2000年代中期以降から、経営改善効果を期待する都市銀行や大手銀行が次々に合併を行い、ずほ・三菱UFJ・三井住友の、いわゆる3大メガバンクが誕生したことは、記憶に新しいという方も多いのではないでしょうか。

かつては、経営資源に富む銀行の再編や破綻など、一切考えられない事態と考えられてきたこともあり、この動きは日本中に大きな衝撃を与えたものでした。

最近でも、2018年に東京都民銀行と新銀行東京の合併によってきらぼし銀行が誕生するなど、もはや銀行の再編は決して珍しい動きではなくなっています。

そして、2020年に突入した現在。
今度は日本中の多くの地域金融機関が再編に動く可能性が示唆されるようになっています。

昨年就任した菅首相は、地域銀行の数の多さを指摘した上で、歴代の首相としては初めて地域銀行の再編を政策として掲げていることもあり、今後は地域金融機関の再編圧力が一層加速するのではないかと予測されているのです。

また昨今における新型コロナの感染拡大により、事業融資件数は伸びているものの、マイナス金利政策の影響による利ざやの縮小を余儀なくされることで、収益の落ち込みをみせる地域金融機関が増加傾向にあります。

そのような現状が続くなか、すでに静岡銀行と山梨中央銀行が県をまたいだ業務提携に合意しているほか、青森県内を地盤とする青森銀行とみちのく銀行も2024年の経営統合に向けて共同での持株会社設立を発表しています。

こういった地域金融機関の再編の動きが拡大していく状況の中で、利用者の心配事となるのが、預金の行方や融資取引内容の引き継ぎです。

では、金融機関の再編が起きた場合、それらはどのようになるのでしょうか。

■金融機関の再編時に鍵となるペイオフ制度

金融機関の再編時に鍵となるペイオフ制度

まず理解しておきたいのが、2008年から実施が開始されているペイフオフ制度です。

これは、金融機関が破綻した場合でも、利息のつく普通預金・定期預金・定期積金といった一般預金に対し、預金保険機構1人の名義あたり元本1000万円と破綻日までの利息が保護されるという制度ですが、

金融機関の再編時にも、この制度を意識する必要があるのです。

■ホールディングス化の場合

ホールディングス化の場合

A銀行とB銀行にそれぞれ1000万円ずつを預けいれており、両行が共同で持株会社を設立して、いわゆるホールディングス化した場合には、A銀行もB銀行も持株会社の傘下に入るというだけのことですので、そのまま保護されることになります。

■合併や事業譲渡の場合

合併や事業譲渡の場合

一方、金融機関同士が合併や事業のすべてを譲渡した場合は少々注意が必要になります。

たとえば、合併するA銀行・B銀行・C銀行の3行の預金口座を所持し、それぞれに1000万円ずつ預け入れていたとします。

この場合、預金者1人あたりの元本1000万円までとその利息が、合併する金融機関数を乗じた分だけ保護される特例が適用されることになります。

つまり、新たに設立された合併銀行であるD銀行によって、元本の合計3000万円までとその利息が保護対象となるわけです。

ただし、この特例は合併から1年間のみの適用となります。

つまり1年を経過すると、通常のペイオフが適用されることとなり、保護対象は元本1000万円までとその利息に制限されてしまうことになってしまうのです。

■融資取引内容の取り扱い

融資取引内容の取り扱い

一方、合併するそれぞれの金融機関から融資を受けている場合の取引内容はどうなるのでしょうか?

こちらは、ホールディングス化した場合でも、合併によって取引先の金融機関が消滅した場合でも、原則として毎月の返済額や金利などはそのまま維持されることになります。

ただし、それぞれの再編によって新たな体制と方針が定められることにより、たとえば追加融資の条件が厳しく再設定されることも考えられます。

また、消滅した側の金融機関での融資取引にあたって、延滞金の支払いを延期する猶予措置を受けていたり、代位弁済等を開始する予定があった場合は、それらを停止されるといった可能性が生じることも否めません

そのような場合は、すぐにでも他行への乗り換えを検討したいところですが、措置の変更や停止を提示されても、すでに融資取引を開始している時点で、融資取引先を他行に乗り換えることは非常に困難です。

いずれにせよ、再編される金融機関での融資取引がある個人や事業者は、新たに誕生する金融機関の方針を受け入れざるを得ないということがいえます。

■まとめ

まとめ

今回は、地域金融機関の再編の動きが加速する現状のなか、金融機関が再編された場合に、預金の行方や融資取引内容の引き継ぎはどうなるのかについて解説しました。

金融機関の再編は、決して珍しい出来事ではなくなった昨今ですが、たとえ再編がされても、途端に預金が消滅したり、融資取引内容の変更を提示されるようなことはありません。

再編される銀行を利用中の人は、まずは落ち着いて担当者に話を伺い、それに応じて慎重かつ適切な対応をとるように心がけるようにしましょう。