最近、ビジネス系のメディアなどから「スモールビジネス」という言葉をよく見聞きするようになりました。
直訳すれば「小さな仕事」や「小さな取引」といったところでしょうか。
したがって、「スモールビジネスとは、資本や従業員数が比較的に小規模な中小企業や零細企業、または創立間もないベンチャー企業やスタートアップ企業の事業を指す新たな言葉」という認識をお持ちの人が多いようです。
そのほかにも、ビジネスの提供範囲が限定的であったり、地域性の強い事業といった解釈をされる人もいることでしょう。
こういった認識や解釈は、スモールビジネスという言葉の直訳を踏まえるとどれも正しいように思えますが、実際には似て非なるものです。
では、スモールビジネスとはどういったビジネスのことを指すのでしょうか。
そしてスモールビジネスを展開するにあたって生じると考えられるメリットやデメリットなどについても併せてみていきましょう。
目次
スモールビジネスとは?
端的にいってしまえば、スモールビジネスとは「個人でも展開可能な小規模の事業」です。
つまり、法人にとどまらず、個人事業主やフリーランス、ノマドワーカーとして展開する事業など、事業形態を問わず小規模で行える事業であれば、スモールビジネスということになります。
その点を踏まえると、会社員などの本業を持つ人が行う副業もスモールビジネスに含まれるといえます。
ただし、ベンチャーやスタートアップなどと同じように、スモールビジネスにもその言葉の意味や条件が厳密に定義されているわけではありません。
中小企業基本法における中小企業の定義ように、「資本金がいくらまで」「常時雇用者数は何人まで」といった決まりがない以上、スモールビジネスの意味や条件は曖昧なものになります。
したがって「小規模」といわれても、資金や売上高、従業員数が具体的にどれくらいまでの事業を指すのかと疑問を抱える人もいるかと思いますが、スモールビジネスはあくまでも「個人でも展開可能な小規模な事業」という解釈で構わないと考えられます。
スモールビジネスのメリットとデメリット
では、スモールビジネスを展開する上ではどのようなメリットやデメリットが生じるのでしょうか。
まずはメリットからみていきましょう。
メリット
少ない資金で開業と事業展開が可能
スモールビジネスは個人で行える小規模な事業であるため、開業にあたって、まとまった資金を確保する必要はありません。
事業によっては手持ちのパソコンとネット環境さえ整っていれば、手元資金のみですぐに開始できるものもあるでしょう。
また、個人事業主やフリーランスであれば、登記費用などが発生することもなく開業までのコストを大幅に抑えることが可能になります。
さらに、従業員を雇わなければ人件費が発生することはなく、オフィスや店舗をレンタルせずに自宅で業務を進められれば、賃貸料の支払いも不要になるなど、事業展開に必要なランニングコストを削減することもできます。
自身の裁量で業務を実行できる
スモールビジネスのメリットは資金面だけではありません。
興味がなかったり成果が見出せないなどと判断できた案件を無理に引き受ける必要はなく、自身が納得のいく案件だけを受注することも可能になります。
また、業務を行う時間や場所は自由に設定できるほか、仮に従業員を雇っていたとしてもその数は少数であるため、意思決定は迅速に行われるといったメリットも考えられます。
やりがいを感じながら事業の成長を見込める
自身の興味関心に基づいた事業を展開できるだけでなく、働き方も自由になるため、当然ながら大きなやりがいを感じられるはずです。
そして、スモールビジネスの場合、自身が商材そのものだということにもなりますから、積極的な行動を続けて実績を積んでいければ、その分だけビジネスを加速させることができます。
このような、やりがいを感じながら事業を成長させられる点もメリットのひとつであるといえるでしょう。
デメリット
事業者としての信用度は低い
ビジネスの世界においては、事業者の規模を重視した取引が行われることもしばしばあります。
これは、規模が大きければ大きいほど資金力に優れているとみなされると同時に、信用に値する事業者であると認識される傾向にあるためです。
したがって、小規模がウリのスモールビジネスを展開する事業者は信用度に欠けると判断され、時として取引に支障が生じてしまうケースがしばしばあるようです。
また、信用度の低さはビジネス取引のみならず、資金調達面にも影響を与えます。
いくらランニングコストが削減可能なスモールビジネスとはいえ、事業がいつまでも軌道に乗らないようであれば、資金調達が必要になることもあるでしょう。
しかし、事業者としての信用度の低さが足枷となるため金融機関からの評価は得られにくく、審査の通過が困難になることは容易に想像がつくものです。
自身の裁量が思わぬ不測の事態を招くことも
スモールビジネスのメリットとして、「自身の裁量で業務を実行できる」ことを挙げましたが、裏を返せば裁量次第で取引先からの信用を失うことも減収になることも考えられます。
一般の会社員であれば、たとえ不測の事態が生じたとしても会社が償ってくれることもあるかと思いますが、一人で展開するスモールビジネスであればそうもいかないでしょう。
まとめ
今回はスモールビジネスの定義と、そのメリット・デメリットについて解説しました。
スモールビジネスとは厳密な定義こそないものの、一般的には「個人でも展開可能な小規模の事業」と認識されており、法人だけでなく個人事業主やフリーランスとして行う事業のほか、副業も含まれます。
展開するにあたっては、デメリットこそあるものの、資金面や働き方に関したメリットが際立つこともあり、今後ますます増加していくのではないかと考えられるのではないでしょうか。