ワクチン接種の拡大や緊急事態宣言の効果の表れか、8月にピークを迎えた新型コロナウイルス感染症拡大の「第5波」による新規感染者数と重症患者数は減少傾向にあります。

政府も今月末での緊急事態宣言の解除や、ワクチン接種率の向上に伴い今後の規制緩和を示唆するなど、国内でもいよいよ本格的な「with コロナ」の時代に突入するものと考えられます。

そのような情勢の中でも、一向に減る気配がないどころか、ますます増えるだろうと予想されるのがコロナ禍に便乗した詐欺行為です。

昨年は、事業者を対象とした持続化給付金や全国民が対象となった特別定額給付金などの「支援金」が続々と支給されたこともあり、これらを狙った詐欺行為が目立ったほか、マスクや消毒液の送付や販売をチラつかせての個人情報や金銭の搾取が頻発しました。

一方で、今年は大きな「支援金」の支給こそないものの、相変わらずコロナを脅し文句に金銭をだまし取ろうとしたり、経済的な困窮や自粛生活の倦怠感につけ込んだ悪意のあるアプローチを試みるなど、悪質な手口を用いた詐欺行為の横行が続いているようです。

コロナの影響によって失業や減給などを経験し、金銭的にも困窮する人が少なくない現状、また今後の「with コロナ」時代においても、経済動向によってはさらなる失業者の増加の可能性があることからも、コロナ禍はまさに詐欺師にとって打って付けの「稼ぎ時」ともいえるのです。

では、最近では主にどのような詐欺行為が目立っているのでしょうか。

各種支援金の給付を装った詐欺

各種支援金の給付を装った詐欺

やはり最も多くみられるのが、給付金や補助金・助成金などの各種支援金の給付を騙った詐欺行為です。

代表的な手口は、電話で厚生労働省や各自治体の関係者を名乗り、虚偽の説明を行なった上で支援金の受給を促すというもの。

また、フィッシングサイトのURLを記載したメールを無作為に送りつけ、クリックすると表示される申し込みフォームに入力して送信することにより、改めて受給の説明と手順の連絡が送られてくるという手口も存在します。

その際に求められるのは、名前や住所、銀行口座やその暗証番号といった個人情報の開示のほか、ATMを利用した高額な手数料の振込といった行為です。

当然ながら支援金が振り込まれることはなく、逆に振り込んだ手数料はあっという間に引き下ろされることになります。

さらに、盗み取られた個人情報は別の詐欺師や悪徳業者などに転売されるなどのケースがあるため、延々と詐欺や迷惑行為のアプローチに悩まされることにもなりかねません。

そもそも行政機関が、実施する支援金の支給にあたって電話やメールで直接的に個人情報を聞き出すようなことは絶対にないため、そのような連絡を受けた際は100%詐欺行為だと疑うべきだといえます。

投資や副業の斡旋詐欺

投資や副業の斡旋詐欺

最近、SNSなどで特に多く見られるようになっているのが投資や副業を斡旋するような詐欺行為です。

その多くは、「1年で利回り50%獲得ノウハウ」や「副業でひと月10万円を保証」などの「おいしい」騙し文句を並べて集客するもの。

コロナで失業中や経済的な困窮に陥っている人も多いためか、この手の「儲け話」は怪しいと疑いながらも飛びついてしまい、金銭トラブルに巻き込まれるといったケースが頻発しているようです。

こちらも支援金給付詐欺の「手数料」と同様に、「投資の教材費」や「副業の登録料」などの名目で金銭を騙し取るのが常套手段。

中には参加者を装ったサクラを用意したセミナーに誘い込んで安心感を与えた上で、集団で勧誘を行うような手口もみられるようです。

また、SNSでは投資や副業の斡旋だけでなく、事業者に対する法外な利息や手数料を要求する融資やファクタリングのほか、性的搾取を目的にした個人への金銭援助といった悪質な勧誘も目立っています。

マッチングアプリを利用した外国人による金銭搾取

マッチングアプリを利用した外国人による金銭搾取

自粛生活によって出会いの場を失ってしまったために、マッチングアプリの利用を始めたという人も少なくないはずです。

最近では、国内だけでなく海外の異性とも気軽につながることのできるマッチングアプリがいくつもありますが、ここにも詐欺の罠が潜んでいることを忘れてはなりません。

それが、コロナによる困窮を装った外国人が行う金銭の搾取です。

具体的な手口は、本人かどうかも分からない優れた容姿の写真で異性を惹きつけてマッチ数を増やし、メッセージでは虚偽の窮状を訴えた上で日本人の温情に縋ろうとするもの。

また、甘い言葉や口説き文句を繰り返して相手をその気にさせ、「日本への旅費」などを名目に金銭を振り込ませる、いわゆる「ロマンス詐欺」も非常に多くみられるようです。

もちろん、マッチングアプリを悪用した詐欺行為は日本人間でもみられますが、コロナに便乗した外国人による行為がここ1年ほどで急増しているといわれています。

まとめ

まとめ

新型コロナの新規感染者数は減少傾向にあるものの、感染症の発症が続く限りは、それに乗じた詐欺行為が今後もますます増加することでしょう。

詐欺被害にあわないために大切なことは、「おいしい話」を鵜呑みにせず、とにかく一度立ち止まって冷静に考えること。

また、少しでも怪しいと感じる連絡や情報を受けた場合や実際に被害にあってしまった場合には、迷わず各種相談センターや警察に相談・報告するなどして、社会全体で詐欺行為の撲滅に努める必要があるといえます。