赤字決算の法人でも、ビジネスローンを借りられる可能性はあります。ただし、審査では赤字が一過性か慢性的か、経営改善計画の実現性、返済原資の見込みなどが総合的に判断されるため、赤字の原因を整理しておくことが重要です。
この記事では、赤字でもビジネスローンを借りられるかについて解説します。また、利用できるケースや審査で確認される材料、借入時の注意点もあわせて紹介します。
この記事を読めば、自社の赤字タイプに応じた判断ができるので、赤字決算で資金繰りに悩んでいる法人の経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ビジネスローンとは?

ビジネスローンとは、法人や個人事業主が事業資金として借入ができる金融商品です。運転資金、設備投資、開業資金など、事業に関わる幅広い用途で活用が可能です。
銀行融資と比べた場合、ビジネスローンには次のような特徴があります。
- 第三者保証人や不動産担保が原則不要
- 審査期間が比較的短く、即日融資に対応する商品もある
- オンラインで申込から契約まで完結できる商品が増えている
- 金利は商品・借入額・信用状況により異なるが、銀行融資より高めに設定される傾向にある
銀行融資や公的融資は商品や担保によって金利水準が異なり、ビジネスローンより低めに設定されることが多いのが一般的です。一方、貸金業者系のビジネスローンは年5%〜18%程度の商品が多く、借入額や商品によっては利息制限法の上限に近い利率となる場合もあります。
ただし、金利が高めな分、審査スピードと柔軟性で資金調達ニーズに応える設計となっており、急ぎの資金需要や銀行融資が難しい局面で選ばれる傾向にあります。
なお、利息制限法では借入額に応じて上限金利が定められており、10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%が上限です。遅延損害金は別途設定されるため、申込前に契約条件の全体像を必ず確認してください。
赤字決算でもビジネスローンを利用できるケース

赤字決算の法人がすべて審査で落ちるわけではありません。金融機関や貸金業者は決算書の赤字額だけでなく、赤字に至った背景や今後の返済見込みを総合的に見て判断します。ここでは、赤字決算でもビジネスローンの利用を検討しやすい代表的な3つのケースを紹介します。
一過性の要因による赤字にとどまっている
赤字の原因が一時的な要因に限られている場合、ビジネスローンの審査で前向きに検討される可能性があります。
具体的には、新規出店や設備投資に伴う先行費用、突発的な大口取引のキャンセル、災害や原材料高騰など外部環境の影響による赤字、一時的な特別損失による赤字、減価償却費などの非資金費用の影響でキャッシュフローは確保できている赤字などが該当します。
こうした「一過性の赤字」は、要因が解消されれば収益が回復する見込みも立ちやすく、申込先から「将来的な返済能力に問題はない」と判断される余地が残ります。
申込時には、赤字の原因を明確に説明し、根拠となる資料を添えて伝えることが大切な要素となります。
実現性の高い経営改善計画書を提示できる
赤字を解消するための具体的な経営改善計画書を提示できる法人は、審査での確認材料が増えます。改善計画には、赤字の原因分析、売上回復や経費削減の具体策、達成までのスケジュール、根拠となる数値データを盛り込みます。
「来期は売上を伸ばす予定」といった抽象的な表現ではなく、「主力商品Aを既存顧客10社に拡販し、月商を〇〇万円積み上げる」のように、誰が見ても再現性を確認できる粒度まで落とし込むことが重要です。実現性のある計画書は、赤字の現状を補う重要な判断材料になります。
担保や保証人を提供できる
商品によっては、不動産担保や保証人の有無が審査時の確認項目になる場合があります。担保や保証は金融機関や貸金業者にとってのリスクヘッジになる一方、返済不能時には経営者個人や保証人の生活に影響する重い契約です。
審査のために安易に提供するのではなく、責任範囲・対象債務・返済不能時の手続きまで確認したうえで判断してください。
赤字決算でビジネスローンの利用が難しいケース

