事業資金の借入先は、政府系金融機関・地方自治体・民間の金融機関・融資型クラウドファンディング・ノンバンクの5つが代表的で、それぞれ金利やスピード、審査の通りやすさが異なります。

「速さ」「金利の低さ」「借りやすさ」のどれを優先するかで適した借入先が変わるため、自社の資金繰り状況に合わせて選ぶことが大切です。

この記事では、事業資金の借入先について解説します。また、それぞれのメリットや審査で重視される項目、失敗しない借り方もあわせて紹介します。

この記事を読めば、自社に合う借入先と無理のない借り方が理解できるので、事業資金の調達先に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

事業資金の主な借入先

事業資金を借り入れる際の代表的な選択肢は、政府系金融機関・地方自治体・民間の金融機関・融資型クラウドファンディング・ノンバンクの5つです。リース・ファクタリング・親族借入なども実務上の選択肢になり得ます。

政府系金融機関

政府系金融機関の代表は日本政策金融公庫です。同公庫は、民間金融機関を補完する目的で設立され、創業期や設備投資、長期運転資金などで活用されています。
メリットは、低水準の金利と長期返済の選択肢がある点です。新規開業・スタートアップ支援資金など商品ごとに返済期間が定められています。
デメリットは、申込から融資実行まで数週間〜1ヶ月程度かかる点と提出書類の精度が求められる点です。そのため、必要時期から逆算して準備しましょう。

地方自治体

都道府県や市区町村が窓口となる「制度融資」が代表例です。これは、自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携した保証協会付き融資です。
メリットは、自治体補助で低金利・長期返済かつ負担を抑えやすい点です。地域に根ざした事業との相性も良好です。
デメリットは、3者の審査で申込から着金まで1〜2ヶ月程度かかる点と利用条件・金利・保証料補助の有無が自治体ごとに異なる点です。そのため、各自治体の制度融資ページや商工会・商工会議所で最新条件を確認しましょう。

民間の金融機関

銀行・信用金庫・信用組合からの融資が該当します。形は「プロパー融資」(金融機関が直接貸し付け)と、信用保証協会の保証を受ける「保証協会付き融資」に大別されます。
メリットは、プロパー融資なら条件が有利な点とメインバンクとの関係性が中長期で活きる点です。また、信用金庫・信用組合は地域密着で、事業内容や経営者の姿勢を直接評価する文化も特徴です。
デメリットは、プロパー融資は業歴や決算内容が厳しく見られ、創業初期は審査が通りにくい点です。一方、保証協会付き融資は保証料が別途必要となる場合もあります。

融資型クラウドファンディング

クラウドファンディングはファンド運営事業者を介して資金調達方法です。「融資型(ソーシャルレンディング)」「購入型」「寄付型」「株式投資型」に分かれ、借入に該当するのは融資型のみです。融資型は登録を受けた第二種金融商品取引業者が運営し、投資家の出資を企業へ貸し付けます。
メリットは、事業内容に共感が集まれば調達できる点と認知拡大やファン獲得も同時に見込める点です。
デメリットは、募集から実行まで数ヶ月かかる場合があり、緊急性の高い資金には適していない点と利率・期間・担保条件が案件・事業者で大きく異なる点です。そのため、条件を確認したうえで利用しましょう。

ノンバンク

ノンバンクは銀行以外の貸金業者で、ビジネスローン・不動産担保融資・売掛債権担保融資などを扱います。利率は商品・契約金額・担保で異なります。
メリットは、不動産・売掛債権・有価証券を活用した融資設計を相談しやすく、銀行融資の代替選択肢になる点です。
デメリットは、銀行や政府系より金利水準が高めになりやすい点です。所要時間や条件は審査・契約状況で変動するため、利率・遅延損害金・返済方式・返済期間を確認し、返済原資と総返済額を踏まえて検討しましょう。

融資審査で重視されるポイント

事業資金の借入審査では、どの借入先でも「事業として返済を続けられるか」が判断軸です。ただし、借入主体(法人・個人事業主など)で確認項目は変わるため1つずつ確認しましょう。

事業計画書

事業計画書は「返済能力を裏付ける根拠資料」として重要な書類の1つです。事業概要・市場環境・収支計画・返済原資を、数字と論理で示しましょう。売上見込みは過去実績や市場規模から積み上げ、根拠を添えて記載します。
事業計画書は、借入先や商品により重視項目は変わるため、申込先の指定様式と重視項目を事前に確認しておくと安心です。

資金使途

借りた資金を何に使うのかが明確であるほど、審査担当者は判断しやすくなります。設備購入なら見積書、運転資金なら仕入・人件費・販管費の内訳を提示すれば、必要金額の妥当性を示せます。
曖昧な使途は希望額の減額や否決の一因にもなりかねません。資金使途は書類に明記し、口頭でも説明できるよう準備しておきましょう。

