日本の「会社」には、現在4つの形態がありますが、そのうち資金を集める目的で「株式」を発行して事業を行う企業を「株式会社」といいます。

さらに、その株式会社は「上場企業」と「非上場企業」に分けられます。

事業主の方でなくても、一度はこの2つの言葉を聞いたことがあるかと思いますが、何となく「上場企業」というのは、規模の大きい大企業や有名な企業のことで、「非上場企業」は中小企業というようなイメージを持っているという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「上場企業」と「非上場企業」の違いと、上場企業になって得られるメリットやデメリットについて解説していきます。

上場企業とは?

まず「上場」とは何かについての説明です。

上場とは、有価証券や先物取引の商品などを取引所にて公開することで、株式会社の上場というのは、株式を証券取引所で自由に売買できるようにすることです。

つまり、上場企業とは自社の株式を証券取引所で一般に公開して取引可能な状態にし、広く出資者を募る株式会社のことをいいます。

反対に非上場企業は、株式を証券取引所で公開していないため、株式の所有は創業者や役員、関連会社などが所有するといったケースがほとんどの株式会社です。このように一般に公開されない株のことを「未公開株」とよびます。

日本には、現在約400万社ほどの企業がありますが、そのうち上場企業は3713社(2020年4月時点)。ニュースなどで、頻繁に「上場企業」という言葉を目にしたり耳にしたりするため、相当な数の上場企業が存在しているようにも思えますが、実際には全企業数のわずか1%にも満たない数しか存在していません。

「上場」するための条件

では、どうしてこれほどまでに「上場企業」の数は少ないのでしょうか?

それは、上場するためは、厳しい条件をクリアしなければならないからです。したがって事業主が「上場したいという」という意思をもっているだけでは、証券取引所で株式を公開することはできないということになります。

証券取引所と株式市場

現在、日本には東京、名古屋、札幌、福岡の4つの証券取引所があります。

さらに、証券取引所には実際に株式を公開する「株式市場」があります。

たとえば、もっともよく耳にするであろう「東証一部」「東証二部」というのは、東京証券取引所に設置された株式市場です。そのほかにも、東京証券取引所には、ベンチャー企業向けの「マザーズ」や「JASRAQ」、名古屋証券取引所には、「名証一部」「名証二部」「セントレックス」といった株式市場があります。

東京証券取引所
・ 東証一部
・ 東証二部
・ マザーズ
・ JASRAQ

名古屋証券取引所
・ 名証一部
・ 名証二部
・ セントレックス

札幌証券取引所
・ 本則市場
・ アンビシャス

福岡証券取引所
・ 本則市場
・ Q-Board

上場のための条件は、それぞれの株式市場ごとに定められており、最も厳しいのは東証一部です。

だれもが一度は聞いたことのなるような大企業や有名企業が数多く上場している東証一部に上場するためには、以下のような条件をクリアする必要があります。

<東証一部の条件>

株主数 2000人以上
流通株式数 2万単位以上
(比率は上場株券等の35%以上)
時価総額 250億円以上

さらに東証一部に上場するためには、まずは東証二部での株式公開を経る必要があります。東証二部での公開をした後に、上記のような条件を満たすことができれば、東証一部への上昇を申請することが可能になります。

では、比較するために東証二部の条件もあわせて見てみましょう。

<東証二部の条件>

株主数 800人以上
流通株式数 4000単位以上
(比率は上場株券等の30%以上)
流通株式時価総額 10億円以上
時価総額 250億円以上

東証一部に比べれば、条件は大幅に緩和されていることがわかりますが、それでも上場するには高いハードルを超える必要があることは同じです。

このように、各株式市場ごとにそれぞれの条件が定められています。

上場のメリットとデメリット

次に、上場することで企業が得られるメリットとデメリットをみていきましょう。

まずはメリットです。

社会的信用の獲得と知名度の向上

株式市場に新規上場したというニュースは、これまでに数多く見たり聞いたりしたことがあるかと思います。あのように上場が世間一般に知れ渡れば、企業の知名度は大きく上昇し、それにともなって社会的な信用度を獲得することにもつながります。

資金調達を有利にする

株式を一般に公開するということは、多くの投資家などから資金を有利に集めることが可能になることを意味します。株式の売却による資金調達は、企業の知名度や業績が上がれば上がるほど多くの資金の調達ができる上に、銀行融資のような利息を含めた返済も不要です。

デメリット

経営が株主の意見に左右される

株式を一般に公開して売却すれば、それだけ株式の所有者が多くなるということにもなります。また、株式を保有していれば、企業の経営や方針について審議や議論が交わされる株式総会に出席することも可能になります。したがって、企業の経営や方針にも多くの意見が寄せられるということにもつながり、企業側の一存だけでは経営を進められなくなります。

企業買収の可能性もある

上場すれば自由に株式を売買できるわけですから、ある特定の企業や投資家が株式を買い占めることも可能になります。それは、企業の買収を意味することにもなります。ですので、もしも株式を買い占められるようなことになれば、自社を手放さざるをえないケースも生じます。

まとめ

今回は、上場企業と非上場企業の違いと、上場した場合に生じるメリットやデメリットをご紹介しました。

上場は、大企業や有名企業を証明するひとつの“証”ともいえますが、たとえばサントリーや大手新聞社のように、巨大な経営規模をもっていても未上場となっている企業がいくつもあります。

これらの企業が上場しない理由には、「経営が株主の意見に左右される」などのデメリットを考慮してのものと思われます。ですから、上場しているから大企業、未上場だから中小零細企業とはいいきれないということも認識しておきましょう。