企業ローンは法人や個人事業者が借り入れるローンの事で、ビジネスローンが最も知られている金融商品でしょう。企業ローンは必ずしもビジネスローンを指す言葉ではなく、法人や個人事業者が使っていれば「企業ローン」と定義されます。それぞれで金利が違う事もあるので、企業ローンの金利を解説していきましょう。
目次
企業ローンの金利とは?
ローンを組む上で重要なのは「金利」です。金利は元本に対してつく利息で、金利が高いと総返済額も高くなってしまいます。金利が低いのは銀行の融資などの場合であり、消費者金融などのノンバンクの金融機関では金利が高い傾向にあります。金利は短期間の融資ではそれほどの負担になりませんが、企業ローンなどの長期の借り入れではかなりの負担になってしまう事も少なくありません。
一般的に、企業ローンとして考えられるのは以下の融資制度です。
日本政策金融公庫
銀行融資
カードローン
売掛債権担保融資
不動産担保融資
プロパー融資
ここからは、これらの融資の金利について解説していきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は公的な金融機関であり、中小企業にとっては心強い味方となっています。金利の相場は1%台から5%台と低金利であり、審査も比較的緩いために実績作りとして日本政策金融公庫で最初にローンを組むという企業も多くあります。
ゆくゆくは銀行で多額の融資を受ける事を目標にして、日本政策金融公庫で低金利の企業ローンを組む企業も少なくありません。日本政策金融公庫では様々な制度融資があり、対象となった企業は融資を受ける事ができます。その制度融資の種類は多岐にわたるので、例として「新創業融資制度」を見ていきましょう。
これは新たに事業をする起業家のための企業ローンであり、無担保で保証人なしの制度融資です。借入額は3000万円で、金利は1.00%から3.5%とかなり低い設定である事が分かります。起業したばかりのころは信用度も低いために、銀行の融資では少額の借り入れになってしまったり、高金利での契約になったりという事も少なくありません。そのため、「新創業融資制度」の低金利は非常に有益な資金調達法となります。これ以外にも様々な制度融資があり、対象となっている場合には利用を検討してもいいでしょう。
銀行融資
企業用のローンとして最も使用されているのは、銀行からの融資でしょう。その金利は0%台の金利から、13%の金利まで幅広く設定されます。一般的には、銀行の融資は低金利で高額な融資が受けられるため、企業の事業用ローンとしては第一候補に挙がるでしょう。銀行の融資であれば数千万円単位の融資も可能であり、長期の借り入れも十分に考えられます。
そのため、金利が0%台である場合と10%台である場合とでは、総返済額に大きな差が出てきてしまいます。借入先を検討する時は返済時の負担を考えると、金利は重要なファクターです。
しかし、銀行の融資であれば、融資担当者としっかりと話し合えるという事も利点と言えます。仮に実績が少ない会社でも融資担当者の定性評価が高ければ、低金利の融資も可能になるために、しっかりと熱意を伝える事も大事です。銀行の融資を受けるためには信用や過去の支払い実績も重要なので、カードローンや担保融資などで実績を作るというステップを踏む場合もあります。いずれにしても低金利で契約するためには、しっかりとした準備が必要です。
カードローン
カードローンの金利は、銀行系では15%、ノンバンク系では18%までが限度となっています。各銀行や各会社によって違いますが、一般的にはカードローンの金利は比較的高いとされています。しかし、ATMで短期間にキャッシングを繰り返す事ができるため、利便性が高いローンと言えるでしょう。ネット銀行などでは低い金利が用意されていて、最低金利1.9%という金利であったり、3%であったりと、かなり低い金利を実現しています。
逆にノンバンク系は高くなる傾向があり、貸金業法で認められている最高の金利である18%と設定されることも少なくありません。いずれにしても低額の融資金となるので、企業ローンとしてはそれほど有用とは言えません。
売掛債権担保融資
売掛債権担保融資は、売掛債権さえあれば融資が受けられるので企業にとっては非常に有益です。銀行系とノンバンク系で金利差が大きく違い、ノンバンク系であれば5.00%~15%ほどの金利が設定されています。これほどの開きがあるのは、売掛債権の価値を算出した時の、評価が反映されているからです。
売掛債権の信用性が高かったり、額が大きかったりすれば金利は低くなります。銀行系の売掛債権担保融資でローンを組んだ場合には、ある銀行では年2.75%という低金利を設定している所もあります。売掛債権は多くの企業が保有しているために、この資金調達法は非常に有益といえるでしょう。
