先月25日、東京都や大阪府など4都府県を対象に3度目となる緊急事態宣言が発令。

その後も、愛知県や福岡県、北海道など6道県が追加され、現在は9都道府県が緊急事態宣言下にあります。

発令時は、5月末を期限としていた今回の緊急事態宣言ですが、新規感染者数や重症患者数は大幅な減少をみせることなく、期待通りの成果は上げられていない模様。

先日には6月20日までの期限延長方針が示されたことで、対象地域の飲食業をはじめとする一部の業種では、引き続き厳しい経営が続くことが予想されます。

また、宣言下にない地域であっても、毎日のように新規感染者の報告があることからも、新型コロナの感染力の強さを改めて思い知らされる現状であるといえます。

今年に入ってから続く「第4波」と呼ばれる流行は、依然として止まることをしらず、経営に緊張ムードが漂い続けている企業も多いことでしょう。

では、今後も不安定な社会情勢の継続が予想される中で、経営者の方々は経営を守るために、どのような対策を進めていくべきなのでしょうか。

■新型コロナ関連の倒産件数は4ヶ月連続100件超え

新型コロナ関連の倒産件数は4ヶ月連続100件超え

まずは、新型コロナ関連の倒産件数をみてみましょう。

東京商工リサーチの発表によると、先月4月の全国企業倒産数は477件。

これは、4月度だけで比較すれば、1972年以降の50年間で最も少ない数だということです。

一方で、新型コロナ関連の倒産件数は134件。1月から4ヶ月連続で100件を超える結果となりました。

倒産件数自体は減少しているものの、新型コロナ関連の倒産件数は4ヶ月連続で横ばいの傾向。

数々の資金支援策を有効的に活用し、経営の維持につなげている企業がいる一方で、支援不足や十分な資金を得られながらも経営の立て直しにつながる効果的な活用ができずに力尽きる企業が後を絶たないという厳しい現実が見て取れます。

■堅実な資金繰り計画を構築

堅実な資金繰り計画を構築

企業が経営を守れない、つまり倒産にいたる要因はやはり「資金不足」が圧倒的でしょう。

では、現在のwithコロナの時代において、倒産に至るほどの資金繰りの悪化を避けるための最善策はどういったものなのでしょうか。

それは「大きな賭け」には絶対に出ることのない、常に堅実な資金繰りを目指す以外には考えられません。

すでにwithコロナの時代に入り1年以上が経過して、多くの方が実感していることとは思いますが、新型コロナの流行は波を打つように繰り返しています。

経営者の中には、流行の真っ只中では資金繰りの安定を図り、支出の大幅な削減に努めようとするものの、全国的に新規感染者数が減少傾向になると、途端に先行き不透明な新たな事業への投資に踏み切ったりするなど、流行の抑制期をチャンスとみて「大きな賭け」に出ようとする方が少なからずいうように見受けられます。

ワクチンの接種が開始されたとはいえ、残念ながらwith コロナの時代は今後も波を打つように繰り返されることが予想されます。

たとえ、流行に落ち着きがみられたからといって蓄えた資金を確実性の薄い事業や取り組みに投資することなく、経営を守ための資金を常に確保可能にする堅実な資金繰り計画を構築することが必要でしょう。

■事業整理を進める「逆転の戦略」

事業整理を進める「逆転の戦略」

とはいえ、経営を守るための資金を確保するには当然ながら売り上げの安定化を目指した「攻め」の態勢も欠かすべきでないことは言うまでもありません。

どんな企業にも、強固な関係を結ぶメインの取引先、いわゆる「お得意様」や、主力の商品やサービスが1つや2つはあるはずです。

そこで、売り上げの確保や上昇を目指す「攻め」の態勢として、資金をそれら既存の「お得意様」や商品などに絞って費やし、さらなる関係性の強化や売り上げの拡大を目指す戦略も考えられるのではないでしょうか。

それにより、「お得意様」にとっても収益の増加につながる可能性が高まるなどの相乗効果を期待することもでき、コロナ収束後もよりよい関係性を続けられるはずです。

ただし、これまで分散していた資金の投資先を最小限に絞るわけですから、当然ながら採算のとれない、成功が見込めない取引先や商品などは思い切って切り捨てる覚悟と決断も必要になります。

このように、新型コロナ渦を事業整理のチャンスとして捉える「逆転の戦略」が、不安定な社会情勢の中での経営存続に結びつく可能性もあります。

■雇用整理も視野に入れる

雇用整理も視野に入れる

「従業員は会社の宝」

そんな風に従業員やその家族を大切に思い、どんなに経営が悪化しても、雇用だけは守り続けたいという想いをお持ちの経営者の方もたくさんいらっしゃることでしょう。

しかし、人件費が経営を圧迫し、資金繰りの悪化を招いている要因となっているようであれば、希望退職を募る、または早急な対応が必要であれば解雇を言い渡すなど、たとえ不本意であっても雇用整理も視野に入れなければなりません。

そのような決断を下した場合、経営者ができることは最大限の敬意と謝意を示すとともに、それ相応の対応をとることです。

たとえば、希望退職者に対しては可能な限りの退職金を捻出する、解雇するのであれば、理由を明確に伝えた上で再就職に向けた相談に親身になって乗るなど、退職者に対するケアを怠ることのないようにしましょう。

緊急事態宣言の延長と「第4波」の継続。

相変わらず先行きが不透明な情勢の中で、今後も経営を守り抜きたいという意志をお持ちであるのであれば、平時よりもさらに、堅実な判断と大胆な決断をバランスよく使い分けていく必要があるといえます。