資金繰りの改善を図るために、事業ローンの借り換えを考えている方も少なくないでしょう。
現在のローンより好条件のものに借り換えできれば、返済の負担を軽減することが可能です。
この記事では、事業ローンを借り換えする際のポイントと注意点について解説します。
会社に合った最適な借り換え先もわかるので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
事業ローンの借り換えを考えるタイミング
借り換えとは、現在受けている融資を別の金融機関からの借入で返済することを指します。
事業ローンの借り換えは、経営状況が悪化したときに検討するケースが多いです。
借り換えは、現在のローンより良い条件のものに切り替えることで、財政状況を改善する目的で行います。
・金利を安くして返済の負担を軽減したい
・複数の借入を一本化して返済期間や金額を減らしたい
・借り換えと並行して新規融資を受けたい
借り換えが上手くいくと資金繰りの改善が期待できるため、事業の拡大にもつながります。
事業ローンの借り換え先
事業ローンの借り換え先は、主に以下が挙げられます。
銀行
銀行からの借り換えを考えている方が真っ先に思い浮かぶのは、他行への切り替えだと思います。
現在銀行での借入がある場合、借り換えは以下のケースに分けられます。
・同一の銀行で別のプランを検討する
・他の銀行に借り換え
プランによって金利や返済期間が異なるため、他行への借り換えの前に同じ銀行でプランの切り替えができないか検討しましょう。
同一の銀行の別のプランに切り替える際は、借り換え目的であることを申告した方が審査がスムーズに進む可能性があります。
信用保証協会
信用保証協会の保証付き融資を利用している場合、現在の保証付き融資を新しい保証付き融資に借り換えできる「借換保証制度」が利用可能です。
借換保証制度を利用することで、複数の借入を一本化して毎月の負担額を軽減できます。
一部の中小企業などを対象とする「特別借換」では、信用保証料率の軽減や比較的長い期間での借入が可能です。
信用保証協会は公的な保証機関のため安心して利用できますが、保証制度の種類によっては借り換えができない場合もあるので注意してください。
カードローン
カードローンは、ATMから融資を受けられて手軽で早い資金調達ができるのがメリットです。
カードローンには銀行と消費者金融の2種類があり、以下の特徴があります。
・銀行:比較的金利が低め
・消費者金融:融資のスピードが早い
ただし、カードローンは金利が高く設定されているため、借り換えにはあまり向かないことに注意しましょう。
ノンバンク
資金繰りの改善を急ぐ場合は、ノンバンクでの借り換えを検討しましょう。
ノンバンクは銀行以外の金融機関を指し、借り換えの審査が早いのが特徴です。
ただし、銀行などに比べて金利が高い傾向があるため、しっかり返済計画を立てないと借り換え前より返済額が増える可能性があります。
事業ローンの借り換えのポイント
事業ローンの借り換えで押さえるべきポイントを解説します。
財務状況を確認する
借り換えの審査に通るには、財務の健全性や利益が安定していることが重要です。
借り換えの審査では、企業の財務や返済の状況をチェックするため、申し込む前に以下の項目などを確認してみてください。
・他の金融機関で受けている融資の金額は妥当か
・過去に返済を遅延していないか
・毎月継続して収益を上げているか
・決算書などの書類に矛盾がないか
事業ローンの借り換え時は、まず財務状況に問題がないか確認しましょう。
必要な書類を用意する
金融機関によって審査の際に書類提出を求められる場合があるため、必要書類を準備しておくとスムーズに審査を受けられます。
提出を求められる書類には以下があげられます。
・決算書
・確定申告書
・事業計画所
・登記簿謄本
借り換えは書類を準備する時間なども加味して、時間に余裕を持って申し込むようにしましょう。
負担額をシミュレーションする
借り換えの前に返済負担額をシミュレーションしておくことも重要なポイントです。
返済期間が長くなるほど利息がかさむため、借り換えして金利が低くなっても返済額が想像以上に高くなってしまう恐れがあります。
そのため、事前に返済計画をシミュレーションし、会社に合った方法を選ぶのがおすすめです。
・返済期間を短くして返済総額を減らす
・返済期間を長めに設定して月々の支払額を減らす
借り換えは資金繰りや返済計画の改善を目的として行うので、長期的な目線を持って取り組みましょう。
事業ローンの借り換え時の注意点
事業ローンの借り換え時に注意すべき点について解説します。