一方で、赤字決算のなかでも審査通過が難しいケースがあるのも事実です。事前に自社の状況がここに当てはまっていないか確認し、当てはまる場合は申込前に改善策を検討する運用が望ましい流れとなります。
複数期にわたって慢性的な赤字が続いている
2期以上連続して赤字決算が続いている法人は、ビジネスローンの審査通過が難しい傾向にあります。なぜなら、複数期の赤字は「事業構造そのものに課題がある」と判断されやすく、申込先から見ると回収見込みが立てづらい状態だからです。
特に、売上が継続的に減少しているケースや、本業の営業利益が複数期マイナスのケースは慎重に見られます。慢性赤字から抜け出すには、事業モデルの見直しや固定費の構造改革など、ビジネスローン以前に取り組むべき課題が残っている場合もあります。
税金を滞納している
法人税・消費税・源泉所得税・社会保険料などの税金を滞納している場合、ビジネスローンの審査では大きなマイナス要因として評価されます。税金の滞納は資金繰りの逼迫を示すサインと受け取られるうえ、滞納処分による差押えリスクが回収を阻害する懸念につながるためです。
申込先によって必要書類は異なりますが、納税証明書の提出を求められるケースが一般的な流れです。融資申込前に滞納分を完納し、最新の納税証明書を取得しておくと、審査の場で説明がスムーズに進みます。
一時的な納税資金の不足で完納が難しい場合は、税務署や年金事務所に分納や猶予の手続きを相談する選択肢もあります。
経営者個人の信用情報に問題がある
法人代表者個人の信用情報に問題がある場合も、審査上のハードルが上がる傾向にあります。なぜなら、多くのビジネスローンでは代表者の連帯保証が前提となっており、代表者個人の信用情報が照会される設計だからです。
過去のクレジットカードや個人ローンの長期延滞、債務整理、自己破産などの履歴は、信用情報機関に一定期間記録が残ります。なお、申込先の加盟先によって照会される信用情報機関は異なるため、複数機関で開示請求を行うと安心です。
赤字決算でビジネスローンの審査を通過するためのポイント

赤字決算の法人がビジネスローンの審査で確認される材料を整えるには、申込前の準備が結果を大きく左右するのが実情です。ここでは、押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
ポイント①実現性の高い経営改善計画書を提出する
経営改善計画書は、赤字の現状を補う重要な判断材料です。「なぜ赤字になったのか」という原因分析と、「今後どう黒字化するのか」という具体策を、根拠データとともに示すのが基本です。
数値の根拠が薄い計画書は信頼性を欠くため、過去の実績データや市場データを引きながら裏付けを示しましょう。
ポイント②返済能力があることを証明する
赤字決算であっても、返済原資となるキャッシュが見込めることを示せれば審査でプラスに働きます。直近月次の試算表・確定済みの大口受注書・契約済みの継続案件など、入金の蓋然性が高い情報を整理して提示するのが効果的です。
会計上の赤字と現預金残高、実際のキャッシュフローはイコールではありません。減価償却費などの非資金費用により会計上は赤字でも、本業のキャッシュフローはプラスというケースがあります。決算上の損益と実際の現金収支を分けて説明できるかどうかが、返済能力を示すうえで重要です。
ポイント③正確な資金繰り表でキャッシュフローを可視化する

資金繰り表は「いつ・いくら入金があり、いつ・いくら支出するのか」を月次や週次で可視化した資料で、申込先が返済能力を判断するうえで重視されます。6ヶ月以上を目安に、可能であれば12ヶ月先まで見通しを示しておくと安心です。
希望融資額や返済条件と整合した資金繰り表を作成することで、計画の説得力が大きく高まります。
ポイント④既存の他社借入を可能な限り減らしておく
複数の金融機関やノンバンクから借入がある場合、新規融資の審査で慎重に見られる傾向にあります。なぜなら、返済負担が大きいほど、新たな返済余力が乏しいと判断されるためです。
借入件数や残高が整理されると、月々の返済負担が軽くなり、新規融資後のキャッシュフローも安定しやすくなります。ただし、既存借入の借換え(一本化)は、総返済額・手数料・返済期間延長リスク・審査可否をセットで検討する必要があり、安易な選択は避けたほうが安全です。
ポイント⑤税金を完納しておく
法人税・消費税・源泉所得税・社会保険料などは、申込前に完納しておきたい項目です。なぜなら、滞納が残っている状態だと、多くのビジネスローンで審査上の大きなマイナス要因になるからです。
一時的に納税資金が不足している場合は、税務署や年金事務所に相談し、分納や猶予の手続きを進める方法があります。分納や猶予の手続きを行い、合意どおりに履行している場合は、未対応のままより状況を説明しやすくなります。ただし、分納中であること自体が審査上のマイナス要因として見られる場合もあるため、申込先には事実を正確に伝えてください。
赤字決算でビジネスローンを借りる際のポイント

