ビジネスローンを知るには貸金業法を知る必要がある ビジネスローンは貸金業法と密接に緩解していて、有効に事業資金調達するためには、貸金業法の基本からポイント、注意点などを押さえておくことが大事です。 そこでこの記事では、貸金業法の内容についてビジネスローンと関連付けながらわかりやすく解説していきます。

貸金業法とビジネスローン~貸金業法とは?

借り過ぎ、貸し過ぎを防ぐために定められたのが「貸金業法」です。起源は「貸金業の規制等に関する法律」(1983年5月施行)で、その後の改正を経て2007年12月「貸金業法」として施行されました。 貸金業法が作られたのは。1980年代後半から問題化していた「多重債務者」の増加が大きな要因のひとつです。貸金業法が制定される以前は、個人の借入金額には制限がなく、複数の借入を利用すれば多額の融資を受けることも可能だったのです。そのため借り過ぎが増え、貸金業者や金融機関もルールがないので貸すことができる人にはどんどん融資をして、最終的に返済できなくなるといった図式が多く発生していたのです。 そのため、こうした問題に対処するために制定されたのが貸金業法で、貸金業者を規制しています。

貸金業者とは?

「貸金業者」とは、個人や法人への融資(お金を貸付けること)を業務として取り扱っている事業者の総称です。財務局あるいは各都道府県知事によって認可された「登録業者」のことを指します。具体的な業態として「消費者金融」「事業資金業者(事業資金融資に特化している貸金業者)」「信販会社」「クレジットカード会社」などが貸金業者に当てはまります。いっぽう銀行や信用金庫などでもビジネスローンや事業資金融資、そしてビジネスローンなどの融資を取り扱っていますが、銀行や信用金庫は金融機関であり、貸金業者ではないので、貸金業法の規制対象ではありません。その代わりに、銀行なら「銀行法」信用金庫は「信用金庫法」あるいは、金融商品販売に対し「金融商品取引法」などで規制されています。

貸金業法のポイントは「上限金利」と「総量規制」

貸金業法には2つのポイントがあります。 <貸金業法のポイント> 上限金利の明確化 総量規制 まず上限金利の明確化について解説します。 ビジネスローンやカードローンなどの融資には金利が付きますが、これは何%でも良いわけではなく、法律で限界が決められていて、それが「上限金利」と呼ばれるものです。 これまでの過去、法律上の上限金利は以下のようになっていました。 <上限金利・法改正前> 「利息制限法」の上限金利:年15%~20%(*) 「出資法」の上限金利:年29.2% 過去、貸金業者においては「利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間の金利」でも法律解釈では有効とされていました。これが俗にいう「グレーゾーン金利」で、長いあいだ問題視されてきたのです。そのため、こうした「法の隙間」から生じる金利負担の問題を解消するため出資法が改正されたことにより、平成22年以降は上限金利が年15~年20%のあいだ(*)となり、グレーゾーン金利は消滅しました。また利息制限法の上限金利を超える貸付を行なっても民事上は無効され行政処分の対象ともなります。こうして出資法の上限金利を超えた金利で貸付けをした場合には、その事業者は刑事罰の対象となります。 ここまで上限金利について解説しましたが、貸金業法におけるもう一つの大きなポイントである総量規制はビジネスローンとも密接に関係しているので、次項で詳しく解説します。 (*)現在、一般的に貸金業者で上限金利と定義されるものは、その借入残高:「借入元本」と表現しますが、この元本によって以下のように細かく分かれています。 元本が10万円未満:上限金利は年20%まで 元本が10万円以上100万円未満:上限金利は年18%まで 元本が100万円以上:上限金利は年15%まで

貸金業法とビジネスローン~総量規制

貸金業法における総量規制は、ビジネスローンの商品性や融資条件を定める根拠法ともいえるものです。

総量規制とは?

