「税金をたくさん払いたくない!」

法人や個人事業主を問わず、多くの事業主様はこのように思われていることでしょう。

しかし、利益をなるべく抑えて税金を減額させようと様々な節税対策をされている一方で、決算期や確定申告が近づくと「思ったよりも経費が発生していない」などと焦ってしまうなんて話もよく耳にします。

売上が予想以上に伸びているような場合なら、それに比例させるほどに、より多くの経費を発生させたいというのが本音です。

ですが、経費として認められるのは事業を進める上で必要なモノやサービスに対する支出であり、領収書を得られれば何でもかんでも経費として計上できるわけではないのはすでに皆さまも承知の上。

ただ、どのような事業を進めるにあたっても経費として認められやすく、かつ高額の経費計上がしやすい節税対策があります。

それが「社用車の購入」です。

今回は、社用車の購入費や維持費が経費として認められる理由や、経費として計上する際に留意するべき注意点について解説します。

「車の購入費」が経費と認められる根拠

「車の購入費」が経費と認められる根拠独立したての事業主様のなかには、「車を頻繁に使用する運送業や建設業などならまだしも、移動もそう多くない自身の事業で車の購入が経費として認められるのか?」などと疑問に思う方もいるかと思います。

しかし、どのような事業を進める上でも「移動」がまったく必要ないことはあまり考えられません。

たとえば他社への営業訪問や打ち合わせをする際。

もちろんオフィスへの出社も「事業に関連する正真正銘の移動」です。

先にも述べた通り、「経費」とは事業に必要なモノやサービスに対する支出です。

言い換えれば、どのようなモノやサービスでも、事業に必要だと認められる支出であれば経費として計上することは十分に可能なわけです。

つまり、頻繁に使用するかどうかは関係なく、車は移動手段として多くの事業で必要性が認められていると同時に、「社用車の購入費」も経費に計上することはまったく問題のない行為なのです。

社用車の「維持費」も経費計上が可能

社用車の「維持費」も経費計上が可能社用車を購入すると、「購入費」だけではなく「維持費」も発生するようになります。

たとえば、自動車税や自賠責保険、車検費用、駐車場代、高速料金、ガソリン代、さらには修理費や消耗品など。

ローンで購入した場合には利息もあります。

車を維持するためには、様々な維持費の支出が必要になるものですが、こうした維持費も購入費と同じように「事業に関連する支出」として経費計上することが可能となります。

したがって、コピー機のリース代金やインターネット通信費などのような「定期的な経費」の支出にもつなげることができます。

ただし、資産価値を向上させるような過度の改造や修繕を目的とするような支出は経費として認められない場合もあります。

社用車を購入する際の注意点

社用車を購入する際の注意点「購入費」だけでなく「維持費」も経費として計上できることから、社用車の購入と所持は効果的な節税対策といえるのですが、購入にあたってはいくつかの注意点もあります。

・30万円以上の購入費は一発計上不可

事業者が購入した車は「減価償却資産」となり、その購入費用は「減価償却」とよばれる計算方法を用いて計上されることになります。

詳しい計算方法はここでは割愛しますが、償却する資産には国税庁によって耐用年数のそれに応じた償却率が定められており、その年数をかけて計上していくことになります。

車の場合、普通自動車の新車の場合は6年、軽自動車の新車は4年。

中古車の場合は登録からの経過によって定められる耐用年数が変動し、普通自動車なら登録からの経過によって3年〜2年、軽自動車は5年〜2年です。

したがって、事業者が社用車として車を購入した費用は原則として一発計上することはできません。

ただし、車の価格が30万円未満である場合は「少額減価償却資産の特例」が適用され、一発計上も可能になります(価額の合計は年間300万円まで)

・利益を圧迫する購入費は税務調査の対象にも

車の購入と所持は多くの事業で必要性が認められていることから、それらの費用は経費として計上が可能ですが、その最終的な判断を下すのは税務署です。

基準は、その支出額が収益に見合った金額であるかどうか。

ですので、たとえば年間の収益が1,000万円であるのに対して、800万円ほどの車を購入するなど、明らかに収益に見合わない支出だと判断された場合には、税務調査の対象となり、経費として認められなくなるといったことにもなりかねませんので注意が必要です。

まとめまとめ

事業者にとって車は移動手段のひとつとして認められることから、その購入費と維持費は事業に必要なモノやサービスに対する支出として経費計上が可能です。

そのため車の購入や所持は節税手段としても効果的だといえるのですが、その一方で、経費の計上にあたっては制約があるほか、収益に見合った価格の車を購入しなければ税務対象になる可能性もあり得るといった注意点に留意しなければなりません。

社用車を購入する際には、過度に利益を抑える目的を持つことや見栄をはるようなことは意識せず、あくまでも事業に必要な範囲での経費捻出として捉えることが大切です。