります。そんな場合にもきちんとした審査を受ける事ができます。

デメリットは公的な金融機関であるために、税金の滞納などに厳しい対応をしているという事です。政府系の金融機関という事で、こうした点が厳しくなってしまうのは仕方ないことです。審査も長期になる事があり、柔軟な審査ですが、チェックポイントも多い事がデメリットになる場合があります。しかし、こうしたハードルを乗り越える事が出来れば、長期の融資と低金利という点で開業1年未満でも借りやすい資金調達先です。

地方自治体の創業者融資

地方自治体の創業者融資は、創業者にとっては心強い味方と言えます。近年、地方自治体では地元での創業を支援する動きが活発化しています。自治体が銀行や信用金庫と連携する事もあり、地元の企業であれば条件の優遇などを受けられます。
注意すべき点は、各自治体が独自の融資制度を作っている事でしょう。自治体ごとに条件や融資額などが異なってしまうため、申し込みの際には情報収集は欠かせません。メリットは金利などの点で優遇を受けられる事や長期間のサポートを受けられるという点です。

デメリットとしては、地域によっては限定的な融資になってしまう事や融資額が小規模になってしまう事です。地方自治体も公的な機関なので、税金の対応や返済の遅延などには厳しい対応を取っています。地域活性化は重要な課題なので、融資を相談すれば丁寧な対応をしてくれるはずです。地方自治体の融資制度というのは見逃されがちですが、条件さえ合えば、かなり有用な資金調達法となりえます。

銀行による創業者融資

銀行による創業者融資は、民間の銀行や信用金庫が準備している制度融資です。開業1年未満だと、保証人をつける事を求められるでしょう。その場合には、信用保証協会の保証が必須条件になっている事も多く、信用状況によって金利なども変ります。
創業者融資の審査はかなり厳格に行われますが、定量評価よりも定性評価を優先させると言われています。

メリットとしては融資額が大きい傾向がある事と取引実績を詰める事です。実績が増えていけば、追加融資も可能でので、しっかりとした融資を受けたいのならば、銀行の融資が最も有効です。デメリットは審査が厳しい事や担保が必要な事、金利が高く設定される場合があるという事です。事業拡大の見込みがあるのならば、思い切って銀行の融資を申し込んでみるという事も一つの手段でしょう。

開業1年未満の融資のまとめ

開業1年未満の融資は、難しい面もあると言わざるを得ません。経営の実績がない状態では金融機関としても、どんな評価を下すかに苦慮してしまうからです。しかし、絶対に無理かというとそうではありません。創業者への融資制度を利用するというのも一つの手でしょう。
さらに、事業計画書などを使用して、審査を有利に進める事も有効です。この記事で紹介した開業1年未満の融資に関する情報を参考にして、資金調達をご検討ください。