「総量規制」とは、個人の借り過ぎを防ぐため、貸金業法で定められた借入の総額に対する規制です。これは、お金を借りる人の収入や他に返済している借入の状況、そして今回申込む借入の資金使途などから、その人が返済期間のなかで完済することが見込めない貸付けを「個人の返済能力を超える貸付け」と定義して、貸金業法ではこの「個人の返済能力を超える貸付」が禁止されているというものです。

総量規制の対象となる借入

総量規制の対象になる借入は以下の通りです。  <総量規制の対象になる借入> 貸金業者からの借入 総量規制の対象になるのは貸金業者からの借入 金融機関からの借入は対象外(金融機関は貸金業者ではない・前出) クレジットのショッピングは対象外(後払い:割賦販売であって、融資ではない) キャッシングは総量規制の対象 クレジットカードのショッピングは対象外(割賦販売・上述)だが、クレジットカードに付帯されているキャッシング(クレジットカードの「カードローン機能」も含む)は総量規制の対象になる 法人の借入は対象外 法人は個人ではないため、総量規制が適用されない ただし、融資をいくらまで借入できるか?については個人でも法人でも収入や決算内容など個別の審査によるもので、個人と法人に優劣はない また上限金利やその他貸し付け条件などでも、法人が優遇されているわけではない 担保・保証人の有無にかかわらず対象になる 担保の有無や保証人がいる・いないなどの点は総量規制とは無関係 個人事業主の借入は総量規制の対象だが、一部対象外となる場合も 会社員などサラリーマンだけでなく、個人事業者も個人に含まれる。したがって個人事業主が貸金業者から借入する場合には原則として総量規制の対象となる ただし個人事業主の借入の中には、総量規制の対象外になる場合もある 上記した、個人事業主の借入以外にも総量規制の対象外となる借入がありますので、次項で詳しく解説します。

総量規制の対象外①「除外貸付」

以下の借入は総量規制の趣旨になじまないという観点から「総量規制の除外貸付」と呼ばれ、総量規制の対象とはならず、年収の3分の1を超えても原則として利用が可能です。  <総量規制の「除外貸付」> 資金使途の種類より 住宅ローン マイカーローン 担保の種類より 有価証券を担保にした借入 不動産を担保にした借入(いわゆる「不動産担保ローン」のこと) ただし個人の自宅を担保にすると総量規制の対象になる場合がある その他特殊なケース 売却予定の不動産売却代金で返済するといった約束の借入や、高額の医療費などを借りるなど特殊事情として認められた場合

総量規制の対象外②「例外貸付」

除外貸付と似た表現で紛らわしいのですが「例外貸付」というものもあります。こちらは法律的な表現をすれば「顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け」となります。要は、一般的な融資ではなく特別に対応する場合の借入といったイメージです。 除外貸付にもいくつか種類があるのですが、その中でも代表的なのが「既往債務の一本化」と「個人事業主の借入で特別に認められたもの」の2つになります。 まず「既往債務の一本化」とは複数の借入をして返済が苦しくなったので、返済中の借入(これを「既往債務」と呼びます)を一般にまとめ、場合によっては可能な限り返済期間を長く伸ばすことで、返済を続けていける金額にするものです。これはいわゆる「おまとめローン」と性質が似ていますが、総量規制の除外貸付になる既往債務の一本化は、貸金業者でも専用の融資として特別に対応するもので、おまとめローンとは一線を画しています。 通常「おまとめローン」は貸金業者である消費者金融大手や銀行でもカードローンなどと並列し融資商品のラインナップといった位置づけになっています。しかし総量規制の除外貸付となる場合は、個別に貸金業者へ相談して承諾を得た場合にのみ対応してもらえるといった特例扱いなので、おまとめローンとは違う点に注意してください。 次に「個人事業主の借入で特別に認められたもの」について説明します。 まず大原則として、個人事業主も個人であることに違いはないので、貸金業者からの借入は事業資金融資でも、あるいはカードローンでも原則としてすべて総量規制の対象になってしまいます。そのため個人事業主が年収(*個人事業主の年収とはサラリーマンの給料と違い、最終的に手元に残る利益(所得)になり、売上ではない点に注意が必要です)の3分の1を超えるとしても事業資金でどうしてもお金が必要な場合、貸金業者に相談して、将来に向けた「事業計画」などをしっかり作ってある場合などは、特例的に総量規制の例外貸付として借入できる場合もあります。

