銀行の融資は会社を経営している時には、非常によく使われる資金調達法です。しかし、銀行融資は月々の返済がネックになってくることがあり、時には返済ができないという状況に陥ってしまう事もあります。そんなときにどんな事が起こってしまうのかやどのような対応があるのかなど、様々な事を解説していきましょう。
目次
銀行融資が返済できないとどうなる?
銀行の融資を返済できないという状況は、何としてでも避けたいところです。しかし、返済できない事態になった時には、どんな事が起こるかも知っておいた方がいいでしょう。こうした事を知っておくことで、もし返済できない状況になった時にも、冷静に対応する事ができます。銀行融資が返済できない時に起こりうる事を以下にまとめます。
・支払督促
・遅延損害金の発生
・保証会社からの請求
・債権回収会社からの連絡
・担保の回収
・連帯保証人への返済催促
・事業の継続不能
ここでは、起こりうることを一つ一つ解説していきましょう。
支払督促
まず、最初に支払督促を受けるという事態になります。この方法は様々ですが、電話や書面などによって早く返済するように催促されます。基本的にはこの支払催促は法的には強制力がありません。これを無視すると、遅延損害金は膨らんでいき、信用情報にも傷がつく事になります。
遅延損害金の発生
遅延損害金は返済が遅れると発生し、あらかじめ書面などで知らされています。それぞれの金融機関にもよりますが、年利14~20%までの間で決められています。返済額とは別で支払う事になり、ただでさえ返済できないほどの経済状態だとすれば、この遅延損害金は重くのしかかってきます。
保証会社からの請求
新たな債権者となった保証会社がコンタクトを取ってくるパターンも想定されます。信用保証協会という保証人を代行してくれる会社に依頼していた場合には、信用保証協会が決められた手順に従って銀行に代位弁済を済ませます。その後は銀行とではなく、信用保証協会との話し合いで、信用保証協会側に返済していく事になるのです。この返済額は銀行ほど厳しいモノではなく、無理のない範囲で月々の返済額が決められます。借入金の完済を目指すために、話し合いを複数回行う事も少なくありません。
債権回収会社からの連絡
融資金の回収ができない場合には、債権回収会社がコンタクトを取ってくる場合があります。債権回収会社とは、法務大臣が営業許可を与えている債権回収業務専門の業者を指す言葉です。債権回収会社は法的にも決められた手順通りに回収作業を行います。支払いを拒否した場合には、法的な措置も厭わないために、債権回収会社からの連絡が来た場合には、かなりの危機感を持つ必要があるでしょう。
担保の回収
融資を受ける際に担保を入れている場合には、抵当権が実行されてしまいます。不動産や債券などを担保に入れていると、それを失う事になります。無担保での融資の場合でも、滞納から90日前後とされていて、裁判所から一括の返済を催促する通告が届きます。それを無視した場合には、差し押さえの手続きに移るというのが通常の流れです。
連帯保証人への返済催促
連帯保証人に請求が行く事も少なくありません。ただの保証人ではなく、連帯保証人であると債権者と同様の責任を負わされます。一般的には、滞納期間が60日を超えると連帯保証人へ連絡が入ります。その後、滞納が90日を超えると、連帯保証人に一括での返済の催促が通告されるという事態に陥ってしまいます。家族や友人などを連帯保証人に立てている場合には、関係性にも影響を与えてしまう可能性が高まります。
事業の継続不能
銀行融資が返済できないという状況になると、事業が継続できなくなってしまうという事態も十分にあり得ます。銀行側からの借り入れによって運転資金や設備資金を借りており、それが返済できないという事になると資金繰りが厳しくなります。その場合、破産手続や特別清算手続などにつながる恐れもあり、事業継続が不可能になってしまいます。返済できないほどの経営状態の悪化という事態は、倒産という可能性もあるという事は頭に入れておく必要があるでしょう。
銀行融資が返済できない時の原因
銀行の融資は高額な事もあり、返済期間が数年間に渡る事も少なくありません。借り入れの当初は順調に返済できても、何らかの原因で返済が滞ってしまう場合もあるのです。その原因として考えられるのは、以下のモノがよく挙げられます。
・どんぶり勘定による経営
・市場・経済状況の変化
・事業の失敗
・取引先の倒産
・自転車操業・多重債務
どんぶり勘定による経営
どんぶり勘定で経営を進めていると、返済できないという状況になってしまう可能性があります。仕入れや在庫の管理、売掛金の現金化のタイミングなどを正確に把握しておく必要があります。こうした事をいい加減に管理していると、月々の返済がおろそかになり、返済ができないという状況に陥る事があるのです。
市場・経済状況の変化
