前回の記事では、「新型コロナに便乗した投資詐欺」の種類や手口についてご紹介しました。
新型コロナの感染拡大が続く中で増加傾向にある投資詐欺ですが、それと同じように増えているのが違法な金融業者による融資詐欺です。
昨年から、国や自治体を中心に、様々な支援金や給付金の制度が進められてきましたが、それでもなお資金繰りに窮するがために、追加の融資を検討されている事業主の方も多いのではないでしょうか。
ですが、十分な調査や検討もなく、簡単な手続きや甘い文句に誘われて、安易な気持ちで融資に手を出したばかりに、思いもよらないトラブルに見舞われるといったケースが多発しているようです。
そこで今回は、昨今急増している違法な金融業者の特徴や融資詐欺の手口、また融資を受ける際には必ず確認してほしい注意点などについて解説していきます。
■違法な金融業者の特徴
・ 無許可・無登録営業
違法な金融業者の最大の特徴は、やはり「無許可・無登録」で営業を行っているという点です。
貸金業を営むのには、貸金業法上、国や都道府県への登録が必須です。これを怠った上で営業する金融業者は、すべて違法な金融業者と断定できます。
さらに登録が認められた金融業者には、次のような登録番号が付与されます。
例)東京都知事(1)第12345号
ですので、各金融業者のホームページやDM等を見る際には、必ず登録番号が記載されているか確認するようにしましょう。
ただし、仮に登録番号が記載されていても、それが詐称であったり不当な手段で取得したものである可能性もあります。
これを見分ける方法は、金融庁のホームページ内にある「登録貸金業者情報」の検索ページを利用して確認することです。正規の登録番号はすべて金融庁のデータベースに登録されていますので、ここで検索しても表示されない金融業者のサービスは絶対に利用してはいけません。
・ 表示内容に不足がある広告や誇大広告
意外と知られていないのが、金融業者がリリースする広告には、媒体を問わず表示が義務付けられている事項があるということです。
具体的には、下記の事項があります。
・貸金業者の商号(会社名)、名称または氏名、登録番号 ・貸付けの利率(実質年率を少なくとも小数点以下一位まで表示したもの) ・返済方法、返済期間、返済回数 ・賠償の予定(違約金を含む)に関する定めをする場合、その元本に対する割合 ・担保を供する必要がある場合、担保に関する事項 ・媒介手数料の計算方法 ・電話番号(固定電話に限ります。携帯電話番号を記載した広告は違法です。) |
引用:東京都産業労働局ホームページ(https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/kashikin/soudan/riyou/kariire/)
したがって、インターネット広告やDM等を確認しても、いずれかの事項が不記載であるようならば、違法な金融業者と見なして間違いないといえるでしょう。
また、金融業者の広告には、表示事項が決められているほかにも、誇大な表現やキャッチコピーを記載することも禁止されています。たとえ、義務付けられた事項の表示があったとしても、「即日融資」「ブラックOK」などの甘い文句の記載がある広告は法律違反ですので、注意が必要です。
・ 保証金や登録料を名目にした金銭を要求する
多くの方がご存知かと思いますが、融資を利用した際に発生する利息は利息制限法によって年20%が上限と定められています。
これを上回る利息を要求する金融業者は、当然ながら違法な業者と断定できますが、最近では、利息は年20%の上限を守りながらも、別名目の金銭を要求する手口もよく見られます。
それが保証金や登録料などといったものです。
これらの要求は、たとえば、「返済に遅れが生じた場合の保証」や「サービス利用のための会員登録」などを理由にしており、中には満期を迎えた際に返還するなどという説明をし、利用者を納得させた上で支払わせるといったケースもあります。
しかし、どうにか満期を迎えて無事返済に至ったとしても、これらの金銭が返戻されることはなく、それどころかその金融業者は雲隠れしてしまい、連絡も取れない状況に陥ってしまうなどということもしばしばあるようです。
法律を順守する真っ当な金融事業者が、利息以外の金銭を要求することはありませんので、そのような支払いを要求されるようなことがあった場合は、絶対に応じないようにしましょう。
・ 融資が実行されない
これは上記の保証金や登録料の要求に関連する詐欺行為ですが、これらの支払いを行い、会社や事業主個人の情報などを開示したにも関わらず、その後いつになっても融資が実行されないというものです。
また、保証金や登録料の要求はなくても「弊社ではお貸しできないので、提携する他社でお借りいただきたい」などと斡旋するフリをして、紹介料を要求するといったケースも多々みられます。
このようなケースの場合、融資は実行されず、支払った金銭も戻ってこないどころか、開示した情報を他の違法金融事業者の間で共有されることになり、「資金繰りに瀕した企業」として、執拗な営業活動に悩まされる可能性も生じます。
■入念な調査と確認の上で利用の検討を
融資は事業資金の調達には欠かせない手段のひとつであり、特に昨今のような先行きの見えない不安定な経済状況においては、多くの事業主の方が利用を検討する機会が増えていることでしょう。
しかし、融資の需要が増えれば増えるほどに、その弱みにつけこむような詐欺行為が増発するのも事実です。
融資を検討する際には、金融業者を入念に調査・確認して、信頼性の高いと断定できた業者と安心できる取引を行ってください。