審査通過後に借入条件を決める際にも、押さえておきたいポイントがあります。金利と返済期間の設定次第で、返済総額や月々の負担が大きく変わるためです。
ポイント①適用金利が低い事業者を選ぶ
金利は返済総額に直結する重要な条件ですが、金利だけで選ぶのは安全な判断とはいえません。比較する際は、表示金利だけでなく、実質年率、遅延損害金、事務手数料、保証条件も合わせて確認する視点が欠かせません。
実質年率は、利息に加えて事務手数料などのコストを年率換算した数値で、商品の総コストを比較するうえで参考になります。借入額・年率・返済期間・返済方式(元金均等・元利均等)の組み合わせで返済総額は大きく変わるため、各社で同じ条件のシミュレーションを取り寄せて比較するのが現実的です。
低金利の商品は審査が慎重な傾向にあるため、申込時には経営改善計画書や資金繰り表など、補完資料を充実させておきたいところです。なお、複数社への正式申込を短期間に乱発すると信用情報に申込履歴が残るため、相談段階で条件を絞り込んだうえで申込先を決める運用が安心です。
ポイント②返済期間は月々の負担と利息総額のバランスで決める
返済期間を長くすることは、必ずしも有利な選択ではありません。なぜなら、月々の返済額は下がっても、利息総額が増え、再建後の資金繰りを圧迫する場合があります。
返済期間の設定は、月々の返済額と総支払利息の両方で判断する必要があります。期間を長くすると月々の負担は軽くなる一方、利息総額は増えるため、目先のキャッシュフローと長期コストのバランスが重要です。
ビジネスローンの返済期間は商品によって幅があり、1ヶ月から数年単位まで設定可能なケース、最大3年(36回)程度に限定されるケースなどさまざまです。商品ごとに上限・下限の期間が異なるため、申込時に必ず確認してください。
赤字決算でビジネスローンを利用する際の注意点

赤字決算でもビジネスローンを利用できる場面がある一方で、借入時に把握しておきたい注意点もあります。条件を理解したうえで、慎重に判断してください。
注意点①金利が割高に設定されやすい
赤字決算の法人に対しては、申込先のリスクが高まる分、適用金利が割高に設定される傾向にあります。銀行融資や公的融資の金利水準と比べると、ノンバンク系ビジネスローンは数%〜10%以上の差が出るケースが少なくありません。
金利の差は、長期で見ると返済総額に大きく影響します。借入金額・実質年率・期間・返済方式の4要素から、総返済額をシミュレーションしたうえで、事業計画に沿った返済負担の少ない条件を選択することが重要です。遅延損害金や繰上返済手数料の有無も併せて確認しておきましょう。
注意点②希望した融資額に届きにくい
赤字決算では、申込時に希望した金額が満額認められないことも少なくありません。なぜなら、申込先は決算内容・資金繰り・担保価値・代表者の信用状態などを総合判断し、回収見込みの範囲内に融資額を抑える傾向にあるためです。
注意点③経営者個人の連帯保証を求められるケースが多い
法人向けビジネスローンの多くで、代表者の連帯保証が条件となっています。会社が返済不能になった場合、契約内容や法的手続きにより、代表者個人の資産に影響が及ぶ可能性があります。
全国銀行協会と日本商工会議所が策定した「経営者保証に関するガイドライン」は、一定の要件を満たす場合に経営者保証を求めないことや、保証機能の代替手法を検討する考え方を示した自主的なルールです。
法的拘束力はなく、最終的な判断は取扱金融機関等に委ねられます。ビジネスローン各社で同様の対応があるとは限らないため、無保証や保証範囲の限定が可能かは申込前に確認してください。
まとめ

この記事では、赤字でもビジネスローンを借りられるかについて解説しました。赤字決算でのビジネスローン利用は、赤字の原因が一過性かどうか、経営改善計画の実現性、返済原資の見込みなど、複数の要素を踏まえて判断することが重要です。
慢性赤字や税金滞納がある場合は、申込前に状況を整理しておく姿勢も欠かせません。この記事を参考に、自社の赤字タイプと資金繰り状況を見極め、根拠ある計画で次の一手につなげていきましょう。
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