銀行の融資は場合によっては10年単位の返済期間があります。そのため、市場や経済状況が変化してしまい、返済が滞ってしまう場合も多いのです。例えば、急激な円安によって、必要以上の経費が掛かってしまうなど、外部の状況が経営に影響を与えてしまう事は頭に入れておく必要があるでしょう。
事業の失敗
事業の失敗は銀行融資が返済できない状況になる最も多い理由でしょう。事業者にとっては事業がうまくいかなくなるというリスクは、常に付きまといます。銀行側も融資の前に事業にリスクがないかを審査していますが、予想外の事業の失敗は起こりうるものです。事業の失敗の可能性は想定することが難しく、結果的に銀行融資が返済できないという状況を生み出してしまいます。
取引先の倒産
自社の事業が失敗していなくても、取引先が倒産してしまうと入ってくるはずの収入が突如としてなくなってしまう事があります。こうなると請求済の売掛金が回収できなくなり、事業は上手くいっていたはずなのに資金不足に陥るというケースは実はよくある事なのです。売掛債権が不良債権化してしまう事は何としても避けたい事態ですが、取引先の突然の倒産だと想定できないこともあります。定期的な与信管理などが必要であり、銀行の融資分だけは返済できるように資産を保有しておくことが重要です。
自転車操業・多重債務
自転車操業や多重債務は、銀行融資を返済できない大きな要因です。自転車操業は一歩タイミングを間違えると、あっという間に財務が悪化してしまう危険性のある状態です。売掛金の割引などを繰り返し、資金を手に入れたら運転資金に回すという事を繰り返していると、返済が遅延してしまうリスクが大きくなってしまいます。
多重債務というのは、銀行の融資にとっては最も危険な行為と言えるでしょう。既に借りている借金返済のために、別の金融業者から新たに融資を受けて返すという多重債務は銀行側からしてもリスクがあると考えられています。利息の支払いが多くなれば、借金総額が雪だるま式に増えてしまうという事態も想定されます。多重債務に陥ると、最悪では自己破産という事態まで悪化する事もあるため、この状態になる前に何らかの対策が必要です。
銀行融資が返済できない時の対処法
銀行の融資が返済できないという状況になってしまった時には、一体どうしたらいいのでしょう。実は銀行融資が返済できなくなった時には、様々な対処法が存在しています。銀行からの借り入れをする前に、こうした事を知っておくと、いざという時に焦る事なく対応できます。銀行融資が返済できない時の対処法には、以下のモノがあります。
・リスケの要請
・追加融資の相談
・他社からの借り換え
・キャッシング
リスケジューリングの要請
リスケジューリングは、返済期限や月々の返済金額などを変更する事を意味します。例えば返済期限を延ばして、資金が手に入るまで待ってくれる事もあります。さらに、月々の返済額を小さくすることで、返済遅延をなくすという提案をされることもあります。個人単位の債務整理という認識をしていれば、理解しやすいでしょう。
追加融資の相談
追加融資の相談も有効な解決方法です。リスケジューリングに応じてもらえなくとも、追加融資に応じてくれる銀行も少なくありません。銀行側にとっては融資した資本を回収できないという事態が最も避けたい状況です。返済計画に大きな支障がなければ、追加融資をして返済を続けてもらうという事を銀行側は優先するでしょう。
事業悪化の原因が回復の見込みがあるという場合や売掛債権の現金化まで待てば返済の見込みがあるという場合などは、追加融資には応じてくれる可能性が高まります。
他社からの借り換え
他社への借り換えは最も現実的な方法です。この方法は他の銀行から債務額を全額借り入れて、融資先に一括で返済する方法です。そして、借り入れた銀行で、現在の財務状況に合った返済計画を立てて、返済していくという流れになります。借り入れる銀行側も融資の審査さえ通れば、スムーズに借り換えを進めてくれる傾向にあります。
キャッシング
キャッシングは他の金融機関からキャッシングして返済金を用意する方法です。例えば、月々の返済の目途が立たず、20万円足りないとします。それを消費者金融会社から20万円キャッシングして、返済額に当てるという事になります。これはかなりイレギュラーな方法で、最後の手段として使用するような方法です。キャッシングは手数料も高く、消費者金融への返済に苦しむ事になってはいけません。この方法はあくまでも最終手段として考えておくといいでしょう。
銀行融資が返済できない時のまとめ
銀行融資が返済できない時には、焦りが出てしまうモノです。しかし、その対処法を知っておくと、ペナルティーなどを受けずに乗り切れることもあるのです。銀行の融資を受ける時には、しっかりと情報を集めてから借り入れると安心でしょう。
この記事で紹介した銀行融資が返済できない時の情報を参考にして、銀行の融資を検討してみてください。