手数料がかかる
借り換えは、借り換え元と借り換え先のどちらの金融機関にも手数料を払わなければいけない点に注意してください。
手数料は借入する金額や金融機関によって異なりますが、一般的には10万円前後かかります。
一時的とはいえ大きな負担となる場合もあるため、心配な方は事前に確認しておくと間違いありません。
借り換えを行う際は、手数料がかかることも考慮する必要があることを理解しておきましょう。
延滞や二重ローンに気をつける
現在借入しているローンを延滞すると、借り換えの審査に影響してしまいます。
そのため、借り換えが完了するまでは延滞しないように気をつけましょう。
また、借り換えできたら現在融資を受けている金融機関への返済を速やかに行ってください。
二重ローンになってしまうと経営悪化の可能性が高まるので、せっかく借り換えしても資金繰りの改善につながりません。
延滞の有無やローンの返済計画は、借り換え前によく確認しておきましょう。
借り換え元の金融機関との関係性が悪くなる
借り換えを行った場合、借り換え元の金融機関との関係性が悪くなる場合があります。
他の金融機関への借り換えを行うと、借り換え元の金融機関は裏切られたような悪い印象を持つ可能性が高いです。
最悪の場合、今後一切の取引ができなくなってしまうリスクもあります。
もし借り換え元の金融機関との関係を保ちたいなら、現在より好条件の融資プランがないか相談してみると良いかもしれません。
他行から日本政策金融公庫への借り換えはできない
日本政策金融公庫の融資制度は低金利で融資が受けられますが、資金用途が借り換えだと利用できません。
一定の要件に該当する場合に利用できる借り換え制度があるのですが、借り換えは日本政策金融公庫から受けた融資に限定されます。
・経営環境変化対応資金
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
・令和6年能登半島地震特別貸付
日本政策金融公庫は他の金融機関からの借り換えができないので、利用したい場合は現在の融資との併用を検討しましょう。
借り換え以外で資金繰りを改善する方法
借り換え以外で資金繰りを改善する方法について解説します。
追加で融資を受ける
現在融資を受けている金融機関から追加融資を受けるのも資金繰りの改善に有効です。
すでに同一の金融機関から融資を受けているため、財務状況に大きな問題がなければ審査に時間がかかることなく資金調達が可能です。
ただし、毎月の返済額も増えてしまう点に注意してください。
追加融資を検討する際は、返済額のシミュレーションをしっかり行って延滞を避けましょう。
繰上げ返済する
経営が良好であれば、繰上げ返済をして返済期間を短縮するのも一つの手です。
そうすることで金利手数料が減り、返済総額の軽減につながります。
特に多額の借入をしている場合は利息の負担も大きいため、返済期間が短くなると負担額を大幅に減らすことが可能です。
資金繰りの改善に有効なので、繰上げ返済ができる場合は検討してみてください。
スケジュールの見直し
業績不振におちいって返済が苦しい場合は、返済期日を遅らせてもらうなどの対応が必要です。
相談に応じるかは金融機関にもよりますが、今後の返済計画をしっかりと説明することで交渉しやすくなります。
ただし、以下のデメリットもあります。
・新規の融資が受けられない
・根本的な解決にはならない
返済の期日を遅らせることで一時的な解決にはなりますが、長期的に見て苦しいのに変わりはないので返済計画自体を見直す必要があります。
売掛金の回収を早める
売掛金が回収できないと手元の資金が少なくなってしまい、資金繰りの悪化につながります。
売掛金の回収がいつになるか確認し、支払いが遅れているならば催促することも必要になってきます。
もし売掛金が回収ができずに悩んでいたら、ファクタリングを利用することも検討しましょう。
ファクタリングとは売掛債権を買い取るサービスを指し、以下のメリットがあります。
・資金調達が早い
・自社の信用情報に関係なく利用できる
・会計上の負債が増えない
売掛金の回収を早めることで、借入しなくても資金繰りの改善が期待できます。
事業ローンの借り換えのまとめ
事業ローンの借り換えは資金繰りの改善に有効なため、経営が悪化した場合や事業をさらに拡大したい場合に検討しましょう。
借り換え先は、自社に合った金融機関を選ぶのが重要です。
金利の低さや返済期間など、現在の事業ローンより有利な条件で借入できるか確認してください。
今回紹介した借り換え時の注意点や借り換え以外で資金繰りを改善する方法を踏まえ、自社にとって最適な方法を選択しましょう。