ビジネスローンと総量規制

ここまで貸金業法と総量規制を中心に説明を進めてきましたが、ではビジネスローンと総量規制はどういった関係にあるのでしょうか? まず、消費者金融など貸金業者のビジネスローンは、個人事業主が借入すると総量規制の対象になります。これは、個人でビジネスローンを借りるのは悪いこと、という意味ではなく、あくまで総量規制の対象になる点を忘れないようにしなければいけない、といったニュアンスになります。 またビジネスローンの金利も貸金業法の上限金利に即したものとなっています。 貸金業法による現行の上限金利をもう一度解説すると以下の通りです。   <上限金利> 元本が10万円未満:上限金利は年20%まで 元本が10万円以上100万円未満:上限金利は年18%まで 元本が100万円以上:上限金利は年15%まで これを踏まえて、消費者金融やビジネスローン専門業者の金利を見てみましょう。 <ビジネスローンの金利と借入限度額> 消費者金融大手A・借入金利年12~年18%・借入限度額1万円~300万円 消費者金融大手B・借入金利年3~年18%・借入限度額1万円~1千万円 ビジネスローン専門業者C・借入金利年7~年18% 【参考】 銀行D・借入金利年0.9~15%・借入限度額10万円~1千500万円 ぱっと見ではわかりにくいかも知れませんが、並べてみると 「借入金利の上限は18%になっている」 「借入金利と借入限度額には、どの貸金業者も一定の幅がある」 ことがわかります。つまり、ビジネスローンも貸金業法や利息制限法の対象になるため、上限金利が借入限度に応じて細かく決められているわけです。そのため実際に申込みして審査に通り、借入限度と金利が貸金業者によって決定される場合も、総量規制に「引っかからない金利」になるはずです。 (例) ①借入限度10万円・借入金利18.0%<年18.0%:元本10万円以上100万円未満の上限金利 ②借入限度500万円・借入金利15.0%<年15.0%:元本100万円以上の上限金利 また参考として銀行ビジネスローンも比較対象に加えましたが、貸金業者である消費者金融の内容と、それほどかけ離れていないことがわかります。銀行は金融機関であって貸金業者ではないので、そもそも貸金業法の規制対象ではないのですが、そのいっぽう利息制限法では金融機関も貸金業者も区別なく規制されるので、結果としては消費者金融などと似通った内容になるのです。

貸金業法とビジネスローン~悪質な業者の見分け方

続いて、悪質な業者の見分け方と題して説明します。そもそも貸金業者は「財務局あるいは各都道府県知事によって認可された登録業者のこと(前出)」なのですが、こうした正規の貸金業者以外に、認可を受けていない業者も存在していることは、皆さんもご存じだと思います。個人や会社にお金を貸すには認可を受けなければいけないというルールを守っていないわけなので、そういった無許可の業者(「闇金」「街金」など)はすべて悪質と断言してもいいでしょう。あるいは「すべて悪質」が言い過ぎだとするなら「すべて違法」と表現できると思います。 そこで、こうした悪質・違法な業者に当たらないための見分け方を紹介します。