自己資金

特に創業期の融資では、自己資金の有無が判断材料の1つです。自己資金は「事業への準備度合い」「計画的に資金を積み上げてきた姿勢」を示す指標として確認されます。公的機関の融資制度では自己資金額が要件として示されることもありますが、内容は制度・時点で異なるため、注意しましょう。
一時的に借りたお金を自己資金に見せかける行為は審査で見抜かれるため避けましょう。

信用情報

代表者個人の信用情報も審査対象です。クレジットカードや個人ローンの延滞・債務整理などの情報は信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に登録されており、本人が開示請求で確認できます。
延滞は解消してから申し込むのが基本ですが、契約終了から数年程度は登録が残る場合があります(機関や情報の種類により取扱い期間は異なります)。そのため、開示書類で残存状況を確認しておきましょう。

事業資金を借り入れる際のポイント

借入先と審査基準を押さえたら、事業資金を借り入れる際のポイントです。資金繰りに余裕を持って動くこと、借りる目的を明確にすることです。それぞれ詳しく解説します。

早めに行動する

事業資金の借入は、申込から実行まで時間を要します。具体的には、政府系金融機関や民間銀行は数週間〜1ヶ月、自治体の制度融資は1〜2ヶ月かかる場合もあるため、必要時期から逆算して動くことが大切です。
資金ショート直前に駆け込みしてしまうと、希望額が満額通らない、書類の精度が下がるなどのリスクも高まります。一方、1〜2ヶ月以上の猶予があれば、複数の借入先を比較する余裕も生まれます。

使い道と必要金額を明確にする

「いくらを、何に、いつまでに使うのか」を整理することが、適切な借入額の算定につながります。必要以上に借りれば利息負担が増え、不足すれば資金繰りが再び苦しくなるためです。
設備投資は見積書、運転資金は資金繰り表をベースに必要額を算出する流れが基本です。ただし、「運転資金は月商の◯ヶ月分」といった目安もありますが、業種・入金サイト・粗利率・固定費・季節変動で必要額は変わります。返済原資と総返済額をセットで確認し、借入額を決めましょう。

事業資金を借り入れる際の一般的な流れ

借入先により細かい違いはありますが、事業資金の借入手続きは概ね5つのステップで進みます。流れを事前に押さえれば、書類準備や面談対応もスムーズです。本章で整理する内容は次のとおりです。

  • 借入先を選定する
  • 必要書類を準備する
  • 借入を申し込む
  • 担当者と面談する
  • 審査後に契約を結ぶ

それぞれ詳しくみていきましょう。

借入先を選定する

資金使途・必要金額・希望時期・担保や保証人の有無から、自社に合う借入先を絞り込みます。創業期で長期返済を望むなら政府系金融機関、地域連携を活かすなら自治体の制度融資、担保や売掛債権を活用するならノンバンクなど、目的別に検討しましょう。

必要書類を準備する

共通して必要な書類は、決算書(2〜3期分)・試算表・事業計画書・資金繰り表・本人確認書類・納税証明書などです。創業期は創業計画書、設備資金は見積書も求められます。書類の不備は審査の遅延につながるため、提出前にチェックリストで確認しておきましょう。

借入を申し込む

書類が揃ったら、借入先の窓口・公式サイト・担当者経由で正式に申し込みます。オンライン申込が可能な金融機関も増えており、フォーム入力後に書類を郵送・アップロードする流れが一般的です。
複数の借入先を並行検討する場合、契約主体や保証人の有無で信用情報機関への登録扱いが異なるため、同時申込の影響は各借入先の担当者に事前確認しておくと安心です。

担当者と面談する

面談では事業内容・資金使途・返済計画について質問されます。そのため、事業計画書を自分の言葉で説明できるよう、想定問答を用意しておきましょう。誠実な対応と数字に基づく説明が評価につながります。

審査後に契約を結ぶ

審査結果は借入先により数日〜1ヶ月超まで幅があります。条件提示後に金銭消費貸借契約を締結し、指定口座へ振り込まれます。返済方法・期日・金利・遅延損害金・繰上返済の可否などを契約書で確認し、入金後はすぐ資金繰り表へ反映させましょう。

まとめ

この記事では、事業資金の借入先について解説しました。事業資金の借入は、「借りられるか」と同時に「無理なく返済を続けられるか」が重要です。政府系金融機関・地方自治体・民間の金融機関・融資型クラウドファンディング・ノンバンクの5つの選択肢を資金使途や返済能力に合わせて比較検討することが大切です。
この記事を参考に、資金繰りに余裕を持って早めに準備を始め、自社に合う借入先で計画的に資金調達を進めましょう。

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