不動産担保融資
不動産担保融資は、不動産の担保さえ用意できれば、かなりの高額融資が期待できます。不動産は担保としての価値が高いために、不動産担保融資は金利が低い傾向にあるのです。銀行によって金利は違いますが、0%台の金利から10%台の金利まで幅広く設定されています。
これほどの開きがある理由は、不動産の価値によって金利が大きく変わるからです。一般的には法人が用意できる不動産というのは、土地が広かったり、立地が良かったりと価値が高い場合も多いために、低い金利で契約できる可能性も高いとされています。
億単位の融資と長期の借入期間があるために、低い金利でも総返済額が大きくなってしまうという点は留意しなければなりません。さらに返済不可能となれば、担保として不動産を失ってしまうというリスクもしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
プロパー融資
プロパー金融とは、銀行が直接企業に融資するタイプの資金調達法です。銀行側は保証人を借り入れ主に求めない代わりに、返済不能になった時は銀行側が損をすることになります。そのため、審査が厳格になる事も少なくありません。
プロパー融資が認められた段階で信用度の高い企業であると判断されているので、金利に関しては低金利となっています。一般的には、プロパー融資の金利は1~3%程度であり、総返済額を考えるとかなり有用な資金調達法と言えます。
企業ローンの気を付けるべきポイント
企業ローンの気を付けるべきポイントはいくつかあります。企業ローンは事業用に借り入れるローンであり、様々な条件を吟味してローンを選定する必要があります。その際に、気を付けるべきポイントは以下のものがあります。
目的と用途
金利と返済期間
保証・担保の有無
審査基準
返済計画の策定
目的と用途
企業ローンの目的は借り入れる上でも重要です。その用途は幅広く事業に運転資金や設備投資、事業拡大などです。ローンの目的によって金利や借り入れる条件が変わってくることもあるので、しっかりと理解しておくことが必要でしょう。
金利と返済期間
先述した通り、金利は非常に重要です。先述しなかった金利に関する事柄で言えば、「固定金利」と「変動金利」の2種類がある事です。「固定金利」は景気の動向に左右されないというメリットがあります。「変動金利」はマーケットの値動き次第で得をする可能性もありますが、逆に負担が大きくなる可能性もあるので吟味することが必要でしょう。返済期間によって総返済額に影響が出てしまうので、返済期間にも注意が必要です。
保証・担保の有無
企業ローンの中には、保証人や担保が必要となる物も多いです。金融機関側にとっても企業の事業用ローンというのは高額で、長期間の融資になるために慎重な姿勢で臨んでいます。そのため、保証人や担保があった方が安心という面はあります。その一方で、無担保で保証人なしというローンもあり、借り入れの際にはしっかりと条件を確認しておくといいでしょう。
審査基準
審査基準を知っておくと、スムーズに借り入れができる場合があります。金融機関ごとに審査基準は違い、そのローンの特性によって審査で重視されるポイントも変わってきます。企業ローンでは企業の財務状況、事業計画、返済能力、信用力などの項目が重視され、それらのポイントが重点を置いて審査されています。そのために必要な書類もあり、準備が煩雑になる事も覚悟しておかなければなりません。
返済計画の策定
借入額と返済期間をしっかりと把握する事はローンを完済する上で重要です。返済計画をあらかじめしっかりと立てておくことで、不安なくローンを契約する事ができます。企業のローンは、一度返済が滞ってしまうと企業そのものの信用が下がってしまいます。無理のない返済計画を立てる事で、返済の負担を最小限に抑えて、返済実績を使用する事ができます。
ここで紹介したポイントとはあくまでも一部ですが、ローンを組む上でもしっかりと準備した方がいいポイントです。企業ローンは融資担当者との関わり合いも大切なので、金融関係者や専門家にも相談して契約すると不安なく資金調達ができます。
企業ローンの金利のまとめ
企業ローンの金利は借り入れをする時に、しっかりと確認したうえで借り入れ先を決めることが重要です。企業は高額の融資額になる事も多く、長期の借り入れになる可能性も高いです。そうなると金利が負担になってしまうので、事前に金利については担当者に確認するか、自分で調べるかをした方がいいでしょう。
今回紹介した企業ローンの金利についてもしっかりと確認したうえで、企業ローンをご検討ください。