「登録番号」が不明

説明した通り、認可を受けている正規の貸金業者はそれぞれ「登録番号」「日本貸金業協会会員番号」を保持しています。正規業者であれば公式HPにおいて「登録番号: 〇〇財務局長第・・・・・号 日本貸金業協会会員 第・・・・・・号」など記載されているはずです。 「登録番号」とは財務局長や都道府県知事に認可を受けたことを示すもので、いっぽうの「日本貸金業協会会員番号」は文字通り、日本貸金業協会(全国規模の貸金業者の団体で公的にも認められている業界団体)の協会員であることを表します。貸金業者は財務局長などの登録が義務であるのと同様、貸金業界に加盟していなければ正規の営業はできません。したがってこれらの登録内容不明な業者は、悪質業者・違法な業者である可能性が高いと考えられます。 正規な貸金業者か?違法な悪質業者なのか?は金融庁のサイトから正規の貸金業者を検索することでわかります。また日本貸金業協会のホームページでは悪質な業者の検索も可能で、こちらは登録番号(ウソの番号をかたっていたとしても、番号検索で正規業者かわかる)や業者名の一部などから、過去に悪質な業者として登録された記録があるか確認できます。 ちなみに正規業者の数ですが、全国の財務局長登録業者が200以上で、これに都道府県知事登録業者を加えると膨大な数になります。しかしそのいっぽう、地域を絞って考えると、たとえば北海道の正規な貸金業者は38社(うち財務局長登録5・北海道知事登録33・筆者調べ)なので、地域によっては悪質業者かどうか?チェックしやすい可能性もあります。 インターネットの普及により、上記したように正規業者の検索や悪質業者のチェックもしやすくなった半面、悪質な業者もネット上で「暗躍」しているのも現実です。 悪質な業者はネット検索で誘導するためのキーワードやホームページのタイトル、宣伝文句が大げさ、怪しいという特徴があります。 たとえば 「ビジネスローン 審査なし」「ビジネスローン 激甘審査」 などといったキーワードがあるようでしたら注意が必要です。ビジネスローンは審査が柔軟で融資までの時間もスピーディーなどの手軽さ、便利さはあっても審査無しのビジネスローンなどは存在しませんので、こういった宣伝文句は注意しなければいけません。 また悪質業者の一種として、最近では「個人間融資」というものも問題になっています。こちらはインターネットの掲示板形式など、一見するとふつうのコミュニティサイトのようで、その実態は個人が個人にお金を貸し付けるサイトになっています。もちろんそれらの「個人」と称する相手は言うまでもなく悪質で、法外な金利(金利についてはのちほど詳しく解説します)で貸し付けたり、返済が遅れると強硬な取り立てをされたり、最悪の場合は返済金を作るためと言った名目で違法行為、犯罪行為を強要されたりなど大きな問題になっているのです。 ここで紹介した違法な貸金業者や個人融資の掲示板といったサイトには絶対にアクセスしないようにしてください。興味本位でもアクセスすると、短時間でも自分の個人情報が流出する、あるいはアクセスをきっかけにしつこい勧誘を受ける恐れもあるからです。 また、悪質な業者として以下のような種類もありますので、やはり注意が必要です。  <借入に関する悪質な業者の種類> 名義貸し 「お金を借りるだけのアルバイトです」などの誘い文句で、消費者金融などから借入をさせておいて「あとの処理はこちらでやるから」などと借入用カードを暗証番号とともにだまし取り、そのあと連絡が取れなくなる 信用させるために、一回程度は約束通りのアルバイト料などを支払う場合もある 整理屋 債務整理をするなどの広告などで釣り、連絡してきた人(多重債務で苦しんでいる人が多い)から「債務整着手金」などの名目で金を振り込ませ、だまし取る手口 紹介屋 「よそで断られた人も大丈夫!」などと融資をすると思わせて誘った相手に「わが社では無理ですが、〇〇なら借入できるので、紹介します」として、紹介料などの名目でお金を詐取するもの 買取屋 「融資を受けるためのお願い事項」などと偽って、誘いこんだ人にクレジットカードで商品を買わせて、それを安価で買い取ったあと、高金利の融資もする手口 だまされた人は借金だけでなくクレジット支払も背負うことになる

法外な利息、過酷な融資条件

違法な業者は、そもそも貸金業法など法律やルールを守っていないわけですから、そうした業者や個人融資掲示板などでお金を借りると、文字通り「法外」な高金利になることが多いのが実態です。 当然ながら法律の上限金利をはるかに超えた高利になることがあり、借りた金額はそれほど大きくなかったとしても、利息に利息がかさんであっというまに大きな借金へと膨れ上がってしまう恐れがあるのです。 ちなみに、法外な利息の例として「トイチ」というものがあります。これは借入に対し「10日で1割の利息」という意味で、たとえば100万円をトイチで借りると10日目には利息だけで10万円に借金が増えます。年利で換算すると365%なのですが、悪質業者の借入では複利計算(元金に対し増えた利息も一緒にして、更に利息を計算する)なので、トイチの場合実質年率では1,000%(!)を超える計算にもなってしまいます。言うまでもなく違法な高金利で、こうした金利の種類・呼び方はトイチ(10日で1割の金利)の他にも「トニ(10日で2割)」「トサン(10日で3割)」「トヨン(10日で4割)」「トゴ(10日で5割)」となっていきます。

貸金業法とビジネスローン~まとめ

今回は貸金業法について、ビジネスローンと関連付けて解説してきました。 貸金業法は、貸金業者である消費者金融などからの借入を規制する法律で、個人が貸金業者から借りるビジネスローンも、貸金業法の規制対象になるなど密接に関係しています。 そして、ビジネスローンを事業資金調達に有効活用するには、総量規制や上限金利など貸金業法の基本をおさえ、登録を受けた正規の貸金業者でビジネスローンを利用することが重要です。 この記事が参考になれば幸いです。